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同数の攻防から数的優位を作る練習が次世代の育成に繋がる。大分トリニータU-12のポゼッションの指導法

公開:2022年12月 8日 更新:2022年12月13日

2年連続で「全日本U-12サッカー選手権大会」に出場し、前回大会ではベスト16に進んだ大分トリニータU-12。

「サッカー指導者のためのオンラインセミナー『COACH UNITED ACADEMY』」では、U-12からU-18までの全カテゴリーで指導経験を持つ首藤圭介監督による、「ジュニア年代における11人制サッカーに繋がるポゼッショントレーニング」を公開中だ。

後編のテーマは「実践の中でボールを運びながら、数的優位を作る練習法」。11人制サッカーに繋げるためのトレーニングを重視する大分U-12では、どのような指導のもと、ボールポゼッション(止める、蹴る、前進する)を高めて、次世代で活躍する選手を育成していくのだろうか?(文・鈴木智之)

(※COACH UNITED 2022年9月19日掲載記事より転載)

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相手のプレスによってボールの動かし方や止める位置を使い分ける

トレーニング開始前、首藤圭介監督は「このトレーニングでは、ボールに関わること、数的優位を作るポジショニングについてコーチングしていきます」と話し、「3対3のライン突破」に入っていった。

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設定としては、縦24m×横18mのグリッドで3対3を実施。グリッドの両端にサーバーが1人ずついるので、ボール保持側はグリッドの半分を越えたらサーバーにパスをする。中央ラインはオフサイドラインとイメージし、ドリブルかパスで突破する。

首藤監督は前編に続き「ボールの移動中に、次のプレーを考えておくこと」を繰り返しコーチングし、選手たちの意識を向けさせていく。

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さらには「敵がいなければ、前に速くドリブルでボールを運び、ラインを突破してサーバーにパスを出そう」と具体的なプレーを提示。また、相手をかわすときはボールを動かすこと。相手が寄せてきたら、ボールを足下にピタッと止めることの使い分けを実演していた。

ボール保持に重要な、周囲のサポートに関しても言及し、「グリッド内は同数なので、ボール保持側は数的優位を作りたい。ボールが出たらサポートに行って、(サーバーを含めた)4人が関わるようにしよう。そうするとプレーを選べるよ」と、周囲が動いて、ボール保持者の選択肢を増やすことの重要性を伝えていった。

幅や高さをとって味方がプレーしやすい複数のパスコースを作る

2つ目のトレーニングは「3対3+3対3+2GK」。縦40m×横24~28mのグリッドを作り、1つ目のトレーニング同様、中央にラインを引く。

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守備側(ボールを持っていない方)は、中央のラインを自由に越えて良い。攻撃側(ボール保持側)は、中央のラインを越えて下がってはいけないというルールで、GKがいるラインをドリブルで通過するか、コーンの高さにシュートを打つと1点となる。

首藤監督は「6対6だけど、2対1、3対2の数的優位を作らないとボールが前進しないよ」と話し、ボール保持者に対してサポートをし、パスコースを複数作ることを伝えていく。

「ボールを受ける選手は、常に複数の選択肢を持ってボールを受けること。パスを出す方は、ボールを受けた選手がドリブルもパスもできる位置や、右にも左にも蹴られる位置にサポートしよう」

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ポイントになるのが、ボール保持者が両サイドと中央のどちらにもパスを出せるように、周囲の選手が動いてパスコースを作ること。

グリッドの反対側にいる攻撃側の選手は、中央のラインを超えてボールを受けることはできないが、パスを受けられる位置に動いて、パスコースを作ることはできる。その動きも忘れず行うようにとアドバイスしていた。

途中から「攻撃側は1人だけ、後ろのグリッドから攻撃参加できる」というルールを追加。そうすることで数的優位ができるとともに、パスコースも増える。攻撃側、守備側ともに、見て判断する要素を増やし、実際の試合に近づけていく。

ゴールを目指す上で、プレーの優先順位は相手の背後へのパスだ。最終ラインでボールを持った選手が前にドリブルでボールを運ぶことで、裏が狙いやすくなるとともに、高い位置の選手が降りてきてサポートすることで、パスコースができる。

首藤監督は、ボール保持者に対して近づくことだけがサポートではなく、幅や高さをとることで、複数のパスコースができることを理解させていった。

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最後は中央のラインをなくし、ゲーム形式を実施。これまで取り組んできたことを発揮させる設定で、トレーニングを締めくくった。

首藤監督はトレーニング後、COACH UNITED ACADEMYの読者にアドバイスをくれた。

「今回のトレーニングは、同数の攻防の中から、いかにして数的優位を作るかを判断するものです。指導者はボールのないところで、選手がどのような準備をしているかをジャッジすることが大切になります」

「U-12年代では難しいトレーニングかもしれませんが、その積み重ねが、次のU-15年代に繋がっていくと信じています。根気よく指導することで、選手が変わる姿が見られると思うので、ぜひやってみてください」

今回紹介したトレーニングは、技術や判断、周囲の関わりなど、様々な要素にアプローチすることができる内容になっている。ぜひ動画を見てポイントを理解し、日々のトレーニングでチャレンジしていただければと思う。

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【講師】首藤圭介/
京都サンガ、大分トリニータ(トリニティ)でプレー。その後は、古巣の大分トリニータで指導者の道へ進み、U-15監督、U-15宇佐監督、U-18監督を経て、現在はU-12の監督を務めている。JFA公認A級ジェネラルライセンス所持。

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