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パスの出し手の正しいボールの置所とは?/大宮アルディージャU12が実践する自陣から中盤エリアへ侵入するビルドアップトレーニング

公開:2019年9月19日 更新:2019年10月 1日

U-12年代の強豪として、数々の大会で好成績を残している、大宮アルディージャU12。正確な技術をベースとしたポゼッションサッカーを展開する同クラブでは、どのようなトレーニングのもとに攻撃を形成していくのだろうか?大宮アルディージャU12の金川幸司監督が実践するトレーニングを紹介したい。(文・鈴木智之)
(※COACH UNITED 2019年6月10日掲載記事より転載)

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■ボールを受ける前からどこにパスを出すのかをイメージしておく

トレーニングのテーマは「自陣から中盤エリアへ侵入するために必要なビルドアップトレーニング」。動画前編では「ビルドアップの実行に求められる、ポジショニングとパスの習得」と題し、パスを出す選手にフォーカスしたトレーニングを行っていく。

最初のメニューは「4対1のボールポゼッション」。いわゆるロンドや鳥かごと呼ばれるトレーニングで、グリッドの中にいるDFにボールを奪われたら、中と外の選手が交代する。また、パスが8本通った場合とDFの選手がボール奪取後に5本パスが通ったら、DFの選手は外で待っている選手と交代するというルールが設けられた。

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金川監督は「ボールを貰う前のポジション、ボールの置所、パスの出し方、判断の基準をポイントにおいてトレーニングしていきます」と話し、4対1がスタートした。

選手たちのプレーを見ていた金川監督は、次のポイントを意識付けさせていく。

・ボールをコントロールする前に、どこにパスを出すか、考えておく
・左右両方にパスを出せる位置にボールを止める

「ボールをコントロールしてから考えるのではなくて、コントロールする前に考えよう。ボールが来る方とは逆の方向を見ておいて、相手が来たらワンタッチで出すなど、コントロールからパスを速くしよう」

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また、ボールを持っていない3人の選手には「ボールが来たら、どうするかというイメージを持っておくこと」についてもコーチングしていた。

さらに「対面パスが2本通っても交代」というルールを追加し、「対面を狙おう」という声をかけていく。ここで「どうやって対面にパスを入れるか」を、選手たちは考えてプレーすることになるのだが、金川監督は「DFからずれたところにポジションを取れば、ワンタッチで対面にパスを出せる。バックステップで移動して、縦パスを狙える位置に入ろう」とアドバイスを送る。ここでもポイントはボールだけでなく、周囲の状況を見ることである。

■連動した動きの中ではワンステップで蹴られる位置にボールを止める

続いては「四角形のパストレーニング」。一度にプレーするのは4人。四つ角にそれぞれ選手が入り、最初の選手がパスを出し、次の選手がパスを受けてという動きを繰り返し、4人目の選手は受けたボールをドリブルし、隣のグリッドへと移動する。

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ここでは、パスの出し手がボールをコントロールした瞬間、バックステップを踏んでマーカーからフリーになるイメージで動き、パスを受ける。そして、次の味方にパスを出しやすい位置にボールを置くことを徹底。さらに、できるだけワンステップで蹴られる位置にボールを置くことで、素早くキック動作に移ることができると同時に、相手選手にパスコースを読まれにくくなることをレクチャーしていた。

「ボールをコントロールする時に、相手と味方の動きとスペースを見たい。ボールを足元に置きすぎても、足元から離れすぎても周りを見ることが難しくなるので、遠くが見える位置にボールを置こう」

さらに、蹴り方についてもアドバイスを送る。

「ボールを足元に置きすぎると、体重が乗るような蹴り方になるので、相手にコースを読まれやすい。相手にコースを予測させたくないので、ボールを押し出す蹴り方ではなく、足を振って蹴れるところにボールを置こう」

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このあたりは動画で実演しているので、ぜひ確認してほしい。

続いては、4人目の選手が3人目の選手に近寄り、ボールを落とす動きを追加。ここでは、架空のディフェンダーを後ろに引きつけて、前方にスペースを作った状態でパスを受けに行くイメージで実施する。

「パスの出し手は受け手の動きを見て、どこでボールを欲しいかをイメージしよう。受け手はスペースを作ることで『そこのスペースを使うんだ』と、出し手に知らせよう」

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そして、バックステップで(架空の)相手の背中をとるか、相手を後ろへ引っ張って前方にスペースを作り、足元で受けるかをパスの受け手が選択し、それに合わせて出し手がパスを出すプレーにフォーカス。金川監督は選手たちの集中力、疲労度を観察しながら「あと1分、集中してやろう」などの声をかけ、良いプレーをした選手を褒めることで、集中力アップに働きかけていった。

前編のトレーニングはここまで。後編では、より実践に近づけたトレーニングに移って行く。

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【講師】金川 幸司/
阪南大学を卒業後、2000年に大宮アルディージャに入団。翌年、NTT西日本熊本FCへレンタル移籍。その後、オーストラリアの「パインリバース」でプレー。引退後はセレッソ大阪サッカースクールコーチをスタートに各年代のコーチを経験。2012年以降は大宮アルディージャでユースコーチ、育成コーチ、U12コーチを経て、現在はU12監督を務めている。

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文/鈴木智之

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