世界にはフリーキックの名手と呼ばれる選手がたくさんいます。C・ロナウド、アンドレア・ピルロ、ディディエ・ドログバ、デビッド・ベッカム、ジュニーニョ・ペルナンブカーノ……。また、日本人選手でも南アフリカワールドカップでゴールを挙げた本田圭佑、遠藤保仁をはじめ、その他にも中村俊輔など、すばらしいキッカーがたくさんプレーしています。
彼らのように美しいフリーキックを決めるためには、どうすればいいのか?
まずはフリーキックの基本を知っておきましょう。通常、ゴール前のフリーキックの場面では、下図のように相手チームは壁を作って二アサイド側のシュートコースを狭め、壁が防ぎきれないコースは相手GKの担当エリアとして対応してくるでしょう。
このときキッカー側には大きく分けて2つの基本的な選択肢があります。
(1)『壁をかわすボールを蹴って二アサイド側へ決める』※図ではゴール左側
(2)『壁のいないコースへ蹴ってファーサイド側へ決める』※図ではゴール右側
キッカーは相手GKの立ち位置がどちらに寄っているのか、あるいは相手の壁の高さはどのくらいか、さらにボールを置く位置などから判断し、どちらのコースへ蹴るのかを決めます。
ここでキッカーに必要とされるのは、フリーキックの球種を増やしておくことです。
(2)のコースへ蹴るときはストレートボールでもOKですが、(1)のようにニアサイドの壁をかわしてねらうためには、ボールに回転をかけて変化させる蹴り方をマスターしなければいけません。具体的なキックの球種には以下のようなものがあります。
■カーブボール
ベッカムや中村俊輔らが得意とする、最も基本的なフリーキックです。ボールをインサイドでこすり上げるように蹴り、回転をかけて斜め下へボールを変化させてゴールの枠内へ落とします。助走はボールの真後ろからスタートするよりも、やや横方向に近い角度から助走して蹴るほうがカーブボールを蹴りやすくなります。
■スライダーボール
回転をかける方法は、ボールをこすり上げるカーブボールの他にもあります。それは「ボールの中心を少しだけ外して蹴ることで回転をかける」というやり方です。丸いボールの中心を蹴ればボールは真っすぐ前に飛びますが、下図のようにボールの中心の右側を蹴ると、ボールには左回転がかかり、左側へ曲がっていきます。これがスライダーボールです。
スライダーボールは遠藤保仁やデル・ピエロが得意とする蹴り方で、遠藤の場合は右足のインフロント辺りで、ボールの中心のやや右側を軽くこするようなイメージでフリーキックを蹴っています。カーブほど大きく曲がることは少ないですが、一般的にスライダーの利点は、ボールスピードが比較的速いこと。正確にコントロールすることができれば、大きな武器になります。
また、近年のサッカーボールは反発力が強いものが多いため、カーブボールを蹴ろうとすると、充分にこすり上げる前にボールが前へ飛んでしまう傾向があります。カーブがうまくいかないときは、スライダーにも挑戦してみるといいでしょう。
文/清水英斗