こころ
震災後の世界で生き抜くためのスキルが育つ! 子どもがサッカーをプレーするメリットとは
公開:2016年7月26日 更新:2021年1月27日
「サッカーを通して、楽しみながら協調性やコミュニケーションなどを学んでほしい」
これは、宮城県名取市立愛島(めでしま)小学校の鈴木英典校長の一言です。
日本サッカー協会とキリン株式会社が協働で行う、東日本大震災の復興支援プロジェクト『JFA・キリンスマイルフィールド』。2011年9月から始まり、もうすぐ5年を迎えようとしています。
岩手、宮城、福島の全小学校を対象とするこの企画は、7月19日時点で691校を訪問しました。691校目の開催校となった宮城県名取市立愛島(めでしま)小学校は、東日本大震災後、児童数が急激に増えた地域にあります。鈴木英典校長によると、愛島小学校の学区は震災被害がそれほどなかったことから、県内外から移住者が急増。震災後5年で児童数が300人以上増え、全学年で835人が在籍しています。
前回記事から引きつづき、愛島小学校の子どもたちや、メインコーチを務めた元日本代表DF秋田さんからサッカーをプレーするメリットを教えてもらいましょう。(取材・文・写真 鈴木智之)
■震災を生き抜くために協調性やコミュニケーションを学んでもらいたい
691校目に選ばれた宮城県名取市立愛島(めでしま)小学校は、東日本大震災後、児童数が急激に増えた地域にあります。鈴木英典校長によると、愛島小学校の学区は震災被害がそれほどなかったことから、県内外から移住者が急増。震災後5年で児童数が300人以上増え、全学年で835人が在籍しています。
愛島小学校で『JFA・キリンスマイルフィールド』を開催するきっかけとなったのは、以前、別の学校で体験した先生が校長に「子どもたちにとって、良い経験になるのでぜひやりましょう」と提案したことから始まります。鈴木校長は『JFA・キリンスマイルフィールド』の開催にあたり、「サッカーを通して、楽しみながら協調性やコミュニケーションなどを学んでほしいという想いから応募しました」と話します。
■震災があって、一日、一日を大切にしないといけないことに気づいた
愛島小学校で開催された『JFA・キリンスマイルフィールド』のメインコーチは、元日本代表の秋田豊さん。これまで同プロジェクトのコーチとして、100校以上を回ってきた秋田さんは、復興支援への想いを次のように語ります。
「東日本大震災から5年が経ちましたが、辛い思いをした人たち、とくに子どもたちに、サッカーを通じて笑顔を届けられたらという気持ちで、協力させてもらっています。個人的にはチャリティ活動を通じて、義援金などで支援をしつつ、実際に子どもたちと触れ合うことで、勇気や希望を伝えることができたらと思います。震災は非常にネガティブなことでしたが、普通に生活できることが当たり前ではないんだ、一日、一日を大切にしないといけないということに気付かされました。サッカーができることが当たり前ではなくて、サッカーができる環境に感謝したいし、それは子どもたちにも伝えたいと思っています」
復興支援に向けた想いを真摯に語ってくれた秋田さん。グラウンドに立つと、子どもたちから「アッキー!」と呼ばれる人気者です。『JFA・キリンスマイルフィールド』は学校の授業の一環として行われるため、サッカー経験のある子とない子が混在しています。指導する側としては工夫が必要なシチュエーションですが、秋田さんは「サッカー初心者の子は、初心者のレベルでできることにトライしてくれればOK。うまくできる子には、できる子用のアドバイスをしてチャレンジさせる。その子のレベルに合った声掛けをしています。子どもたちが前向きにチャレンジできる環境をつくるのが、ぼくらコーチの仕事ですから」と、現役時代さながらの頼もしい表情で語ります。
「JFA・キリン スマイルフィールド」<スペシャルゲスト香川真司選手> ~サッカーを通じて東北の子供たちに笑顔を届ける復興応援プロジェクト~
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取材・文・写真 鈴木智之