テクニック
「子供たちを飽きさせない「止める・蹴る」の指導法!ボールを奪われない技術と状況判断力を磨くトレーニング
公開:2022年4月 7日 更新:2022年10月17日
「サッカー指導者のためのオンラインセミナー『COACH UNITED ACADEMY』では、U-8やU-10など、サッカーと出会ったばかりの子どもを指導する際の参考になるトレーニング動画を多数配信中だ。
今回は、ジュニア年代からアプローチしたい「判断力」をテーマに、ジェフ千葉で長く育成に携わる河野太郎コーチのトレーニングを公開。「相手との距離を取るパス&コントロール」「判断を伴う、止める蹴るの練習法」をテーマにした動画をお届けしたい。(文・鈴木智之)
パスの基本フォームと実践で使えるボールコントロールの習得
トレーニング1つ目は「2人組のパス&コントロール」。ここでの狙いは、パスの基本フォームを身につけること。さらには、左右にボールをコントロールする、ダイレクト、動きながらのプレーと動きを発展させていく。
河野コーチは「姿勢、フォームを意識しよう」と話し、蹴り方と蹴った後の動作に着目。腕を使ってボールを蹴ることを、デモンストレーションを交えて説明していく。
また「毎回、同じフォームで蹴るようにしよう。ボールを止めるときは、壁を作って、同じ場所に止めること」と、具体的な動作を解説。
次は「ボールを止めるときに、インサイド、アウトサイドを使って、体の横に押し出すプレー」をトレーニング。
「ボールを体の前に出さないようにしよう」と話し、「何を見てプレーしてる?」と問いかけながら「ボールをコントロールする前に、相手と左右を確認しよう。コントロールの後に、相手がどこにいるかを確認して、情報をとりながらやろう」と、周囲を観ることの大切さを伝えていった。
続いては「同じフォームでダイレクトキック」。ここでも、同じフォームで蹴ることを意識させ、蹴ったあとは立ち位置に戻る動きを繰り返していく。
河野コーチは「足はボールに当てるだけでいい。優しくボールを蹴ろう」とアドバイス。その後、蹴ったボールを股間を通して下がり、互いに距離を保ったまま移動するというルールに変更した。
ここでは「ダイレクトでパス交換しながら、周囲を観て、ぶつからないと思ったら下がっていこう」「自分の後ろは?」と声をかけ、周囲を観ることに意識を向けていく。
最後は、同じ要領で下がりながら、アウトサイド、インサイドでボールを持ち出してパス交換。「横と後ろが空いているかを常に観ながら、空いている方へコントロールしよう。情報をとったら選べるよ」とコーチングしていった。
常に周りを見て情報を取得した中でプレー選択ができるようにする
続いてのトレーニングは「判断を伴う、止める蹴るの練習法」。グリッド内で3人組を作り、パス&コントロールを実施。ジョギングしながらパス交換をし、ダイレクトは無しで、人もボールも止まらず、動き続けることがルールだ。
ポイントは、自分以外の2人がどこにいるかを観ること。河野コーチは「常に首を振って情報をとろう。2人の位置を観た中で、どっちにパスを出すか選ぼう」とアドバイスを送る。
続いては「パスを出してくれた人から、遠くへトラップすること」にルールを変更。自分以外の2人を見ながら、どこのスペースにボールを転がせばいいか、ジョギングしながら考えてコントロールをしていく。
次のルールは「パスを出してくれた人ではない人から、逃げる方向へトラップをする」。ここでは、自分以外の2人プラス、どこのスペースが空いているかを観ることがポイントで、河野コーチは「ボールを止める前から見ておこう」「ボールを大きく動かそう」と声をかけていった。
次は「コーチが笛を鳴らしたら、ダイレクトでパスをする」というルールにチェンジ。音を聞いて判断する要素を加えていく。
最後は「コーチが手を上げたら、ダイレクトでコーチにパスをする」というルールに変更。
いつコーチの手が上がるかわからないので、味方に加えて、コーチを観ることがポイントになる。
河野コーチは「プレーを決めようとせず、周りを見て情報をとろう」と声をかけ、繰り返し、観ることの重要性を伝えていった。
U10の指導現場では、ボールウォッチャーになり、周囲の情報を得られないままプレーをし、相手にぶつかったり、自分からプレッシャーを受けに行ってしまうことが多く見受けられる。そうならないために、複数の要素を見て判断し、プレーをするスキルを伸ばせるトレーニングだ。
パス&コントロールの練習は単調になりがちだが、ルールを変化させることで飽きさせない工夫がされており、「観ること」の大切さを理解させる内容になっている。ぜひ動画を見て、トレーニングの全容とコーチングのポイント、タイミングを参考にしてほしい。
【講師】河野太郎/
高校卒業後、ジェフユナイテッド市原・千葉の前身である市原SCに入団。
2000年にチームの主将に就任し、チームをJFL昇格まで率い、2007年に引退。
その後指導者の道に進み、2010年からジェフユナイテッド市原・千葉のスクールコーチとなる。
普及ダイレクターを経て、今現在は社会連携活動グループマネージャーとして、
幼児、小学生の指導とスタッフの育成、また、地域の指導者との交流(指導者講習会)など、クラブの普及を行っている。
市原SCから含めて23年間、選手、指導者でジェフユナイテッド市原・千葉に所属。