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サッカーにおける攻撃戦術を紹介!グループ戦術の中で個人の判断力を高める練習メニューとは

公開:2020年8月28日 更新:2023年11月 9日

キーワード:グループ戦術ゲーム攻撃戦術数的同数試合

東京都の強豪として大会で好成績を残すとともに、技術と判断に優れた選手の輩出を目指す、JACPA東京FC。『サッカー指導者のためのオンラインセミナー「COACH UNITED ACADEMY」』では、U-11(※現:U-12)の鈴木宏輝コーチに「グループ戦術により、個人の判断力を上げるオフェンストレーニング」というテーマで、指導を実践してもらった。

後編のテーマは「ゲーム形式の中で、ボール保持時の選択を実践するための方法」。サッカーの試合に近い状況下で、より良い判断を選択するためのトレーニングメニューを紹介したい。(文:鈴木智之)

(※COACH UNITED 2019年12月16日掲載記事より転載)

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パスを出す選手は受け手の状況を最後までよく観てプレー選択を行う

動画後編、最初のトレーニングメニューは「2対2+GK」。鈴木コーチは「数的同数なので、ゆっくりプレーしている時間はない。崩しの状態を速く作れるようにしよう」と話し、トレーニングが始まった。

ここでは選手に対して、ゴールを意識したプレーの重要性を確認。「目的は何?ゴールに入れることだよね。それなら、味方がシュートを打つ前から、GKが弾くことを予測して動こう。セカンドボールを狙おう」と、ゴールに向かう姿勢、予測や動き出しなど攻撃面にアプローチしていく。

トレーニングの中で「試合中によくあるミス」と、プレーを止めて説明したのが、ボールを受ける選手が相手の背後に抜けようとしたが、マークが付いていたので、行くと見せかけて手前のスペースに戻ってきたプレーについて。その状況でパスの出し手は、受け手の前方のスペースにパスを出すと、相手に奪われてしまう。

鈴木コーチは「どうすればこのミスがなくなる?」と質問をし、選手からは「声を出す」「パスの受け手が、ボールを欲しいところを手で指し示す」などの答えが返ってきた。

「それも大切なことだよね。さらに大事なのが、パスを出す選手が、パスを受ける選手を最後までよく観ること。パスが出せないのであれば、プレーを止めてやり直せばいい。状況をしっかり観よう」とアドバイスを送っていく。

続いてのメニューは「2対2 強制2対1」。

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グリッド内で2対2+GKを行い、ボール保持側の選手がグリッド外にいる選手にダイレクトでパスを出したら、その選手同士が入れ替わるというルールだ。

加えて、その状況になると、守備側の選手もグリッド外の選手と交代しなければいけないので、ボール保持側はグリッド外の選手にパスを出すことで、守備側の選手が入れ替わる時間(数的優位の状況)を利用して攻撃をする。

鈴木コーチは「2対2で攻めるのと、2対1で攻めるのはどっちがいい?」と問いかけ、選手が「2対1」と答えると「それならば、2対1を早く作ろう。グリッド外の選手にパスを出せば、すぐに2対1が作れるよ」と、攻撃側にヒントを与えていく。

それにより、選手達のプレーが変わっていく。さらには守備の判断にも言及。「守備の選手は、1対2の数的不利の状態でどうすればいい?」と質問をすると、選手からは「相手の攻撃を遅らせる。パスコースを切る。かわされないような守備をする」といった答えが返ってくる。

質問を通じて考えさせ、プレーの優先順位を意識させること、頭の中を整理させる方法は、多くのサッカーコーチの参考になるだろう。

守備では、数的不利の状況でGKと2人で守ることにも言及。GKと連携して相手の攻撃を遅らせることで、ピッチ外にいた守備の選手が戻ってくる時間を稼ぐことができる。意外と見逃しがちな「GKと連携して守る」という部分にもコーチングしているのは、さすがである。

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前線でボールを受ける選手はDFを食いつかせてから味方にパスを出す

3つ目のトレーニングは「2対2+2フリーマン」。フリーマンを前後に配置することで、攻撃に深さが出る。「縦パスをどのタイミングで入れて、相手の守備を崩すか」という部分がポイントになる。

また、フリーマンは「縦パスが入ったらボールを収めてDFを食いつかせて、味方をフリーにしてからパスを出す」といった、周囲とのコンビネーションも重要だ。ここで鈴木コーチは、守備の選手に対してもアドバイスを送る。

「守備側がやられてはいけないのは、2人の間にパスを通されること。1人がボール保持者に寄せて、もう1人が背後をカバーする。そして、2人の間を閉じよう」と話し、攻撃側には「フリーマンを使って相手を崩すこと。3人目の動きでシュートに持ち込むこと」の重要性を伝えていく。

攻撃の練習というと、どうしても攻撃側の選手のプレーに注目してしまいがちだが、守備が整っていないと難易度が下がってしまうためいいトレーニングにならない。また、守備側に高い強度でプレーさせることもポイントだ。サッカーの試合を想定して攻撃側だけでなく、守備側にもコーチングすることで結果的に攻撃の質も高くなる。

最後は「GAME(3対3)」

GKが1人ずつ入る、3対3を実施。実戦に近い形なので、スペースがなくなる中で、幅をとって攻めること、狭い局面でボールの奪い合いが起きる状況を作らないことなどをコーチングしていった。

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練習の最後に、鈴木コーチはCOACH UNITED ACADEMYの読者に向けて、次のようなメッセージを送り、トレーニングを締めくくった。

「今回行ったのは、崩し方の材料を増やし、より良い判断ができるようにするトレーニングです。これを参考に、選手の創造性を膨らますことができると幸いです。回答を見つけるスピードを速めることのできるトレーニングなので、それが試合でのプレースピードを上げることにつながります。ぜひ参考にしてみてください」

サッカーの練習で攻撃面にフォーカスすることは少なくない。そのようなときに、どういった練習を行うのか、どういったコーチングを行うのかとといった点を整理しておこう。

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【講師】鈴木宏輝/
宮城県でFC FRESCA、ベガルタ仙台スクールを指導。2004年から14年、JACPA東京Jrユースを指導し、2019年よりJACPA東京FCU-11のコーチを担当。Fリーグ フウガドールすみだの前身、「BOTSWANA」でもプレーし、フットサルにも精通している。JFA公認A級コーチジェネラル、フットサルC級コーチライセンスを持つ。

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文/鈴木智之

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