「サッカー指導者のためのオンラインセミナー『COACH UNITED ACADEMY』」会員の方々が、動画を始めとする情報をどのように役立てているかを紹介するこの企画。今回登場してくれたのは、栃木県宇都宮市で活動する『ISO SOCCER CLUB』の中村輝男さんだ。

サッカー経験がなく、指導歴１年ほどの『お父さんコーチ』である中村さんに、COACH UNITED ACADEMYの活用方法と指導に対する想いを聞いた。（文・鈴木智之）

（※COACH UNITEDからの転載記事になります。）

（ISO SOCCER CLUBで指導する中村輝男さん）

子どもたちと一緒になってやってみようというスタンスで指導に臨む

中村さんがコーチを始めたのは、息子さんが小学１年生のときに『ISO SOCCER CLUB』に入ったことがきっかけだった。同クラブは元ビーチサッカー日本代表の磯裕章氏が立ち上げたもので「世界で活躍できる子どもを育てたい」という方針で、日々の練習に取り組んでいる。

中村さんはもともとPTA会長をしていたこともあり、子どもたちと一緒に楽しむことが好きだった。それもあって指導にのめり込むと、「私はサッカー経験がないものですから、まずは指導の勉強をということで、JFA公認D級指導ライセンスの講習に行きました」と学ぶことからスタートした。

（中村さんの取材はオンラインで実施。）

そこで、JFAのスタッフが丁寧に子ども向けの指導をしている姿を見て「自分もやってみたい」という気持ちが強くなっていったという。

ISOの練習は平日週３回。U-8からU-12までのカテゴリーがあり、中村さんを含むすべてのコーチで全カテゴリーを担当している。

「U-8の場合は、子どもたちに楽しんでもらうことを心がけています。子どもたちは成長に個人差があるので、『この言葉を自分が８歳のときに言われたら、理解できたかな？』と常に自問自答するようにしています」

トレーニング中、中村さんは子どもたちに「いまの説明でわかった人？」と尋ねて手を挙げてもらい、わからない子には「わからなかったらコーチに聞いてね。聞かれるとコーチも勉強になるから教えて」などと言い、フレンドリーな雰囲気でコミュニケーションをとるようにしているそうだ。

「私はサッカー経験がなく、勉強中の身なので、子どもたちから学ぼうという気持ちを常に持っています。『コーチもわからないことがあるから、一緒に考えよう、一緒にやってみよう』というスタンスだと、子どもたちも言うことを聞いてくれたり、積極的にやろうとしてくれます」

講師のコーチングを真似ることで自分の指導に自信が持てた

これまでこのインタビューは、指導経験の豊富な方に登場いただくことが多かった。今回の中村さんは指導歴１年程度だ。なぜ取材を受けてくれたのかと尋ねると、こんな答えが返ってきた。

「COACH UNITED ACADEMYは、私にとってすごくありがたいメディアで、とても勉強になっています。だからこそ、他の人にも広がってほしいという気持ちがあります。サッカー経験のない人の場合、『お父さんコーチ』になることに対して、抵抗がある人もいると思うんです。でも、何の知識がなくても、私みたいなものでもできるんだよ、やっている人がいるんだよとわかれば、やってみようという気持ちになるかもしれません。そうなってくれたらうれしいなと思っています」

中村さんはCOACH UNITED ACADEMYで配信される動画を熱心に視聴し、日々のトレーニングに役立てているという。

「会社の休み時間は、ほとんど動画を見ています。私のような経験の浅い指導者が見てもわかる内容なのはありがたいです。練習メニューも参考にしていますし、出演している方々のコーチングや声掛けが明確なので、それを真似ることで、自分の指導に自信が持てるようになりました」

指導経験の少ない人を対象とした、池上正さんや石垣博さん、内藤清志さんの動画について、中村さんは「どの指導者の方も、子どもの目線に立って声をかけていますよね。その姿勢はすごく参考になります」と話す。

中村さんは動画内のトレーニングメニューを印刷して持ち歩き、練習前のスタッフミーティングで、「今日はこの練習をしてみませんか」と提案し、実際に行うこともあるという。

「トレーニング動画はYouTubeにもたくさんあると思いますが、COACH UNITED ACADEMYの動画を見ると、指導者の人たちがどのような気持ちで子どもたちに接しているのか。その魂が伝わってきます。そこまで見て取れるのは、COACH UNITED ACADEMYならではだと思います」

ISO SOCCER CLUBの磯代表は、中村さんの指導ぶりについて「勉強熱心で真面目。子ども達から愛されているコーチ」と評する。

向上心を持ち、勉強を続ける中村さん。今後もクラブの夢である「日本代表選手の誕生」に向けて、指導に励むという。「そのためにも勉強を続けていきたい」と話す顔には、充実感がにじんでいた。