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お母さん必見! 男の子は「オチンチン力」を伸ばす

公開:2014年4月10日 更新:2014年4月14日

キーワード:コミュニケーション自立

「男の子はどうしたってチョロチョロ動くものです。集中力がない、落ち着きがないと心配するお母さんもいますが、それを心配するよりも、男の子の特性に目を向けて育ててあげることが大切です」

 さまざまな学習メソッドを開発し、多くの子どもたちを指導してきた“伝説の家庭教師”教育環境設定コンサルタントの松永暢史さんは、男の子の特性を“オチンチン力”という独特な言葉で表現します。男の子が生まれながらに持っている余計なことをする力、とんでもないことを思いつく力が、自主性や自立性、創造性、知性、行動力の源泉となると言います。(取材・文/大塚一樹)
 
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■男の子の“オチンチン力”を育てる!

 「下手をすると『そんなことしていないで勉強しなさい』と、勉強部屋に押し込められてしまう可能性のある“オチンチン力”ですが、男の子には特にこうした“遊び”の時間が必要です」
 
 松永さんは長年現場でさまざまな子ども、親子に接してきた経験から世のお母さんたちに「男の子は遊ばせて育てる! オチンチン力を無視しない教育を!」と呼びかけます。
 
 伸びる、伸ばす育て方は当然押しつけであってはいけません。では、男の子はどんなタイミング、どんなときに成長するのでしょう?
 
 「男の子は好きなことは放っておいてもがんばります。好きになる、がんばりたくなるスイッチを押すタイミングがあるとすれば、成果を褒められたときでしょうね」
 
 松永さんによれば、男の子は「上手だね」「良くできた」と評価される、成果を認めてもらえることで成長していくそうです。オチンチン力のような、一見すると注意したくなってしまうような行動を無視したり、やめさせたりするのではなく、そこで得られた成果を評価してあげることで、自ら行動する喜びや、自主的にものを考える楽しさに気づくのです。
 
 「最近は親子関係、特に母親と男の子の関係が学習面だけでなく生活面、さらに人格形成にまで悪影響を及ぼしています。過保護どころじゃなく、『母子一体化』なんて言われるほどで、もうこれは行き着くところまで行き着いた感がありますが、お母さんの方から考え方をスパッと変えて、お子さんへの接し方を改めるだけで、だいぶ変わってくるものがあるはずです」
 

■“なぜなぜ攻撃”への対処法 好奇心をかき立てるコミュニケーション

 お母さんはお子さんにどう接するべきか? なかなか勉強に心を向けない子どもを、なんとかして机に向かわせようとしている人も多いのかもしれません。
 
 松永さんは「勉強しなさい」とガミガミ言う強制的なやり方では、子どもは勉強に興味を持つどころか、かえって成績を下げたり、自主性や自立心を奪ったりしてしまうと言います。
 
 「もともと好奇心の塊のような男の子の興味があることをシャットダウンして、勉強に向かわせるというのは、親が進んでわが子の頭を悪くしているようなものです。男の子にはできるだけ好奇心を刺激するような言い方、接し方で導いてあげてください」
 
 何を見ても「なぜ?」と連発する子どもにうんざりすると言う話は良く聞きますが、松永さんは子どもの「なぜ?」に親がすべて答えられる必要はないと言います。「なぜ?」と聞かれたときに子どもを伸ばす答えは「調べてごらん」。松永さんは、子どもたちのなぜなぜ攻撃には答えをすぐに与えるのではなく、「調べてごらん」と答え、自分で調べる習慣づけに導くのが正しいと言います。
 
 「もし答えがわからない場合でも、『わかんない』『知らない』はダメな答えです。お母さんにもわからないのかと、子どもの思考はそこでストップしてしまいます。この場合は、『よく知らないんだ、じゃあ一緒に調べてみようか』が正しい答えです。こうすることで、子どもたちは好奇心を刺激され、調べる能力や探究心も身につくのです」
 

