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ヘディングが強くなる秘訣は「腕の位置」と「足の上げ方」/元川崎フロンターレの箕輪義信氏が考案する競り合いに勝つための練習方法

公開:2019年11月29日

かつて川崎フロンターレの守備の要として活躍し、日本代表にも選ばれた箕輪義信氏。引退後は神奈川県立菅高等学校に勤務し、サッカー部の監督を務めている。現役時代は屈強なセンターバックとして、空中戦に強さを発揮した箕輪氏に「指導者が知っておくべき、ヘディングの正しい指導法とポイント」を教えてもらった。プロの第一線で長く活躍した技と理論を知ることができる貴重な機会であり、なにより箕輪氏のデモンストレーションの素晴らしさは一見の価値がある。

前編のテーマは「ヘディングの基本となる身体の使い方を習得するためのトレーニング」。現役時代さながらの精悍な風貌の箕輪氏は、「ヘディングを指導することはとても難しいことだと思います。なので、今回は私が考える指導者の方に知っておいてほしいヘディングの指導方法とポイントをご紹介したい」と、COACH UNITED ACADEMY読者だけに、秘蔵テクニックを教えてくれた。(文・鈴木智之)

(※COACH UNITED 2019年9月24日掲載記事より転載)

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■始めは下半身の勢いを使わない座った状態からトレーニングを行う

まずは「ヘディングの基礎」を身につけるためのトレーニングのポイントについて。箕輪氏は次のように説明する。 「ヘディングをする際に重要な『上半身の使い方』を教えられるコーチは少ないと感じ、下半身の勢いを使って、ごまかすようなヘディングをする選手が多くいます。そのため下半身を使わないように、まずは座った状態(座位)で、ヘディングの練習をします」

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座位でのヘディング練習は上半身が主になるので、足をケガしている選手や、雨でグラウンドが使えないときなどにも有効だ。

●座位のヘディング(正面)

2人1組で実施。ヘディング役と投げ役に別れ、2メートルほど離れて向き合った形で、ヘディング役は地面にお尻を付けて座る。そして、投げ役が投げたボールに対し、正面の位置から上半身を起こしてヘディングをする。

ここで箕輪氏は実演を交えて「ヘディングをするときに、振り子のように上半身を動かすことは良くありません」と説明。上半身が棒のようになって屈曲せず、首と頭の動きだけでボールを捉えるのではなく、腕を後方に引き、胸を前に出す動きを利用して、ボールを顔の直前まで引きつけて、眉間にボールを当てる。

箕輪氏のデモンストレーションでは、座った状態とは思えないほど、スピードと威力のあるヘディングを見ることができる。「これが日本代表の技か」と感嘆せざるを得ないプレーなので、ぜひ映像で確認してほしい。

さらに箕輪氏は「最近のサッカー界では、体をうまく使えていない選手が増えています」と指摘する。

「両腕が縮こまった状態でヘディングをしてしまうのです。ヘディングで腕を使うのは、とても重要なことです。競り合いの中で怪我をしないように、身を守ることにもなりますし、しっかり腕を後方に引きつけて、胸から頭を前に出す動きを組み合わせることで、威力のあるヘディングができるようになります」

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ヘディング練習の効果を高めるためには、投げ役のボールの質も重要になる。箕輪氏は「ボールをちゃんと投げないと、選手は育たちません」と語り、ヘディングをする選手に対しては「ボールの文字が見えるぐらいに目を開けて、引きつけてヘディングをしよう」とアドバイスを送っていく。

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■真横から来るボールは眉毛の横の骨が固くなっている部分に当てる

●座位のヘディング(サイド)

ここでは、体の真横から来たボールに対して、首をひねるようにしてヘディングする動きをレクチャー。箕輪氏は「弓を射るときのように、両腕や上半身のひねりを使って体を一度後ろに引きつけて、勢いをつけて押し出すように」とポイントを解説。さらに「ボールを当てるのは、眉毛の横の骨が固くなっている部分。そこでボールの中央に押し出すように当てると、ボールが回転せず、速くて強いボールが飛んでいきます」と説明する。

横から飛んでくるボール対して、ドンピシャのタイミングで捉えるのは難しいが、箕輪氏の説明は体の使い方、理論、ポイントなど、デモンストレーションを交えて、非常にわかりやすく伝えられている。実演する選手は一般的なサッカー部の高校生なので、彼らの動きや、アドバイス後の変化などは、普段のトレーニングの参考になるだろう。

ここまでが、座った状態で上半身の動き方を身につけるトレーニングだ。

動画では、立った状態(立位)でのヘディングも、正面、サイドのボールと2パターン収録している。 立位のヘディング(正面)では「片方の足を前に出して、ボールを引きつけてヘディングする」「両腕を後方に引いて、弓矢のように反動をつけて前に出る」などのポイントを解説。サイドからのボールに対しては「片足立ちでヘディングをするときの足の使い方」「体の横の筋肉を収縮させて、ヘディングにパワーとスピードをもたらす動き」など、あまり情報としては出てこない、プロフェッショナルの技術を知ることができる。

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今回の動画は、箕輪氏が現役時代、どのようなイメージでヘディングをしていたのかがわかる内容になっており、現代の選手たちに必要な要素を向上させるためのトレーニングである。すべての年代の指導者にとって、必見の映像と言えるだろう。

後編では、前編で身に付けた技術を活かして、競り合いなど実践に近い形のトレーニングを行っていく。

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【講師】箕輪義信/

1976年、神奈川県川崎市生まれ。1999年に仙台大学から、ジュビロ磐田に入団。2000年に川崎フロンターレへ移籍し、レギュラーに定着すると、2005年には日本代表にも選出された。2008年にはコンサドーレ札幌(現・北海道コンサドーレ札幌)へ移籍し、2011年に現役を引退。2012年より体育教師を務め、現在は神奈川県立菅高等学校サッカー部監督。

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文・鈴木智之

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