1. サカイク
  2. コラム
  3. テクニック
  4. 関西のJクラブも注目する滋賀県のジュニアチャンピオンA.Z.Rが行うトレーニング【後編】

テクニック

関西のJクラブも注目する滋賀県のジュニアチャンピオンA.Z.Rが行うトレーニング【後編】

公開:2021年1月15日

キーワード:A.Z.R攻守駆け引き

滋賀県で活動するA.Z.R(アッズーロ)は「攻守に主導権を握るサッカー」を標榜し、育成と結果の両立を目指すクラブである。2020年の「JFA 第44回全日本U-12サッカー選手権大会」に滋賀県代表として初出場し、6年生のうち4名がJクラブのジュニアユースに進むことが決まっている。

U-12の古荘隆徳監督が実演するトレーニング。後編ではチームのスタイルでもある「攻守で主導権を握るために必要な駆け引きの習得と、相手の逆を突くトレーニング」をテーマに、前編で行った内容の発展系として「プレーエリアを制限した、ゲーム形式の実戦練習」を実施してもらった。(文・鈴木智之)

(※COACH UNITED 2020年12月21日掲載記事より転載)

この内容を動画で詳しく見る

furusho02_01.png

<< 前回の記事を読む 

チームでボールを保持するには受け手がアクションを起こすことが重要

後編最初のトレーニングは「6対3のパス回し(プレーエリア制限)」。グリッドを2つに分け、攻撃側は3人ずつに別れてポジションをとる。守備側はボールサイドのグリッドに2人入って良いというルールで、残りの守備側の選手(1人)は、グリッド間のスペース(2m)でインターセプトを狙う。

furusho02_02.png

各グリッドに攻撃3人、守備2人となり、攻撃側が数的優位になっている。その状況でどのようにして守備側を攻略し、逆サイドにボールを運ぶかに焦点を当てて、トレーニングがスタートした。

このトレーニングで求められるプレーは、守備側の寄せが甘く、パスコースがある場合はパスをして素早くボールを動かし、逆サイドに展開すること。相手が奪いに来たら、ドリブルをしてボールを運び、状況を変えて局面を打開していくこと。どちらも、前編のトレーニングで意識させたポイントだ。

さらに攻撃側は相手にボールを奪われた瞬間、素早く攻守を切り替えて、守備側になる。そして、すぐさまボールへアプローチをかけていく。攻守の切り替えのスピードも求められるメニューだ。

古荘監督は「ボールを運んだら(動かしたら)状況が変わるぞ」とアドバイスし、自ら動くことでプレーの主導権を握り、局面を打開していくように声をかけていく。

furusho02_03.png

加えて、ボールサイドより遠い方のグリッドにいる攻撃の選手に対し、守備側のポジションを見て、空いているスペースを探して移動し、パスを受ける準備をすることをコーチング。

攻撃側の選手がボールを受けるためのアクションを起こすと、守備側のカバーの選手はパスコースを切る動きをせざるをえない。そうすると、攻撃側が使うことができる、新たなスペースが生まれる。

そのようにして攻撃側はスペースを作り、空けたスペースにもうひとりの選手が入っていく。その場にとどまってボールを受けようとするのではなく、受け手がアクションを起こすことで状況を変えることが重要だ。

古荘監督は「ボールが来るのを待つのではなく、動きを入れよう」と声をかけ、スペースを空ける動きをして、守備側を動かした選手のプレーを見逃さず「ナイスプレー」と声をかけていた。

furusho02_04.png

続いて、「守備側の3人目の選手は、2m幅のエリアから前に出て、インターセプトをしてもOK」とルールを変更。古荘監督が「インターセプトを狙えよ」と声をかけると、言葉どおり、良いプレーが出始める。

ゲームでは練習の成果を出しやすくする工夫(条件設定)を入れる

トレーニングの締めくくりは「プレーエリアを3分割した6対6+フリーマンのゲーム」。
6人が2組に別れ、DFゾーンに2人、MFゾーンに3人、OFゾーンに1人入る。選手は決められたゾーンでプレーし、プレーゾーンを変える場合は他の選手がカバーに入る。

furusho02_05.png

OFゾーンに進入したら、MFゾーンの選手がOFゾーンに入り、フリーマンを使いながら、数的優位を活用し、ワンツーかドリブルでエリアを突破すると得点となる。(OFゾーンではタイミングを見てオーバーラップし、得点を狙う)。

プレーの狙いとしては、最終ラインからビルドアップし、パスコースに顔を出して状況を変え、有利なスペースへボールを運び、前進すること。ドリブルで相手をはがすと数的優位ができるので、そのタイミングを見逃さず、積極的に仕掛けることもポイントだ。

furusho02_06.png

ただの6対6や8対8のゲームではなく、グリッドを区切ってルールを加えることで、それまでのトレーニングでフォーカスした現象が出やすくなっていた。それはつまり、選手に繰り返し、ポイントを意識させることでもある。このようなトレーニングを積み重ねていくことでサッカーの理解につながり、プレーの引き出しが増えていく。それも滋賀県で優勝することができた一因だろう。

選手たちのプレーの様子、高い技術と判断を織り交ぜながら、局面を打開していく様子は、ぜひとも動画で確認してほしい。県で優勝するチームの力量、Jクラブに合格する選手のクオリティがどのようなものなのかを感じとることができるだろう。

古荘監督はトレーニングを終えて、次のように語った。

furusho02_07.png

「今回紹介したトレーニングをすることで、相手との駆け引きが上達します。ボール保持のスキルアップの狙いがあり、プレーエリアを制限することで、オフザボールの動きの上達が期待できます。ぜひ今回実施したトレーニングを参考にしてみてください」

<< 前回の記事を読む 

この内容を動画で詳しく見る

【講師】古荘隆徳/
東京農業大学を卒業後、甲賀クラブ(滋賀)、アリーバ甲賀(滋賀選抜)、SR2008(滋賀選抜)でプレー。「選手が考え、判断することにより自立心を育て、将来プロで活躍する選手の育成に務めること」をモットーに2014年に設立されたA.Z.Rで設立当初からコーチを務める。2020年度よりトップチームの監督に就任し、チームを初の全国大会出場へと導いた。

1

サカイク公式LINE
\\友だち募集中//

子どもを伸ばす親の心得を配信中!
大事な情報を見逃さずにチェック!

友だち追加
サッカー少年の子育てに役立つ最新記事が届く!サカイクメルマガ
鈴木智之

募集中サカイクイベント

サカイクイベント一覧

関連する連載記事

関連記事一覧へ

関連記事

関連記事一覧へ

テクニックコンテンツ一覧へ(480件)

コメント

  1. サカイク
  2. コラム
  3. テクニック
  4. 関西のJクラブも注目する滋賀県のジュニアチャンピオンA.Z.Rが行うトレーニング【後編】