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テクニック

出し手と受け手が理解すべき3つのポイント/センアーノ神戸の数的優位を作り出すオフ・ザ・ボールのトレーニング

公開:2021年4月 8日 更新:2021年4月13日

2019年度は春のチビリンピックを制し、冬の全日本U-12サッカー選手権大会ではベスト4に進出した関西屈指の強豪街クラブ、センアーノ神戸。「ボールも人も動くサッカー」をコンセプトに「オフ・ザ・ボール時の準備」を大切に指導している。クラブの代表を務め、今年度はU-11を担当する大木宏之監督は攻守ともに数的優位を作って相手を圧倒するためにどんなトレーニングを行っているのだろうか?(文・木之下潤)

(※COACH UNITED 2020年9月14日掲載記事より転載)

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ボールを保持するために大切なのは出し手と受け手両方のタイミング

トレーニングのテーマは「数的優位を作りフィニッシュまで持ち込むための『オフ・ザ・ボールの動き』」。前編では、「数的優位を作るために必要なパス&コントロール」と題し、受け手と出し手が状況を把握した上で適切なアクションをとれることにフォーカスしたトレーニングを行う。

最初のトレーニング1は「9人のパス&コントロール」。ボールを受けられる4つの部屋(スペース)が設定され、9人の選手たちが3つボールを使ってパス&アクションを繰り返す。ルールは「パスを出した選手が『次は自分と違う色の選手からボールを受ける』こと」。

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選手たちが徐々にボールを受けることだけに気を奪われて足が止まるなか、大木監督は「動きを止めない」とアクションを促しながら、3つのポイントを意識させるように声をかけていた。

1.受け手と出し手のタイミング
2.ファーストコントロール
3.空間認知

まず、プレーを止めて選手たちにアプローチしたことは、タイミングと空間認知。

「出し手の選手が顔も上がっていないのに、受け手の選手が部屋(プレースペース)に入ってもボールは来ないよ。出し手もしっかり顔を上げようね。それと、出し手と受け手以外に7人の選手がプレーしているよね。その7人にボールをぶつけてしまったら、それはパスミス。ピッチ全体を見ながら、受け手はどの出し手からボールをもらうのか、出し手はどの受け手にボールを出せばいいのかを把握すること」

そう手短に話をし、出し手と受け手の両方にきちんと状況を把握することを確認させた。

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さらに、受け手に「ボールが入ってきた方向とは違う方向から部屋を出る」というルールを追加し、ファーストコントロールの重要性を強調した。「どのようなファーストコントロールをすれば、次の状況を優位にプレーできるのか」。選手が慣れてきたらルールを変更しつつ、これをトレーニングの中でイメージをつかませるために試合の状況とイメージのすり合わせをしていく。

途中、選手たちがボールを足下に収めてしまうことが増えてきたときも、「必ず入口と違う方向に部屋を出よう」と判断の伴ったファーストコントロールを身につけられるように声をかけ、良いプレーをした選手には「グッド!」と成功体験の実感を積み重ねていた。

2人で状況を打開するには5つの突破プレーを使い分ける

続いて、トレーニング2は「2vs2+フリーマン」。二人一組の2チームが自分たちのゴール(部屋)に向かってボールを運ぶことを目指す。ルールは、「フリーマン以外の出し手は必ず突破の動きをすること」。

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ここで、大木監督は「二人で突破するのにどんなプレーがあるのか」を選手に質問し、オフ・ザ・ボールの動きを含めて具体的なプレーイメージを確認し、選手たちは、クロスオーバー、オーバーラップ、スルーパス、スイッチ、ワンツーの5つを答えた。

このトレーニングのポイントは2つ。

・受け手がどこのスペースを使ってゴールを狙うか。
・そのスペースをうまく使うには、出し手からのパスをどこにコントロールをすればいいか。

大木監督は出し手と受け手の二人の関係性を理解させるため、選手一人ひとりを注意深く観察しながらトレーニング1の「9人のパス&コントロール」で練習した内容をより実践に近いなかで身につけられるよう、良いプレーに対しては積極的に「いいよ」「グッド」「ナイス」と声をかけ、モチベーションを高めていた。

ゴールがしやすい場合は、選手の習得レベルに合わせてゴールエリアを狭めて難易度をコントロールする。

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ここで、大木監督がアプローチしたのがフリーマン。攻撃側を優位に保つためには、フリーマンの動きが大事になる。それはボールを保持する出し手に対して「どのようなサポートを行うか」が、次のプレーのカギを握るからだ。

ゴールを目指すには、フリーマンが「ボールの近くでパスを受けるのか」、「ボールから離れた位置でパスを受けるのか」で状況が大きく変わるが、その判断を下すには出し手に対する相手選手のポジショニングと距離感が重要なポイントになる。

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大木監督はプレーを止めて説明するとき、自分たちが置かれた状況を丁寧に紐解くために選手たちに一つひとつ問いかける。そして、出し手と受け手の二人を少し移動させて状況を変えながら、それぞれの状況で最初に確認させた5つの突破プレー「クロスオーバー、オーバーラップ、スルーパス、スイッチ、ワンツー」のどれが最適解なのかを具体的に聞き出しながら選手たちに実践のイメージ作りをはかっていた。

動画前編はここまで。後編では、「3vs3+サーバー」などより実践に近づけたトレーニングを紹介する。

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【講師】大木宏之/
1970年10月1日生まれ、兵庫県出身。小中学校時代は神戸FCでプレー。葺合高校を卒業後に実父が監督を務めていた「神戸NKクラブ」で指導者となり、20代後半からは監督と代表を務める。2001年からは神戸NKクラブの強化クラブとして、現在の「センアーノ神戸」を設立。2005年にはNPO法人を設立し地域のクラブチームとして現在に至る。

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