■二重国籍と代表選手との関連性
知っていそうで知られていない、世界のサッカー常識についてランダムにとりあげるこのコーナー。世界各国で様々に楽しまれているサッカーというスポーツの奥深さを感じるような話題、子どもとの会話のネタになるような話題を数多くセレクトしていきます。今回は、各国代表選手の国籍について。
誰しも当たり前のように、日本代表選手なら日本人、アルゼンチン代表選手ならアルゼンチン人だと思うはず。でも、代表選手はその国に生まれた選手だけとは限らないのです。70年代から日本で大活躍をしたラモス瑠偉選手はもともとブラジル生まれ。しかし日本代表となるため、89年に帰化し日本国籍を取得しました。彼はその後、日本代表として日本のために戦ってくれました。過去、このように帰化して日本代表となった選手には呂比須ワグナー、田中マルクス闘莉王もいます。海外ではどうでしょう。
アルゼンチン代表として近年注目を集めるセルヒオ・アグエロは昨年末にスペイン国籍を取得しました。ということはアルゼンチン代表でなくスペイン代表となったように思われがちですが、実際にはそうではありません。彼は、所属するクラブ、アトレティコ・マドリー(スペイン)において「EU圏内の選手」という扱いになり、人数制限のある外国人枠でなくスペイン国内の選手として自由にプレーできるということになりました。また、現在のルールではアルゼンチン代表として過去、国際Aマッチに出場している関係からスペイン代表になることは出来ません。欧州では二重国籍が一般的に認められており、アグエロはアルゼンチン、スペインの両国籍を持つ、アルゼンチン代表選手ということになるのです。一方、マウロ・カモラネージという選手は、アルゼンチンで生まれましたが祖父がイタリア人であったこともあり、03年にイタリアに帰化。イタリア代表として選出された過去を持っています。
そのほかユニークな例としては、現在スペインのセビージャに所属するフレデリック・カヌーテがいます。彼はフランスで生まれU-21フランス代表にも選ばれた選手。しかし04年にFIFAの規定変更によって両親が産まれた国の代表としてプレーできるということになりました。フル代表として公式戦に出場していない場合、21歳未満に限り、一回だけ別の国の選手として登録変更できるという新しい規定もあり、カヌーテは両親の母国・マリ(アフリカ)代表選手となったのです。
日本ではあまりよく知られていない、二重国籍と代表選手との関連性。でもひとたび代表となった選手はその国のために100%戦うもの。どこで生まれたかは関係なく自分の国の代表選手を応援するのは、どの国でも同じことです。
『知ってます?世界のサッカー常識』全12回