ゴールを奪うために必要なボールコントロールやパスは大切。しかし、実際に試合をすると、その技術が思うように発揮できないことがあります。もしかしたら、それは意識をすることによって解消できるかもしれません。前編と同じく、世界各地で選手や指導者に対してクリニックをおこない、関東圏内でもサッカーサービススクールを展開する『サッカーサービス』のDVD『知のサッカー』の説明会で取り上げられたオフ・ザ・ボールの動きの内容を参考に解説していきます。(隈崎大樹/LOCOMO&COMO 写真 鈴木蹴一)
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■世界のストライカーは計算高い!?
世界のトップクラスで活躍するストライカーは、「結果が全て」という重圧を物ともせず毎試合ゴールネットを揺らす。ある人はそれを「ゴールへの嗅覚が優れている」「本能的な動きだ」と例え絶賛しているが、そこにはある秘密が隠されている。FCバルセロナのFW、ルイス・アルベルト・スアレス(以下スアレス)は生粋のストライカーだ。強靭なフィジカルで相手DFのチャージを封じながらドリブルし、ゴールを決める彼の姿はなんとも豪快である。そんな彼がプレーをしている試合を観るとボールを持っていない時、よく計算して動いていることがわかる。彼はボールを受け取る前に、自分がこれからプレーをするスペースをつくる動きがとてもうまい。このスペースは、クルマがローからトップギアに切り替えるために必要な距離をイメージするとわかりやすい。さすがにスアレスも、一歩目からトップスピードは出せない。彼は最高の状態でプレーができるように、つねに「どこに移動をすればよいか」を計算しているに違いない。ほかのストライカーにも、その選手独自のトップギアの入れ方がある。その技術はポジションを問わず、サッカーには必要不可欠なテクニックなので、FWの選手でなくても観る価値は十分にある。
スペースは“人”と“ボール“が動くことによって生まれるもの。コーンを使用したドリルトレーニングや1対1のシンプルなトレーニングと比べると、難しいと感じてしまうかもしれない。しかし、何をしたいか目的によってスペースのつくり方にいくつかパターンがあるので紹介していく。
■"門"のつくり方
前編で、守備の基本は“みる”ことだと説明した。では、その守備を突破するためにはどうすればよいか。答えは簡単、“みえなく”なればいいのだ。つまり、目がついていない相手の背後にポジションをとることが重要となってくる。そうすることで守備の選手のプレッシャーがない、フリーの状態でボールを受けることができる。イメージする場所としては、2人の守備の選手の間から後ろにあるスペース(もしくはサイドラインと守備の選手)を指す。守備の選手と選手の“間”に位置するとボールを受けた時、すぐにプレッシャーを受けてしまうので注意が必要だ。背後に位置し、守備の選手間が空いた“門”の状態でボールを通された守備の選手は、背後のみえないスペースでプレーをされてしまうので、どうしても対応が遅れてしまうのだ。この、ディフェンスを“門”と見立てるスペースのつくり方は、パスコースをつくる基本のひとつとして身に付けておきたいテクニックだ。
■“幅”のつくり方
攻撃時、各選手が幅をもったポジションを取ることで、プレーの幅も広がる。フィールドのサイドに移動する単純な動きだが、幅を広げた選手がフリーならば、そこがプレースペースに、幅をつくった選手に守備の選手が釣られてしまえば、その選手がいなくなった分、真ん中にいる攻撃の選手たちのプレースペースが広がるのだ。この、幅をつくるという動きは自分のプレースペースをつくるほかに、味方のそれを広げる役割がある。幅をつくる動きによって、ボールが直接関係するのが自分なのか、それとも味方なのかを考えながら動きたい。
日本の育成年代における攻撃・守備の問題点と課題を徹底解説!