第36回全日本少年サッカー大会決勝大会は4日目に入り、準々決勝・準決勝が行われ、それと並行して1次ラウンドで敗退したチームによるドリームリーグを勝ち抜いたチームによるドリームトーナメントがが行われました。
ドリームリーグ・トーナメントも熱戦が繰り広げられており、ポジティブで子ども達を後押しする楽しい応援をしているチームが見られました。その一つが愛媛県の喜多SSSです。在籍人数の40名程度の少年団で9年ぶりの出場となった喜多SSSですが、選手のご家族からは、「自分たちの気持ちを信じろ!」「いいよ、頑張れ!」「OK、OK!」「力強く行こうぜ!」など次々と選手をポジティブに応援する声が子ども達にかかっていました。プレーを批判するなどネガティブな言葉は全くありませんでした。
そして愛媛らしいと言えば、地元のJリーグチーム愛媛FCの応援歌の替え歌。応援歌の一部に「喜多」の言葉を入れて歌っていました。
微笑ましい光景もありました。1次ラウンドで対戦した神奈川県のバディSCの選手のご家族の方々が、途中から応援に参加していました。バディSCの方々からは「選手も応援団も頑張れ!」と喜多SSSの選手のみならず応援するご家族の方々にもエールが送られていました。バディSCの方々も喜多SSSの楽しい応援に魅了されたのでしょう。それもそのはず。試合後に喜多SSSは対戦相手のチームに「ありがとう」コールをしています。どんな結果に終わっても、試合をしてくれたことに感謝の気持ちを伝える喜多SSSは対戦相手の心もつかんでいました。
選手のご家族の一人で大きな声で応援をされていた松本斎さんは「子どもにプレッシャーを与えないことを一番心掛けています。子ども達も頑張っていますので親も一致団結して勝っても負けても応援しようと思っています。そして相手チームへの敬意も心掛けています」とポジティブな声かけや相手チームへの感謝の気持ちを伝える理由を語りました。喜多SSSの柿見喜久監督も「愛媛県大会くらいから親御さんが意識されて応援をやろうと盛り上がってくれました。外から声をかけてもらって子ども達は勇気をもらってますね」と応援に感謝の気持ちを語ると共に、「全国大会で勝利するのも喜びですが、今回の大会のように素晴らしい全国のチームと対戦できて交流が図れるのも良かったです」と対戦チームへの感謝の気持ちも示されており、そうした姿勢が応援する選手のご家族にも伝わっている印象です。
喜多SSSはドリームリーグを勝ち抜き、ドリームトーナメントへと駒を進めましたが、香川県の丸亀FCに1-2で敗れ、ドリームトーナメント優勝はなりませんでしたが、勝った丸亀FCに喜多SSSのご家族からは「ありがとう!」「次も頑張れ!」と感謝の声が聞かれました。
このようにポジティブで子ども達の後押しになる応援が繰り広げられ、ピッチの外も中も熱い戦いが繰り広げられたドリームリーグ。アストロンの高田監督は「1次ラウンドで負けたショックもありますが、ドリームリーグ・トーナメントで頑張ろうという意識になって、すぐに切り替えられますので、非常に良い試みだと思います」喜多SSSの柿見監督も「こうした協会のお考えは大変助かっております」とこうした多くの試合経験を積ませる試みを評価されていました。2次ラウンドのみならず、ドリームリーグ・トーナメントに進んだチームもこのリーグ戦でかけがえのない貴重な経験を積んだことでしょう。
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取材・文/小林健志、写真/小林健志・サカイク編集部(2012全日本少年サッカー大会より)