■忙しいお母さんは置き手紙で日本語運用能力を 

 毎日のコミュニケーションの中でもこうした接し方が有効です。共働きの場合、そうでなくても忙しい現代のお母さんたち。なかなか子どもたちとの時間を過ごせない場合もあるでしょう。面と向かってコミュニケーションをとるのが難しい場合には「置き手紙」で会話を持つことが有効だと言います。
 
 「子どもが帰ってきたときに机の上に置き手紙を置いておく。子どもたちはそれを読んで行動する。この置き手紙はできるだけ説明が必要なものにしてください。用件だけを伝えるのではなく、子どもたちに考えさせるような、次の行動につながるようなものがいいですね」
 
 もちろんメールでもいいのかもしれませんが、松永さんはお母さんが自分で書いた文字で会話すること、紙を介してコミュニケーションにも子どもたちの感受性や好奇心のスイッチを押すヒントがあると言います。
 
 「幼少期の子どもたちに必要なことはなんと言っても基本的な国語能力、日本語でコミュニケートする力です。「なぜ?」に対する会話、こうした間接的な会話を通じて日本語の運用能力を身につけ、自分の意図や考えを深く伝えられるようになっていくのです」
 
 親子のコミュニケーション、しかも好奇心を刺激するコミュニケーションは子どもの自立を促す大切なアプローチなのです。
 
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■失われた成長のチャンスをサッカーで取り戻す

 「人間が本能的に持っているもの、本来は群れの中で身につけていた、過去には近所の仲間と駆け回って遊ぶことで身につけていた発想力や集中力というものがあります」
 
 遊び場もない、自由な時間も少ない現代の子どもたちからこうした能力を身につける機会が失われていったのは、仕方のないこともかもしれません。松永さんは「環境の変化は仕方ない、いまないものを求めるより、現状でこうした能力を育てるためにはどうしたらいいかを考えた方がいい」と言います。
 
 「いまのままではやり方に問題があるとは思いますが、スポーツなんてこうした能力を身につけるのにいちばんいいはずなんです。サッカー? すごくいいじゃないですか。サッカーのように、自分で判断する機会の多いスポーツ、集団でするスポーツ、チョロチョロしてもいいスポーツはなかなかありませんよ。やり方さえ間違えなければ、サッカーをやっている子どもは勉強もできて自立しているはずですし、そうならなければおかしいんです」
 
 うれしいことに、成長途中にある子どもたちがスポーツ、しかもサッカーをすることはあらゆる面で良いことづくめだと言うのです。松永さんがスポーツやサッカーをすることの利点に上げたのは“集中力”。
 
 「スポーツから得られる集中力って素晴らしいですよね。抜群に集中した状態をどう勉強につなげるか? どうやって賢さにつなげていくか? そこがうまく行っていない場合が多い気がします」
 
 次回はスポーツやサッカーのすがすがしい集中力を勉強につなげるヒミツについてお話しいただきます。これを知れば「サッカーと勉強の両立」なんて問題はどこかに吹き飛ぶ? 目から鱗の松永流スポーツマンのための勉強方法をお届けします。
 
 
サッカーで高めた集中力を「頭が良くなるタイム」に使う>>
 
 
松永 暢史
1957年東京都生まれ。慶應義塾大学文学部哲学科卒。教育環境設定コンサルタント。受験プロ。音読法、作文法、サイコロ学習法など様々な学習法を開発し、教育コンサルタントとして講演、執筆など多方面で活躍中。教育と学習のあらゆる悩みに答える教育相談事務所V-net(ブイネット)主宰。主な著書に『男の子を伸ばす母親は、ここが違う!』(扶桑社)、『結婚できない男は12歳までにつくられる!』(ワニブックス)、『ガミガミ言わずに子どもに勉強させる方法』(PHP文庫)、『ひとりっ子を伸ばす母親、ダメにする母親』(アスコム)、『男の子は10歳になったら育て方を変えなさい』(大和書房)など、多数。
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取材・文/大塚一樹 写真/サカイク編集部・田川秀之(ダノンネーションズカップ2014より)

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