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「技術」を「テクニック」に変えていく~ベガルタ仙台ジュニア壱岐友輔監督が語るU-12年代の指導

公開:2013年2月19日

キーワード:ベガルタ仙台指導

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 バーモントカップ全日本少年フットサル大会で2年連続準優勝となったベガルタ仙台ジュニア。各種全国大会で躍進を見せるチームでは一体どういう指導が行われているのでしょうか。壱岐友輔監督にグラウンドの中と外での指導方針について伺いました。
 
 
<<壱岐友輔監督が語るチームの「団結」と「進化」
 
 

■相手がいないところでボールを扱う「技術」から実践の「テクニック」へ。

――現在、ベガルタ仙台ジュニア出身選手がジュニアユースやユースで活躍するようになり、年代別日本代表候補に入る選手も出てきましたが。
 
 大会成績も注目されがちですが、ジュニアができて以来の成果は、ジュニアの卒業生がジュニアユース・ユースで活躍しているのが、ジュニアを設立して本当に良かったと思うところですし、日本を代表するような選手が選ばれるようになってきたのは育成の結果として表れているのかな、と思います。大会での結果と共に育成の結果、両方付いてきているので良いことだと思っています。あとは継続することです。
 
――具体的な技術面でどういった指導を心掛けていますか。
 
 まずは相手がいない状況で自分の思ったところにボールを止めることができて、思ったところに運ぶことができて、思ったところにボールを蹴ることができる。これが間違いなく重要で、これを私の中では「技術」と呼んでいます。
 
 その「技術」を試合の中でどうやって使うかという部分を「テクニック」と呼んでいます。サッカーの試合は相手も味方もいていろんな状況が混ざっているので、その中でどうやって「技術」を選んでいくか、判断の部分になってきます。
 
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後ろ走りで全力疾走する練習
 
 「止める、蹴る、運ぶ」という「技術」が正確にできるようになって、「テクニック」へ徐々に移行していきますが、移行のタイミングや見極めも大事です。思ったところにボールを止められない選手に「テクニック」を求めてしまうと頭がいっぱいになってしまいますので、練習の割合も考えるようにしています。週末の試合を参考に「技術」と「テクニック」の割合をまた考えます。
 どちらにせよ、様々なバリエーションを持たせた繰り返しの練習が重要になります。
 
――バーモントカップでは小さい選手であっても、大きい選手と対峙しても倒れることが少なかったように思えます。体幹も意識してトレーニングをされていますか。
 
 意識しています。ちょうど2~3年前の年代から体幹トレーニングを採り入れ始めています。試行錯誤しながらやってきていますが、ウィークデーの練習に2回くらい採り入れています。そして食事の部分でも栄養講習会を実施し保護者の皆さんのサポートもあってより良い体づくりが出来る環境になっています。
 
――GK専任選手を今の6年生の代から獲得していますが、GKの技術指導に関してはどうお考えですか。
 
 フィールドプレーヤーと練習メニューはほとんど一緒です。練習時間より早く来させて、GKコーチが30分くらい見てから練習に入ることもありますが、ほぼフィールドプレーヤーとメニューは一緒です。どのGKも加入当初に比べて、だいぶ足下の技術が向上して、フィールドプレーヤーの一員として試合に関われるようになったと思います。
 
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ボールタッチする足の箇所を限定したドリブルの「技術」練習
 
 インタビューの後、ベガルタ仙台ジュニアの練習がありました。
 
 まずは「技術」の練習。右足のアウトサイドだけ、などボールを触る箇所を限定してのドリブル練習から始まりました。そして、パス練習では、相手がいることを想定して、相手を外す動きをしてからパスを入れる練習。その後は後ろ向きでの全力ダッシュや、重心を一方向にかけた後反転してのダッシュといった練習を行いました。この辺から徐々に「テクニック」の練習へと移行しかけていて、この後行う1対1の対人練習のための動きの練習となっています。
 
 再びパス練習に戻ると、かなり「テクニック」の要素が濃い練習となり、パスを受ける前に様々なアクションを入れるという実践の「テクニック」として使えるプレーを練習していきます。
 こうした練習の後に1対1の対人シュート練習や1/8コートでのミニゲームを行いました。そして、この日はありませんでしたが、練習の締めに体幹トレーニングを行う日もあります。
 
 実際のサッカーの試合の場面を想定した動きを徹底して練習し、「技術」の引き出しを増やし、それを「テクニック」として実践で使えるようにしていくのがベガルタ仙台ジュニアの練習の特長です。
 フィールドプレーヤーとGKが同じ練習をするのも特長です。今はGKも足下の技術が要求されていますので、GKも足下でボールをしっかり扱えるよう練習を重ねています。
 
 そして体幹の強い選手がトップチームに多いベガルタ仙台らしく、体幹トレーニングや食育を徹底し、簡単に当たり負けしない体づくりも心掛けています。バーモントカップでは体の小さい選手が大きい選手を背にしてもしっかりボールをキープするシーンが目立ちましたが、こうした練習や食育の成果が表れたのかもしれません。
 
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「技術」練習から実践で使う「テクニック」の練習へ。攻守1対1の対人練習
 
 

■グラウンドの外での指導は?

 その他グラウンド外での指導に関しても伺いました。
 
――「ベガルタ図書館」という世界のサッカーのDVDを自由に見られる仕組みもあるようですが。
 
 世界のトップレベルプレーを見てもらえるようにして、興味のある子は借りていって見ています。イメージが大切ですからね。常に意識しているのは世界です。
 
――U-12年代の子達にどういう気持ちでサッカーに取り組んで欲しいと思っていますか。
 
 うまくなりたい、強くなりたいという向上心を持ち続けて取り組んで欲しいです。そのために個人の目標、チームの目標を立てさせて、それに向かって一生懸命取り組まなければいけないよ、と常々言っています。
 
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パス練習の意図を説明する壱岐監督。パスを受ける前にアクションを入れる
 
――サッカーを通じて人間性・社会性を学ぶという点についてはどうお考えですか。
 
 我々の仕事は、人の育成であって、サッカーだけではなく社会性を身につけてもらわなければいけません。グラウンド以外の所も厳しく伝えるようにしています。将来、人から必要とされるような人材に育って欲しいと常々考えてピッチ内・外取り組ませています。サッカー選手に将来確実になれますとは約束はできませんが、必ず大人にはなります。大人になった時、人から必要とされる人材になって欲しいのが一番の願いです。それがサッカー選手であればより嬉しいですね。
 
――いつかはベガルタ仙台のトップチーム、さらには世界で活躍する選手が出てきて欲しいと思いますか。
 
 一期生が今年いよいよ高校3年生になります。そこで活躍してまずはトップチームに昇格して活躍してほしいと願っています。
 
 
 サッカーを通じて社会性を身につけて人から必要とされる人材となって欲しい、そしていつの日かサッカー選手として世界で活躍する人材を生み出したい、というのが壱岐監督の願いです。2005年にベガルタ仙台ジュニアに加入した一期生は、今年の4月で3年生となり、いよいよプロ入りを目指す最終学年となります。現在ベガルタ仙台ジュニアで活躍する選手、そして出身選手がトップチームや世界で活躍する日がくるのが楽しみです。
 
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取材・文・写真/小林健志

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