インタビュー
「今季の目標はJ2優勝、J1昇格」FC町田ゼルビアの改革に邁進する、サイバーエージェントの想い
公開:2023年5月11日 更新:2024年7月 1日
サッカーを支える企業にスポットを当て、想いを聞く企画。今回は株式会社サイバーエージェントです。
サイバーエージェントは2018年より、FC町田ゼルビアの経営に参画。2023年シーズンは開幕から好調で首位に立つなど、J1昇格に向けて進んでいます。
IT企業であるサイバーエージェントは、どのような想いでサッカーに携わっているのでしょうか? 2022年に、28歳の若さでFC町田ゼルビア代表取締役COOに就任した、上田武蔵さんに話をうかがいました。(取材・文 鈴木智之)
©FCMZ
――上田さんの幼少期からのサッカーとの関わりを聞かせてください。
サッカーを始めたきっかけは、小学2年生のときの日韓ワールドカップです。日本対ベルギーを埼玉スタジアムに見に行きまして、それまでは野球少年だったのですが、一気にサッカーにのめり込みました。
――ワールドカップがきっかけで、サッカークラブに入ったのですか?
はい。渋谷区にある渋谷東武JFCに入って、サイドハーフやフォワードとしてプレーしていました。当時も渋谷区ではトリプレッタさんが強くて、地区大会の決勝で試合をしたりと、ライバルみたいな感じでした。
――当時、好きな選手はいました?
バルセロナが好きだったので、ロナウジーニョやメッシが好きでした。中高は本郷学園に通っていて、6年間サッカー部でした。成績としては、2個上の代で都大会ベスト8に進みました。私が試合に出始めたのは1個上の代からです。その後、進学した京都大学では、体育会サッカー部でプレーしました。
――なぜ京都大学に進学したのでしょうか?
自分は東京生まれ東京育ちなので、就職は東京でするだろうと思っていました。東京以外に自分のルーツがあるのは、人生にとって貴重な体験になるんじゃないかと感じて、両親がどちらも国公立だったこともあり、京都大学という素晴らしい大学があるので、それを目指そうと思ったことがきっかけです。
現役時代の上田さん
――大学では、どのようなことを勉強されたのですか?
工学部で環境工学を学んでいました。大気汚染の研究を1年間だけやりました。大学時代の自分は、どちらかというと勉強よりもサッカーで、ずっとボールを追いかけていました(笑)。プロを目指しているわけではなかったので、本気でサッカーをする最後のチャンスだと思って、サッカーに取り組んでいました。
――チーム運営には、どのように携わっていたのでしょうか?
新人戦のときはキャプテンをしたり、部署リーダーみたいなのは3年生のときからやっていたので、中心的なメンバーでした。リーグ戦は関西2部で、僕の2個上のときに、入れ替え戦まで行きましたが、惜しくも負けてしまいました。
――大学卒業後はサイバーエージェントに入社しますが、どのような理由で志望したのでしょうか?
大学3年生のときに就職活動を始めて、まず自分の人生の夢を作ろうと思いました。大学までサッカーをやってきたので、日本のサッカー界に貢献したい、恩返ししたいという思いが強かったのと、日本代表をワールドカップで優勝させることを、自分の人生をかけて成し遂げたい夢にしたいと思いました。ビジネスの側から、日本のサッカー市場を盛り上げていく仕事を、人生をかけてやっていきたいと考えていたときに、「スポーツ×IT」に可能性を感じたのが、入社したきっかけです。
――2020年の3月にFC町田ゼルビアに出向になりましたが、話が来たときはどう感じましたか?
話をいただいたときは、即答で「行きます」と答えました。私が入社して2年目の2018年に、サイバーエージェントがFC町田ゼルビアの経営に携わるようになったのですが、現場にサイバーエージェントの社員がいた方が、より密接に事業を経営することができるだろうということで、就職活動のときから、サッカーについて熱く語っていた自分を指名していただいたという流れです。
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――クラブの持つポテンシャルや可能性については、どのように感じていますか?
もともとFC町田ゼルビアは少年サッカー派生のクラブという歴史があり、サッカー文化はすごく根付いていると感じます。地元の経営者の方々の中には、少年サッカーのコーチをしている方も多いですし、町田市出身のJリーガーもたくさんいます。町田のみなさまが、町田という街に誇りを持っていると感じることが多いので、ゼルビアが街のシンボルになればいいなと思っています。
――今後の目標やビジョンはどのように描いていますか?
今シーズンの目標は、サポーターの皆様にもお伝えしていますが、J2優勝、J1昇格です。これは事業全体の目標としても置いていまして、やはり一度J1に上がる、上がらないは雲泥の差があると思っています。マーケティングやマネタイズの観点からも、そこには大きな壁があるので、その壁を打ち破るという意味でも、J2優勝が今年の目標です。
――青森山田高校を長年率いてきた黒田剛氏が監督になり、チームは好調ですね。
私が申し上げるのも恐縮ですが、本当に素晴らしいリーダーだと思います。サッカースタイルや組織構築に一貫性があり、現象を言語化して、言葉で伝える力は凄いと感じています。社長の藤田も『本物のリーダーだね』と絶賛するほど、素晴らしい方に来ていただいたと思っています。
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――サカイクはサッカーをするお子さんや保護者向けのメディアなのですが、今後、子どもたちのサッカーに携わるビジョンがありましたら教えてください。
ホームゲームでは、お子様向けのイベントを開催しています。試合後に『ふれあいサッカー』をやっていまして、試合に出ていた選手と子どもたちが一緒にサッカーができるという、他のクラブさんではあまり行っていないイベントに、多くのお子様が参加してくれています。ホームタウン活動もそうですが、様々なところで接点を作り、子どもたちがサッカーを楽しむきっかけを作っていきたいです。