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テクニック

マリノスサッカースクールが行う技術と判断、体の使い方を同時に高めるボールキープとドリブル突破の練習法

公開:2022年9月15日 更新:2022年10月17日

「サッカー指導者のためのオンラインセミナー『CCOACH UNITED ACADEMY』」では、サッカーを始めたばかりのU-10年代に向けた指導動画も配信している。

前回より、マリノスサッカースクールのヘッドオブコーチングとして活動中の和田武倫氏による「ボールを奪われないドリブル、体の使い方を磨く練習法」を公開中だ。

今回のテーマは「相手の力を利用するボールキープ」と「ドリブル突破する為のボールの受け方、置き所」の2つ。サッカーを始めたばかりの年代で身につけておきたいドリブル、ボールキープを、周囲を見て判断する要素とともにトレーニングしていく。(文・鈴木智之)

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ボールを守るだけではない!相手のプレッシャーを利用し反転する!

1つ目のテーマは「相手の力を利用するボールキープ」。ボールキープ時によくあるのが、背中を相手にくっつけて姿勢が崩れてしまったり、股の間からボールをつつかれること。他にも、おしくらまんじゅうのように、相手のプレッシャーを受け続けてしまうことがある。

そのような状況にならないために、ボールを奪われない体の使い方、ボールの置き所をトレーニングする。メニューは「1対1ボールキープ」。グリッド内に2人1組を作り、互いに背中を合わせた状態で立ち、間にボールを挟む。コーチの合図で背中に挟んだボールを落として、グリッド内で1対1のボールキープをし、コーチの合図で終了となる。

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和田コーチは最初に「相手に奪われないように、相手から遠いところへボールを置くことや、相手に対して体を半身にし、ボールを遠ざけること。半身になることで相手を見る、腕を使ってプレーエリアを確保するといった要素を、1対1の中で身につけていきます」と話し、トレーニングに入っていった。

トレーニングでは、子どもたちのプレーを見ながら「できるだけ相手から逃げないで、体を使ってボールを奪われないようにキープしよう」「どうやったらボールを守れるかな? 体をうまく使おう」「プレーエリアを確保するにはどうしたらいい?」などの声をかけ、意識すべき事柄をあげていく。

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また、子どもたちに「このトレーニングで何に気をつけた?」と質問し、おしくらまんじゅうのように、相手から押されたときには、両足で踏ん張ること。相手が押してくる力を利用してターンをすること。その際に、最初から片足立ちだとバランスを崩しやすくなるので、まずは両足で立ち、相手が押してきたときに片足立ちになり、くるっと回ることなどを実演していった。

さらには、ボールを守るときの姿勢にも言及。「周囲を見て、パスが出せるような姿勢を作ろう。下を向いていると周りが見えないし、反転もしづらい。上体を起こすと、相手のプレッシャーを受けたときに反転できるし、パスもできる」とレクチャーしていく。

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続いて「体を半身にする良さはなんだろう?」と質問し、子どもたちから「周りを見ることができる」「ターンをしやすい」「相手がいる位置がわかる」「次の準備ができる」などの答えが返ってくる。

そこで「半身の方が、相手からボールを遠ざけることができるよね。それが、プレーエリアを確保することにつながるよ」とアドバイス。また半身にすることで、ボールキープ時に、股の間から足を入れられことを防ぐことができる。このあたりも意識させたいポイントだ。

相手の状況を見てボールの置き所を変え、前を向き仕掛ける!

2つ目のトレーニングのテーマは「ドリブル突破する為のボールの受け方、置き所」。ここでは「1対1 2ゴール」を通じ、相手の状況を見て、どこにボールをコントロールするのか。どのようなボールの持ち方で相手をかわすのかにチャレンジしていく。

設定としては、攻撃が前、守備が後ろの配置で、コーチからボールを受けてスタート。攻撃側は後方にある、左右いずれかのゲートをドリブルで通過することを目指す。守備側はボールを奪ったらコーチにパスをするか、ドリブルで相手から離れる。

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和田コーチは「このトレーニングは、守備の人が中途半端だと練習にならないので、一生懸命プレーしよう」と声をかけていく。

さらには、ボールを受けるときに、半身の状態で相手を見て、ターンができないと判断するや、ボールを隠した選手のプレーを賞賛。

それを踏まえて、しっかりとボールを守り、相手の圧力が強ければ、相手から遠いところにボールを置いてプレーエリアを確保するか、くるっとターンをする動きをアドバイスしていった。

ほかにも、ボールを受ける前に相手を見ていない選手に対して、プレーを止め、もう一度やり直すようにチャレンジの場を与えるなど、細やかな指導を行っていた。

その後、「ボールの出し手に対してまっすぐ入って受けるのではなく、角度を作って受けに行く方法」を実演。そうすることで相手を見やすくなるとともに、プレーエリアを確保できる利点があることも伝えていった。

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動画内の子どもたちのレベルはそれぞれで、段階に応じてどのような声掛けをするのかも見どころのひとつだ。随所に良いプレーが見られるので、何が良かったかを分析しながら見るのも、コーチング時の参考になるだろう。

今回のトレーニングはシンプルな設定で、どのようなグラウンドでも実施可能だ。ぜひ取り入れて、技術と判断、体の使い方を同時に高めることにチャレンジしてほしい。

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【講師】和田武倫/
高校卒業後、日産自動車サッカー部でプレーし、現役後は横浜マリノスの前身の日産フットボールクラブで指導を始め、現横浜F・マリノスのプライマリー、ジュニアユース追浜、ユースの監督を歴任。現在はマリノスサッカースクールのヘッドオブコーチングとして活動している。

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