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ハイプレスから素早い攻撃を展開する方法とは?/富山第一高校のバイタルエリアを攻略するトレーニング

公開:2020年12月25日 更新:2020年12月29日

キーワード:ハイプレスバイタルエリア大塚一郎富山第一高校

2014年に全国高等学校サッカー選手権大会で初優勝を果たし、高校年代最高のプレミアリーグにも5年間在籍するなど全国大会でコンスタントに上位進出をしているのが富山第一高校だ。チームを率いるのは、プレミアリーグ「ウェストハム」で指導法を学び、2018年にはAFC proライセンスを取得した大塚一朗監督。

COACH UNITED ACADEMYでは、高校サッカー界屈指の戦術家として知られる大塚監督が重要視する「バイタルエリアを攻略する攻守のトレーニング」についてトレーニングを紹介してもらった。(文・森田将義)

(※COACH UNITED 2020年3月9日掲載記事より転載)

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ゴールを奪うためのポイントになるのが「14ゾーン」の攻略

全国大会で目覚ましい成績を収める富山第一高校だが、大塚監督は「うちに在籍する選手は、強さ速さなど個の力で見ると全国の強豪に勝てない。格上と全国大会で勝つためには効率よくゴールを奪う必要がある」と口にする。

効率よくゴールを奪うためにポイントになるのが、富山第一高校が「14ゾーン」と呼ぶバイタルエリアでの崩しだ。得点の9割が、ハーフコートを3×3マスの9マスに分割した際に、自陣から数えると14番目のゾーン(ペナルティーエリアの手前中央)を通過して生まれているとの分析から生まれた考え方だ。

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アーセナルやマンチェスター・シティなどプレミアリーグの強豪も、「14ゾーン」を通過してサイドに展開したり、中央でワンツーを仕掛けて、多くのゴールネットを揺らしている。守備の目線で言えば、いかに「14ゾーン」で相手を自由にさせないかが重要と言えるだろう。

富山第一高校では、「14ゾーン」での攻防を意識づける基礎的なトレーニングとして、フリーマンを用いた「1対1」に取り組んでいる。メニューは、守備の選手が攻撃の選手にパスを出した時点でスタート。攻撃は守備のプレッシャーを掻い潜り、ラインをドリブルで突破するか、フリーマンにパスを出せれば勝利。守備はボールを奪えば勝利というルールだ。

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ポイントになるのは、守備側の守り方。攻撃側の選択肢を無くすため、守備はフリーマンへのパスコースを切りながら、アプローチをしなければいけない。

相手を狭いエリアに誘導し、タッチが乱れた瞬間にボールに近い方の足を出し、身体を入れると相手の突破を止められる。注意したいのは相手に寄せる速さで、全走力で相手との距離を詰めると、スピードを上げた相手に簡単にかわされるため、一定の距離を詰めるとスピードを落とし、じっくり相手と対峙するよう意識する。

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「14ゾーン」でボールを奪えれば得点チャンスが高くなる

「1対1」で「14ゾーン」を守るための基礎を身につけたら、「ハーフコートゲーム(ハイプレス)」を行い、実戦形式に近づけていく。攻撃がメインとなるメニューであるため、守備側にだけGKとゴールがついたメニューだ。

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守備側は多くのチームが採用する4-4-2だが、自チームを想定した攻撃側は、5-3-2を採用。1950年代にハンガリー代表が取り入れ、一時代を作ったWMシステム(※3-2-2-3のフォーメーションでフィールドプレーヤーがWMの形に並ぶことが由来)を現代風にアレンジしたスタイルで、5人で攻めて、5人で守る形なので、攻守のバランスが崩れないのが特徴と言える。

メニューのポイントになるのは、攻撃側の守備方法だ。「14ゾーン」でボールを奪えれば得点チャンスが高くなるため、2トップは守備側のボールホルダーに対し、ハイプレスを実施。中盤の3人は、守備側にとっての「14ゾーン」にボールを入れさせないようにケアするか、ボールを奪うのが狙いだ。

守備の際に重要となるのは、前線からの連動した動きで、中盤は2トップにプレッシャーをかけられた相手CBがどこにボールを展開するのか予測しながら守備のポジションをとる。ボールが出てから寄せていては対応が遅れてしまうため、常に「相手が何をしたいか」を考えなら、予測して動き続けなければいけない。

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相手CBの身体の向きやポジショニングを見て、先回りするのが大事と言える。予測した通りにボールを奪うためには、2トップへのコーチングで相手のコースを消して、ボール奪取を狙う位置にボールを誘導するのもポイントだ。

奪ってからのイメージを持ちながら守備をするのも重要で、中盤は相手DFが下がり空いた「14ゾーン」に侵入する意識しながら、プレーすべきだ。大塚監督が行う細かな声かけや守備の意識づけは、ぜひ動画でチェックして欲しい。

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【講師】大塚一朗/
現役引退後、1989年に渡英し、イングランドのインターナショナルライセンス(18歳以下のチームの指揮が可能)を取得し、帰国後はアローズ北陸の監督を務め、2004年にUEFA公認A級コーチライセンスを取得。2005年には、アルビレックス新潟シンガポール監督に就任、2年間チームを率いる。2008年に富山第一高校サッカー部コーチに就任すると、2012年より監督を務める。2014年には、第92回全国高等学校サッカー選手権大会にて同校および富山県勢初の優勝を果たした。また、2018年にはAFC proライセンスを取得している。

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