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オフザボールの質が勝敗を決める!?ポジショニングのセオリー(MF編)

公開:2012年8月21日 更新:2020年3月24日

キーワード:ディフェンスパスポゼッション

mf_image.JPG

サッカーポジショニングのセオリー、今回はMF編です。
 
ちなみに便宜上、今回の連載はGK編DF編MF編FW編とポジションごとに分類しましたが、これは「MFはMF編のセオリーだけ理解すればいい」という意味ではありません。賢いサッカー選手になるためにはすべてのセオリーを把握するべきですが、その中でMFに関係が深いセオリーを“MF編”として紹介しています。
 
その点を、まずはご理解ください。
 
 

■攻撃時のパス回しのポジショニングー角度をつくって斜め方向でパスを受ける

2007年に行われたアジアカップでは、日本代表は中村俊輔、遠藤保仁、中村憲剛と、パス回しに長けた選手を中盤にそろえていました。その中で当時、中村憲剛は次のようなことを語っています。
 
僕が俊さんの真横でパスを受けないように気をつけている
 
パスを出す能力に長けた選手が集まったとき、どうしてもパスが足元ばかりでの交換になり、動きが乏しくなることがあります。そこで中村憲剛はその場に立ち止まってパスを受けず、中村俊や遠藤を追い越すなど流動性をつくりながら、パスの受け手としてポジショニングを工夫して貢献しようという意識を持っていました。
 
また、パスを真横で受けないことにはもう一つ重要な理由があります。下記の図を見てください。
 
≪パスを真横で受けて失敗するケース≫
mf_1.jpg
 
BはAの真横でパスを受けようとするポジショニングを行っています。
 
このとき注意しなければならないのは、もしもZやYにパスをインターセプトされたとき、AとBは2人同時に置き去りにされる可能性が高いということです。あまり賢いポジショニングとは言えません。
 
一方、下記のポジショニングはどうでしょうか。
 
≪パスを斜め方向で受けて成功するケース≫
mf_2.jpg
 
BやCは、Aからのパスを斜め方向で受けるようにポジションを取っています。
 
仮にCへのパスがインターセプトされた場合はAがディフェンス対処をすることができ、Bへのパスをインターセプトされた場合はBがディフェンスに回ります。真横で受けるときと異なり、2人が同時に置き去りにされることは起こり辛くなります。
 
さらにBは真横でパスを受けるときよりも、逆サイドへの視野が広がりやすいので、サイドチェンジなども含めて広い選択肢を持ってプレーしやすくなります。このような『角度をつくって斜め方向でパスを受ける意識』は、特にMFにとっては重要な個人戦術と言えるでしょう。
 
例えばバルセロナの試合を見ると、シャビだけでなく様々な選手が斜め方向のポジショニングをしてパスを受けているのが理解できると思います。ぜひ参考にしてみてください。
 
もちろん、試合中には予期しない様々なことが起こるので、ときには角度を付けられずに真横でパスを受けるシーンも十分あり得ます。そのようなときは、「このパスは奪われたら2人同時に置き去りになるかもしれない」ということを頭の片隅で理解しておくことが大事です。このような知的な思考が、次に起こるプレーを予測し、アクションを素早くしてくれるのです。
 
 

■守備時のポジショニングー前線とディフェンスラインをリンクすること

ここではプレッシングに関するポジショニングの基本を紹介したいと思います。
 
プレッシングとは、全員がボールを奪うことを意識し、全員が連動して相手を追い込んでボールを奪う戦術のこと。その成功の成否は各選手のポジショニング判断にかかっています。
例えば以下のようなシチュエーションです。
 
≪成功するケース≫
mf_3.jpg
 
前線からボールを追いかけ、中盤やディフェンスラインもそれに連動してパスコースを切っていきます。相手の選択肢をどんどん奪うことで、タックルやインターセプトを成功させやすくなります。
 
一方、プレッシングを失敗するケースの多くは、下記のような状況が見られます。
 
≪失敗するケース≫
mf_4.jpg
 
相手のパス回しに対して、守備の人数が足りていないのに各人がボールに突っ込み、突破されるケースです。無茶なプレッシングで追い回すことで、守備チームの前線からディフェンスラインまでの距離が間延びしてしまい、MFは広大なスペースを当ても無く走り回ることになります。
 
このような状況では、前線がプレスに行くのを中盤やディフェンスラインの指示で「待て!」と止めて、全体のブロックをコンパクトに保って相手の攻撃を遅らせることも重要になります。そして守備の人数が整ったら、相手の横パスやバックパス、あるいは不注意なパスなどをきっかけにプレッシングを行うと良いでしょう。
 
MFの役割は、前線とディフェンスラインをリンクする(つなぐ)こと
 
前線のプレッシングの開始位置が高すぎたり、逆にディフェンスラインの押し上げが足りなかったりすると、間延びした広大なスペースで苦労するのはMFです。
 
「おかしいな」と思ったら試合中にもきちんとコミュニケーションを取り、チームの修正を図りましょう。
 
<<ポジショニングのセオリー(GK編)はコチラ
 
<<ポジショニングのセオリー(DF編)はコチラ
 
ポジショニングのセオリー(FW編)はコチラ>>
 
 
清水英斗(しみず・ひでと)//
フリーのサッカークリエイター。ドイツやオランダ、スペインなどでの取材活動豊富でライターのほか、ラジオパーソナリティー、サッカー指導、イベントプロデュース・運営も手がける。プレーヤー目線で試合を切り取ることを得意とし、著書は、『サッカー観戦力が高まる~試合が100倍面白くなる100の視点』『サッカー守備DF&GK練習メニュー100』『サイドアタッカー』 『セットプレー戦術120』など多数。
●twitterID:@kaizokuhide
 
 

 

≪パスを真横で受けて失敗するケース≫

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文/清水英斗、写真/小林健志(2012全日本少年サッカー大会より)

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