トップアスリートが歯を大切にしていることは、最近ではよく知られていますよね。多くの競技で身体バランスが重要であることは知られています。
皆さんは、サッカーをしているわが子により良いパフォーマンスをしてもらうために、歯の大切さを考えたことはありますか?
トップレベルの選手でなくても、歯と口腔内を健康に保つことはスポーツのパフォーマンスに影響するのです。
今回は、歯の健康と美しい歯列が、見かけ以上にパフォーマンスに影響するということを、東京医科歯科大学歯学部附属病院小児歯科外来にてジュニア世代の歯と口の病気の予防と治療を行い、正常な機能の育成に携わる宮新美智世先生にお話しを聞きました。(取材・文:前田陽子)
■子どもの歯並び、気にしていますか?
サッカーのパフォーマンスと歯並び。あまり関係がないように思いますが、実はしっかりとパフォーマンスを発揮するにはとても大切なことなんです。「人は鼻呼吸が基本ですが、アスリートは多くの酸素が必要となるので、口呼吸をします。スポーツをしている最中は口呼吸でいいのですが、普段から口呼吸をするようになると、歯並びが悪くなります」と宮新先生。
歯が並ぶ位置は、基本的に唇と舌で決まるそうです。唇が外側から、舌が内側から押さえるので、その間に歯が並びます。ですから、鼻が詰まっていて、口呼吸をしなければならないような状況では口が開いてしまい、歯もすべて外に出てきてしまうのだと宮新先生は教えてくれました。口を閉じたまま息ができることが、呼吸の基本です。それができていればきれいに歯も並びますが、口が開いてしまうと、歯が前に向いて出っ歯になってしまうのだそうです。
また、唇の筋肉も使われないため、たらこ唇になるそう。「口を開けていることが多い」と感じたら、鼻の病気を疑い耳鼻科を受診しましょう。鼻炎かな、アレルギー鼻炎かなと思ったら、放置は厳禁です。
さらに口が開いたままでいると、口の中が乾燥して歯の裏側に汚れが定着し、むし虫歯にもなりやすく、歯肉(歯茎)もダメージを受けるのだそうです。ジュニア年代で歯肉炎があると大人になってから歯周病になりやすくなるそう。歯並びが悪いことで、口が開き、口呼吸によって歯垢の固着などを招くうえ、歯周組織に炎症がおき、歯を失うことになりかねないのです。さらに、噛嚙み合わせが悪いとケガをするリスクが高くなることは、研究でも立証されているそうです。
ですから、ジュニアの年代では、まずは歯並びを崩さないことを考えましょう。悪くなってから矯正するのでは、時間も費用も膨大になります。歯の矯正を考えるのは多くの場合、永久歯が生え揃う、小学生後半から中学生になってからと宮新先生は言います。
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文:前田陽子