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相手にプレスをかける適切なタイミングとは?/大宮アルディージャU12のグループで連動する守備の強化方法

公開:2020年9月 4日 更新:2020年9月11日

キーワード:ディフェンスプレッシャー大宮アルディージャ守備

選手個々の能力が高く、的確な判断のもとに組織的なプレーを展開する大宮アルディージャU12。彼らがどのような認知・判断・実行のトレーニングを行い、プレーに落とし込んでいるのかは、多くの指導者が気になるところだろう。

『サッカー指導者のためのオンラインセミナー「COACH UNITED ACADEMY」』では、過去に攻撃をテーマにしたトレーニングを紹介したが、今回はU12の金川幸司監督に「グループで主導権を握る守備の実践方法」というテーマで「ボールへのアプローチのタイミング&カバーリングの習得」について実践してもらった。全国トップレベルのチームはどのようなトレーニング、コーチングをもとに、選手たちを向上させていくのだろうか?(文・鈴木智之)

(※COACH UNITED 2019年10月28日掲載記事より転載)

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相手へのプレッシャーは使われたくないスペースを抑えながら行う

金川監督はトレーニングに入る前に、ポイントを次のように挙げる。

「守備はリアクションになってしまいがちですが、ボールや人に釣られすぎず、使われたくないスペースを抑えながら積極的にプレッシャーを掛け、ボールを奪うことを目的にトレーニングします。まずは、アプローチを掛けるタイミングやスピード、カバーリングのポジショニングや予測、体の向きなどに注意して、トレーニングを行っていきます」

最初のトレーニングは「ボールへのアプローチ&カバーリング(1)」。

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二人一組で横並びに立ち、正面にいるパスの出し手が左右のどちらかにパスを出した瞬間に反応して、ボールの近くにいる選手がワンタッチでパスの出し手に返す。もう一人の選手は、パスを出した選手が空けたスペースを、カバーできる位置に動く。

「意識して欲しいのは、パスの出し手の足からボールが離れた瞬間に動き出すこと。ボールが出ていないのに、先に動くとアプローチにならないし、ボールが出た後、時間が経ってからアプローチしても遅れてしまう。パスの出し手の足元からボールが離れた瞬間に反応して、ボールに寄せていこう。同時に、ボールにアプローチした選手が動いたことでできるスペースを埋めるために、もう一人の選手がカバーリングの位置に入ろう」

さすが大宮アルディージャU-12の選手というべきか。正確な技術と判断でテンポよくプレーし、金川監督の要求に応えていく。ここで金川監督が強調したのが、「パスが出る前に、速く動きすぎないこと」だ。

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基本的には、実際の試合でアプローチのタイミングが早すぎると、2人の間(オーガナイズの中)にパスを通されてしまう可能性が出てくる。それを防ぐために内側へパスを通させないポジショニングを意識することと、ボールが出た瞬間を見逃さずにプレッシャーにいくアラートさが必要となる。

続いては「ボールへのアプローチ&カバーリング(2)」。

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パスの受け手(レシーバー)を作り、2対2の状況でプレーする。ルールは(1)と同じで、攻撃側の選手はボールを受けたらコントロールをして、パスの出し手にボールを返す。守備側はできるだけ細かいステップで相手に近づき、プレッシャーをかける。

金川監督は守備側の選手の、アプローチの仕方について言及。「ステップ(歩幅)が大きくなると、相手に簡単に外される。アプローチしてしっかり止まり、相手がドリブルを始めてもついていけるようにしよう」

動画では「パスコースを切るために、どの位置に立つのか」「体の向きの作り方」など、カバーリングについて細かく指導をしているので、ぜひ実際のプレーの様子を見てほしい。

カバーリングを行う選手は裏を取られないポジションを意識する

3つ目のトレーニングは、ゴールをつけた「2vs2 ライン突破からシュート」。

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「フラットマーカーからゴール寄りのエリアに入ってからのみ、シュートを打って良い」というルールなので、ボールを保持している側は、守備側2人の間を通すスルーパスでラインを突破し、ゴールに結びつける動きがポイントになる。

金川監督はプレーを途中で止めると、守備側2人の裏のスペースにパスを出された場面を切り取り、説明を始めた。それは、カバーリングすべき選手(ボールから遠い位置にいる、守備側の選手)がボール保持者に寄りすぎてしまい、守備側2人の間に生まれたスペースにパスを通されてしまった場面だった。

「(ボールから遠い方の守備の選手が)中に絞ることを意識していたと思うんだけど、もう一歩だけ中(内側)にポジションをとっていれば、パスコースは生まれていなかった。ボールに行きすぎないように、裏を取られないポジションをとろう」と説明し、「どちらの選手がボール保持者にプレッシャーに行けばいいのか、迷ったときは『行け!』『OK!』など声を出して、2人のうち、どちらが行くのかをはっきりさせよう。ボール保持者に対して、プレッシャーがかからない状況を作らないようにしよう」とアドバイスを送っていた。

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トレーニングでは2対2の状況で、1人がボール保持者へアプローチし、もうひとりがカバーリングする動きを繰り返して実施。金川監督は、守備側の選手が「パスを出されたくない位置」に入った時に「ナイス!」と声をかけていた。

前編のトレーニングはここまで。ジュニア年代トップレベルの選手たちが、どのようなトレーニングをしているのかがわかる貴重な映像になっているので、ぜひ動画を見てもらえればと思う。後編ではチャレンジ&カバーに加えて「プレッシャーをかけてボールを奪う」部分に意識を向けた実践に近いゲーム形式のトレーニングを紹介する。

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【講師】金川幸司/
阪南大学を卒業後、2000年に大宮アルディージャに入団。翌年、NTT西日本熊本FCへレンタル移籍。その後、オーストラリアの「パインリバース」でプレー。引退後はセレッソ大阪サッカースクールコーチをスタートに各年代のコーチを経験。2012年以降は大宮アルディージャでユースコーチ、育成コーチ、U12コーチを経て、現在はU12監督を務めている。

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文/鈴木智之

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