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テクニック

方向づけのコントロールとマークを外す動き/スペインで徹底されるジュニア年代が身につけておくべきスキル

公開:2019年11月14日 更新:2021年11月18日

COACH UNITED ACADEMY、今回の講師はスペインサッカー協会の指導者資格レベル3(UEFA Pro相当)を有し、バルセロナ近郊のマリアナオ・ポブレのユースA(4部)の監督を務める吉田和史氏。「スペインで実践されている、パスワークとポジショニングを高めるトレーニング」と題し、戦術的要素を含んだ2つのテクニックを通して、スペインにおけるサッカーの解釈について教えてもらった。(文・鈴木智之)

(※COACH UNITED 2019年1月28日掲載記事より転載)

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■スペインでは6~7歳からインサイドでのパスやトラップを徹底した指導を行っている

トレーニング前編のテーマは「方向づけのコントロールとマークを外す動き」。これらをスペイン語で「コントロール・オリエンタード」と「デスマルケ」という。トレーニングでは、スペインサッカーのベースでもある「インサイドでのパス」「方向づけたコントロール」「マークを外す動き」の3つのテクニックについて行われていく。 「最初に行う対面パスの練習では、インサイドでのコントロールとインサイドでの強いパス、そしてボールを受ける時の体のコーディネーションの3つが重要になります。スペインでは、小学3年生までの間にこれらの指導を徹底し、そこから発展する練習に結びつくようにしていきます。今回の練習では止まった状態での対面パスから、前後の移動を加えて、動きの中で正確にコントロールとパスができるようにしていきます」

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1つ目の練習では、2人1組を作り、3mの距離でパス交換を実施。その後、2人組で前後に移動する中で、正確なパス&コントロールを意識していく。 子どもたちの様子を見ながら、吉田氏は「ボールを足元で止めるのではなく、次のパスを出しやすいように、蹴る足の前にコントロールすることを徹底しよう」とアドバイス。前後の移動を伴うパス交換では「相手の状況を見て、適切な強さのパスを出すこと」について、実演を交えながら説明していく。

1つ目の練習が終わったあとには「スペインではリフティングや1対1の練習をあまりやりません。小さな頃から、強くパスを出して、しっかりとコントロールする練習をします。それがサッカーのすべての基礎になります」と話し、選手たちに意識付けを行っていった。

■マイボールを失わないための効果的なトラップ「コントロール・オリエンタード」

続いては「コントロール・オリエンタード」(方向づけたトラップ)の練習に移行。吉田氏は次のように説明する。 「スペインでは、足元に止めるトラップと、ファーストタッチで次のプレー方向にボールを送る、方向付けのコントロールの2つがあります。それを理解し、行ってもらいます。ポイントは最初のタッチで、次にプレーする方向にボールを送ることです」 ここでは四角いグリッドの四隅に選手を配置し、一方向へのパス循環を実施。赤いコーンを目印に、最初のタッチで方向を変え、2回目のタッチでパスを出す。

「何気ない動きだけど、みんながこれをすると、ボールを奪われにくくなります。右足、左足、足のどの面を使ってもいいので、大事なのは自分が行きたい方向へボールをコントロールすること。足だけでなく、身体も一緒に移動して、いまいるポジションから抜け出して次の位置へ移動するのが、コントロール・オリエンタードです」 トレーニング中、吉田氏が選手たちのプレーを観察し、適切なアドバイスをすると、プレーがすぐに変わっていく。そのあたりの声掛けの内容も、ぜひ参考にして頂ければと思う。 このトレーニングの発展形として、受け手がパスの出し手の方向にコントロール・オリエンタードをしてパスを返し、リターンパスを受けて、最初の進行方向にパスをする形もある。ここでは「パスを受ける選手の態勢を見てから、受けられる状況で強いパスを出すこと」に言及していた。

■緩急を使った動きで相手のマークを外す「デスマルケ」

この後、コントロール・オリエンタードのDFありの練習を行い、前編最後のトレーニングとして「サポートのデスマルケ(マークを外す動き)と突破のデスマルケ」を実施。グリッドの中で2対2の状況を作り、グリッドの外でボールを持っている4人の選手のうち、一人とパスを交換するというもの。

「デスマルケのポイントは、動きたい方向とは反対の方向にモーションを入れて、相手を引きつけておいてから、ボールを貰いたい方向へ動くこと。そして常に動くのではなく、静止状態から急に動き出し、相手の虚を突くことも大切です」 選手たちの動きやコーチングの詳細、トレーニングの発展形は動画をご確認頂ければと思うが、全体を通してサッカーの基礎として重要なコンセプトを身につけるためのトレーニングであり、吉田氏の分かりやすく、適切なコーチングも非常に参考になる。練習メニューの設定自体は非常にシンプルなので、ぜひ明日からのトレーニングに取り入れて頂ければと思う。

撮影協力:UNA PRIMAVERA FOOTBALL CLUB、FUTSAL POINT 両国

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【講師】吉田和史/

イタリアに4年、スペインに16年在住し、2007年にスペインサッカー協会の指導者資格レベル3(UEFA Pro相当)を取得。 バルセロナ市内で2003年より9才から社会人チームの第1監督を歴任し、日本人では初めてカタルーニャ州ジュニアユース2部リーグ、ユース3部リーグ、社会人7部リーグの監督を務める。 現在はバルセロナ近郊のマリアナオ・ポブレのユースA(4部)の監督を務めている。

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文・鈴木智之

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