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ビルドアップには数的有利を作るための状況判断が必須!小学生に教えるための練習方法とは?

公開:2023年10月27日

2023年春、Twitter上で、あるチームの試合動画が話題を呼んだ。小学2年生のちびっこたちが、状況に応じたボール保持から前進を始め、パスを繋いでゴールを決める映像だ。その映像内ではU-8の選手たちが、年齢を感じさせない状況判断、グループとチームの連動を見せていた。

そんな素晴らしいチームを作ったのは、埼玉と横浜で活動するRAD Football Academyだ。代表を務める鳥丸太作氏は、Fリーグ・Y.S.C.C.横浜フットサルの監督を務める。

今回はそんな鳥丸監督による「組織的なビルドアップ完成のための個人戦術」をテーマに、「周りの時間とスペースを作るためのボールタッチ」のトレーニングを紹介したい。(文・鈴木智之)

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数的優位を意識しながらのシュート練習

後編では、シュート練習や2対2などのゲーム性のあるトレーニングを行なっていく。

トレーニング開始前、鳥丸監督は「連携の優位や質の優位など様々な優位があるが、一番強い優位性は数的優位です。ただその優位を活かすためにはスペースが必要になります」と話し、「シュート練習(ボールタッチ)」に入っていった。

「シュート練習(ボールタッチ)」は7m×7mのグリッドを使い、2人1組のグループでシュート練習を行う。

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パスの受け手がボールにアタックして、出し手へリターンのパスを返す。出し手は、受け手がオープンな状況になったタイミングでパスラインへと走り、シュートまで行う。カットインやバックステップの動きなども含めつつ実行する。

鳥丸監督はトレーニングの狙いを、次のように説明する。

「オフェンスを一つのアクションで終わらせず、連続したアクションを行い、相手との駆け引きを行う。そして優位を活かすために、オープンな場所を作るところは個人戦術だから、そこを意識してトレーニングをしましょう」

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さらに、トレーニング中に一度プレーを止めて、「受け手の人は、ボールに寄ったときにスピードダウンしてしまっています。実戦では相手にディフェンスもいるので、動きながらのプレーを意識しましょう」と実際にプレーして選手に解説し、より実戦で役立つようなトレーニングを意識するようにアドバイスをした。

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ほかにも応用として、ボールがオープンになった瞬間にカットインまたはバックステップで方向の変化を意識するトレーニングを開始した。

「ただこの駆け引きはボールがオープンになってパスが出せる状況でないと意味がないです」と、改めてオープンな選手を作ることの重要性を説明した。

目的はボールをつなぐことではなくゴールを目指すこと

2種類目のトレーニングは、2vs2を行う。37m×16mのグリッド内で2vs2のトレーニングを実施し、パスやドリブルで数的優位を作りゴールを目指す。

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鳥丸監督は「2vs2で数的優位を取ろうとしたら、必然的に2vs1を作ることを意識します。」とトレーニングの本質を説明します。さらに「先ほどのトレーニングでやったシュート練習でも2vs1の状況を作り出すことが可能です」とアドバイスをして、トレーニングに連続性を持たせた。

そのようなディフェンスに対して、攻撃側には「足元にボールを止めたり、相手に対して後ろ向きでボールを持ったりすると前にパスが出しづらくなるので、前向きでボールを受けられるように」とアドバイス。

加えて、「攻撃側がボールを持って正対した状況で、ドリブル突破をすれば数的優位が作れます」と他の例も挙げて解説する。

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「自分たちのコンセプトはボールを持ちながら優位性を作っていくということですが、数的優位が作れる時間は短いです。その場合は、自分たちの目的であるゴールに向かって素早く攻撃を完結させなければならないです」と優先順位についても整理した。

トレーニング中、身体の向きの重要性を強調し、次のプレーの選択肢を増やすことを求めた。

実践のゲーム形式で今日のまとめを行う

最後のトレーニングは5vs5のゲームです。37m×16mのフルコートのグリッド内で、2vs1の数的優位を作ることを意識してトレーニングを行います。

鳥丸監督はトレーニング中にプレーを止めて、「選手同士が近づきすぎて、エリアが狭くなってきています。一度下がったりして、相手をずらすようにしましょう」と今までやってきたことをおさらいして、実戦で活かすように求めた。

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さらに「ボールを動かした先がオープンになるところを狙いましょう」と今の状況だけでなく1手先、2手先の優位を作るためにプレーすることをアドバイスした。

今回のトレーニングを通じて、組織的なビルドアップを大切にしつつ、一番の目的は状況を判断し、最終的にゴールを奪うことだと強調する姿が印象的だ。

「状況判断の精度とスピードを鍛え、選手の思考レベルを上げるには、バウンドしにくいボールを使い、狭いスペースでボールに関わる回数が多いフットサルのトレーニングがおすすめです」と語った。

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フットサルは、個人戦術だけでなく、グループ戦術もれ整理されているので、戦術理解を深め連動性も獲得する上で、重要なエッセンスが詰まっている。各チーム、練習内容に取り入れていきたいところだ。

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【講師】鳥丸太作/
1981年8月22日生まれ。FC東京ユースや明治大学でプレー、ブラジル留学を経てフットサルプレイヤーに転向。バルドラール浦安などでプレーした。引退後、指導者となり、現在はフットサルのトップリーグに所属するY.S.C.C.横浜フットサルで監督を務めている。またフットサルで学んだ経験をサッカーに生かすために、「RAD Futsal Project」というアカデミーを立ち上げ、代表を務めている。

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鈴木智之

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