「マナーや礼節を守れない人は一流のスポーツ選手になれません」
そう語ってくれたのは、マナーキッズプロジェクトの田中日出男さんです。昨今はスポーツ界に限らず、学校や社会の中でもマナーの低下が叫ばれています。田中さんが理事長を務めるマナーキッズプロジェクトは、2005年からスポーツを通して日本の伝統的な礼法を体験し、"体""徳""知"を持ったバランスのよい子どもを育てる活動を行っています。主なスポーツはテニスですが、サッカーやフットサルでもマナーを取り入れたスポーツ教室を開催し、これまでに全国で約12万5000人の子どもが参加しているそうです。
プロやアマを問わず、スポーツ選手は結果が求められます。それと同時に、そのスポーツの模範としても見られています。だから、マナーや礼節を身につけておくことは必要不可欠です。ただ、いきなり身につくものではなく、子どものころからの習慣が大切です。そこで、マナーキッズプロジェクト理事長の田中日出男さんに"大人がマナーを伝えることの必要性"をうかがいました。(取材・文=木之下 潤/写真=サカイク編集部)
■マナーや礼節を伝えるカギを握るのは"三世代間の交流"
「マナーを守れない人が増えているのは、世界中で問題になっています。便利な社会になり、人と人とのコミュニケーションが希薄になっている現状もあるでしょう。しかし、どんなに時代が変わり、世の中が変わっても秩序は存在します。そもそも我々と同じ世代のおじいちゃんやおばあちゃん、またお父さんやお母さん、そして先生は家庭や学校で子どもにマナーを教えていますか。また、しっかり教えることができますか。マナーとは、子どもたちが勝手に身につけられるものではありません。だから、この問題は"大人の責任"なのです」
田中さんの口から出たのは"大人の責任"という言葉でした。スポーツ教室でマナーを教える講師は高年齢者、ようは子どもたちから見たらおじいちゃんやおばあちゃんにあたる世代の人たちです。“おばあちゃんの知恵袋”などの言葉があるように、昔から日本にはおじいちゃんやおばあちゃんから孫へ、親から子へと三世代に渡る家族というコミュニティの中で、いろんなものを受け継ぐ習慣がありました。マナーキッズプロジェクトでは、そんな昔からの習慣をうまく取り入れ、講師を高年齢者にしているのです。子どもに教えるのはもちろん、両親にも正しいマナーを講義しています。
「今も昔も子どもは子どもです。皆さんは『最近の若い人たちはマナーを守れない人たちが増えた』と簡単に口にしていますが、子どもは知らないだけ。実際にマナーキッズプロジェクトの教室でちゃんと教えたら、どの子も終わることにはちゃんとやれるようになります」
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取材・文=木之下 潤/写真=サカイク編集部