来年6月12日、待ちに待ったブラジルワールドカップ2014が開幕します。FIFAに加盟する世界209の国と地域の頂点に立つのは、どの代表チームでしょうか? そして、ザックジャパンはどこまで勝ち進むことができるのでしょうか?
本大会に先立つこと半年、12月6日の25時(日本時間)から、現地ブラジルでワールドカップのファイナルドロー(組み合わせ抽選会)が行われます。その模様はNHK総合、BS1でも生中継。世界中のサッカーファンが見守る瞬間です。
■ワールドカップの組み合わせ抽選はどのようなルールと手順で決められていく?
ワールドカップ抽選には、一つの原則があります。それは『同じ大陸予選を戦ったチーム同士が同じ組で戦わない』というものです。(※ただし、欧州は2チームまで同組可)
たとえば欧州ばかり、アジアばかりが同じグループに固まってしまえば、まるで欧州選手権やアジアカップのような顔合わせになり、せっかくのワールドカップを開催する意味が薄れてしまいます。それを防ぐために用いられるのが、『ポット』という抽選方法。今大会では以下のように参加32カ国が振り分けられています。
■ポット1:(シード国)ブラジル、アルゼンチン、コロンビア、ウルグアイ、ベルギー、ドイツ、スペイン、スイス■ポット2:(アフリカ、南米)アルジェリア、カメルーン、コートジボワール、ガーナ、ナイジェリア、チリ、エクアドル■ポット3:(アジア、北中米カリブ海)オーストラリア、イラン、日本、韓国、コスタリカ、ホンジュラス、メキシコ、アメリカ■ポット4:(欧州)ボスニア・ヘルツェゴヴィナ、クロアチア、イングランド、フランス、ギリシャ、イタリア、オランダ、ポルトガル、ロシア
抽選はポット1~4の中から一カ国ずつを選び、それぞれのグループが形成されます。つまり日本の場合、同じポット3の国々と同じグループになることは絶対にありません。各組が大陸のバラエティーに富んだグループ分けになるように配慮されています。
ただ、ここでちょっと困ったことに。ポット1のシード国には開催国ブラジルのほか、FIFAランキング1~7位の代表チームが名を連ねているのですが、今回はその結果、イタリアやオランダが第一シードからはじかれ、ポット4の欧州が9チーム、ポット2のアフリカ・南米が7チームとバランスが崩れてしまいました。そのため、今回の抽選はまず、ポット4の欧州から一つ、ポット2へ移動するチームをランダムに選ぶところからスタートしなければいけません。
抽選の流れを、順に追ってみましょう。
①ポット4からポット2へ移動する欧州の1チームを選ぶ
②ポット1のチームを各組へ振り分ける
(開催国ブラジルはA組に入り、開幕戦を行うことが決定済。ブラジル以外の第一シード国がB~Hに振り分けられる)
そして次はポット2の抽選を行うところですが、ここで注意しなければならないのは、南米のチリとエクアドルが、ブラジルやアルゼンチンなどの南米の第一シードと同じ組になる可能性があること。そして、ポット4から移動してきた欧州チームが、ベルギーやドイツなどと同じ組に入ると、欧州チームが3つの組が生まれてしまうことです。
これは先に述べたワールドカップの原則に反することになるため、今大会では次のような手順で進みます。
③ポット1のうち、南米4チーム(ブラジル、アルゼンチン、コロンビア、ウルグアイ)から1チームを抽選。そのチームの組へ、ポット2に移った欧州チームが自動的に入る
④残りのポット2のチームを、A組からH組の順に振り分ける
(ただし、ポット1が南米チームのグループでは、チリ&エクアドルを抽選対象から外す)
この手順を踏むことで、ポット1とポット2で欧州と南米のチームがかぶることを防ぎます。ポット2までが決まれば、あとはシンプル。
⑤ポット3の国々を、A組からH組の順に振り分ける
⑥ポット4の国々を、A組からH組の順に振り分ける
これでグループ分けは完了。最後に、試合の対戦順を決めます。各組にはA1、A2、A3、A4というポジションがあり、A組に入った国はこの4つのどこかに入ります。
ただし、ポット1の第一シード国は、各組のオープニングマッチを飾るA1、B1、C1などの"1"の位置に入ることが決定済。残りのポット2~4のチームは、抽選でA2やA3やA4などの位置を決められることになります。これでグループリーグの試合日程はすべて完成というわけです。
日本は果たしてどのような組に入るのでしょうか? ポット3の抽選が始まるころには、ポット1とポット2までが決まっているため、どの組が厳しそうなのか、ある程度の傾向は見えていることでしょう。
"JAPAN"が引かれるそのタイミングを、楽しみに待ちましょう!
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文/清水英斗 写真/新井賢一