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11人制を見据えた育成指導を行うヴァンフォーレ甲府U-12。全国大会で感じた「足元のボールの質」の重要性

公開:2022年1月25日 更新:2022年10月17日

過去にダノンネーションズカップ世界大会で準優勝するなど、ジュニアの強化・育成に定評のあるヴァンフォーレ甲府U-12。2021年末に行われた「第45回全日本U-12サッカー選手権大会」に山梨県代表として出場し、質の高いプレーを披露した。

残念ながら、グループリーグを勝ち抜くことはできなかったが、チームとしての狙いが見えた戦いぶりだった。大分トリニータU-12との試合後、小澤亮介監督に話を聞いた。(取材・文:鈴木智之/写真:渡邉健雄)

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(グループD、1次ラウンド第2節。ヴァンフォーレ甲府(白) vs 大分トリニータ(青))

丁寧にボールを繋ぐもフィニッシュに持ち込む場面で課題が残る

フィジカルに優れた大分に対し、甲府はチームでボールを動かして攻め込んだが、相手の守りを崩すことはできず。0対1で敗れた。小澤監督は次のように振り返る。

「(ゴールを目指して)縦パスを入れるところまでは行ったんですけど、最後の部分で動き出しのタイミングと、出し手のタイミングがずれる場面が多かったです。足元のボールの質を上げないと、得点は入らないことがよくわかりました。いいゲームでしたが、点を取れないと負けてしまうという試合でしたね」

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フィニッシュに持ち込む場面で悔いの残る試合だったが、チームとして数的優位を作りながら、ボールを繋いで相手を崩す狙いをうかがい知ることができた。

小澤監督は「ジュニア年代ではテクニックに加えて、戦術理解、エリアを考えてプレーすることを大事にしています」と話し、次のように続ける。

「まずは中央を攻めることを考えて、そこが駄目だったらサイドから攻める。そこからまた中央を使ったり、逆サイドを使ったりと、原理原則を踏まえた上で、基本的なサッカーを心がけています」

それも、ジュニアからジュニアユース、ユース、トップへと選手をつなぐ、長期的な視点で育成を考えているからだという。加えて、ジュニア期の8人制から、ジュニアユースの11人制へと移行することも要因のひとつだ。

「ジュニア年代は技術が伸びる時期ですが、そればかりやっていても、(戦術理解も含めて)将来的に追いつかなくなってしまいます。そのため、8人制では守備は3-3-1、攻撃は2-4-1に可変するシステムでプレーしています」

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8人制の3-3-1にサイドバックとFWのもう1人を追加すると、4-4-2になる。2人のセンターバック、2人のボランチの役割は、8人制でプレーしていても11人制をイメージすることができる。

「11人制にどう繋げるかは大きいです。いわゆるポジション性ですね。11人制では4-4-2のチームが多いので、3ラインを作って守ります。それを8人制に変換すると3-3-1になります。そのようにして、意図したところでボールを奪えるようにしたいです」

「選手のストロングポイントを尊重した指導をしたいです」(小澤監督)

ジュニアから技術、フィジカル、個人戦術、ゲーム理解などを積み上げ、将来的にトップチームに選手を送り込むのが、アカデミーの目的だ。そこで必要になるのは、スペシャリティだという。小澤監督は続ける。

「子どもたちのストロングポイントを尊重した指導をしたいです。FWであれば足が速いとか、シュートが上手いとか。サイドであればスピードがあって、アップダウンを繰り返すことができるといったように、各ポジションにモデルがあるので、その中から選手が出てきてほしいですね」

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かつてヴァンフォーレ甲府U-12に所属し、現在は高校2年生ながらトップチームに2種登録されている、内藤大和という選手がいる。

「彼は全日本U-12サッカー選手権大会にも出たのですが、得点を取ることに特化した選手でした。その後、年代別代表にも選ばれていますが、得点を取ることに特化できたことが、上へと繋がっているのかなと思います」

小澤監督はヴァンフォーレ甲府で11年目。ジュニアからジュニアユースまで、アカデミーを長く見てきたからこそ、感じることがある。

「最初は小学4年生を指導して、その後、中学1年生を4年間見ました。4年生から中1を見るようになって、『こんなにできることがあるんだ』と面白さを感じましたし、11人制から8人制に戻ってくると、見えるものも違ってきます。今回、全国大会で緊張感のある試合を経験できたのは、子どもたちにとってすごくいいことだと思うので、ジュニアユースに行っても、この経験を生かしてほしいです」

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(大分トリニータとの試合後にインタビューを受ける小澤監督)

ヴァンフォーレ甲府はアカデミーをより良いものにしようと、U-12で好成績を残した西川陽介氏をアカデミーダイレクターに登用するなど、変化を続けている。今後、第二、第三の内藤大和の輩出に向けて、期待は高まる。

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