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全国大会王者の少年団が実践!3人目の動きを活用するボールの持ち方やパスのタイミングを習得する練習法

公開:2023年2月10日

セレクションを実施しない少年団ながら、強豪ひしめく神奈川県で存在感を見せているのが、中野島FC(川崎市)だ。

2022年夏に行われた「アイリスオーヤマ 第7回プレミアリーグチャンピオンシップ」で、クラブ初となる全国大会での優勝を達成。「U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ」でも、ユベントスを相手に競った試合を繰り広げるなど、確かな存在感を残している。

ボール保持をベースとした攻撃に特徴のある中野島FCは、クリエイティブな選手の育成に力を入れている。なかでも大切にしているのが「3人目の動き」を活用して、多彩な攻撃を展開し、相手を崩して攻めること。

ジュニア年代では難易度の高い「3人目の動き」をどのように指導していくのか。川崎フロンターレのアカデミーで育ち、その後、カンボジアでプレーした、岡本一輝監督に実践してもらった。(文・鈴木智之)

(※COACH UNITED 2022年11月14日掲載記事より転載)

この内容を動画で詳しく見る

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「観る」、「判断」、「実行」のスキルを高める4種類のロンド

「3人目の動きを活用しながら、相手の陣形を崩すトレーニング」。前編のテーマは「ボールを受ける身体の向きとボールの持ち方、パスのタイミングの習得」。

岡本監督は「全員がゴールを意識したプレーを選択すること。周囲を把握して適切な判断をし、正確に実行できているかを観察しながら、選手自らが答えを導き出せるよう、オープンクエスチョンを意識したコーチングをしていきます」と話し、トレーニングに入っていった。

1つ目のトレーニングは「3対1のロンド×4種類」。次の4つの設定に分かれて実施する。

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1:守備者はボールを保持していない人にタッチで交代(ボール2個使用)

2:2タッチのみ(取り返し制)トランジションあり

3:1タッチのみ(取り返し制)トランジションあり

4:1タッチor2タッチ(取り返し制)トランジションあり

1つ目の設定では、ボールを2個使用するため、絶えず周囲の状況を観ることがポイントになる。

岡本監督は「パスを出して、次にどこからボールを受けるのかを考えよう」「コントロールが悪いと、パスが遅れる。ただパスを出すのではなく、味方のどちらの足に出すとトラップしやすいかを意識しよう」など、ボールの受け方、出し方に意識を向けるように声をかけていく。

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2つ目の設定は、必ず2タッチでプレーするというルール。止めて、蹴るのリズムでボールを動かし、パス15本で貯金1となる。ボールを奪ってもプレーを止めず、奪われた選手がすぐ守備になり、ボール保持を継続する。

ここでは「体の向きで相手を騙して、逆にパスを出す」「空いているスペースに、どうボールを運ぶかを考える」など、具体的なアドバイスやデモンストレーションで伝えているので、動画で確認してほしい。

3つ目の設定は、1タッチのみで実施。1タッチなので、ボールを受ける前の準備が大事になる。「左右両方にパスを出せるように、蹴ってから動くのではなく、蹴った足が移動の第一歩になるように」といった声かけで、準備の重要性を伝えていった。

4つ目は2タッチor1タッチでプレー。これまで取り組んできた要素を踏まえて、相手を観ながら判断を変えることがポイントだ。選手たちには、設定1~3で考え方を伝えているので、ボールがスムーズに回っていた。

岡本監督は、次のようにポイントを説明する。

「3対1のロンドで大切なのは、相手とボールホルダーの状況を観ながら、ベストのポジションを取り続けること。オンザボールの部分では、コントロールの質やパスの質、ボールの持ち方など、一つ一つのボールタッチにこだわりを持てるよう、デモを見せながらプレーの基準を提示していくことも重要です」

3人目の選手を使うために左右両方にパスを出せる状態を作る

2つ目のトレーニングは「3対3+4サーバー」。グリッドの各辺にサーバーを置いて、3対3を実施。ライン突破で得点となる。

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岡本監督は「ボールを受ける前の体の向き」を指導。「オープンに持って、左右両方にパスを出せる状態を作ろう」とアドバイスし、「縦(ゴール方向)を観て、ボールを受けることが大事」と、ゴールを目指すための体の向きを作り、ボールを受けることで、周囲も連動しやすくなることを意識付けしていく。

ほかにも、前へパスが出せそうだったら3人目の動き、出せなければ2人目としてパスを受けるサポートをするなど、状況に応じて動きを変えること、考えてプレーすることにアプローチしていった。

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トレーニング後、次のようにポイントを教えてくれた。

「3対3+4サーバーのトレーニングでは、立ち位置や体の向き、3人目の動きのタイミングなど、オフザボールの部分のコーチングが大切になります。また、オンザボールの部分では、パス、ドリブルの選択肢を常に持ちながら、状況によって使い分けができるボールの持ち方を意識させることが重要です」

動画には、岡本監督のきめ細やかな指導が収録されているので、声かけのタイミングや内容にも目を向けていただければと思う。

後編では、4対4+2サーバー、5対5+1フリーマンと人数を増やし、実際の試合に近い状態でトレーニングを行っていく。

この内容を動画で詳しく見る

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【講師】岡本一輝/
1996年1月28日生まれ。日本サッカー協会公認B級ライセンス保持。
中野島FC、川崎フロンターレU-15、川崎フロンターレU-18、桐蔭横浜大学、Angkor Tiger FC(カンボジアプロ1部リーグ)でプレーし、2019年から中野島FCの監督に就任し指導者としてのキャリアをスタート。2022年夏に行われた「アイリスオーヤマ第7回プレミアリーグチャンピオンシップ」でクラブ初となる全国大会優勝を達成した。

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