7月初旬から8月中旬にかけて開催された「FCバルセロナキャンプJAPAN 2011」。育成年代におけるバルサの指導方針について日本での指導にあたったコーチ達へ取材しました。
■FCバルセロナのサッカーは、選手たちが共鳴しあい、助けあうサッカー
U-12の年代はサッカーの基礎を身につけるため、様々なトレーニングが大切になります。「FCバルセロナキャンプJAPAN 2011」では、バルセロナのサッカーの特徴である、「ボールを失わない」というコンセプトに基づいたトレーニングが多くおこなわれていました。
コーチたちは「味方と協力してスペースを使うこと」や、「すばやく次のプレーに移るために、視野を確保できる身体の向きを作って、ボールを収めること」「周りと連動してパスをつなぎ、ゴールへ攻めこんでいくこと」などについて指導をし、トレーニングの多くの時間を割いていました。
バルサキャンプの指導リーダー、マルク・サバテコーチは言います。「バルセロナのサッカーは、選手たちが共鳴しあい、助けあうサッカーです。周囲と連動して、一人の選手がプレーの選択肢を多く持てる状況を作り出します。選手個々で打開するのではなく、選手同士が連動していくのです。このキャンプでは、バルセロナのコンセプトそのままを、日本の子供たちに伝えています。練習内容はまったく同じです」
さらに、こう続けます。「日本の子供たちは、技術的にはいいものを持っていました。ですが、6~10歳の子に関して言うと、技術的な練習のあと、試合形式の練習をしたときに、どんなプレーをすればいいか? どこでパスを受ければいいいか? など、判断をするのに戸惑っている子が多かったと思います」
■サッカーをうまくプレーするために、必要なこと
おそらく、日本の子供たちはそれまでに、判断が重要となるトレーニングをそれほど受けたことがないため、戸惑うことが多かったのでしょう。しかしこれは、バルサだから特別にやらなければいけないことではありません。「サッカーをうまくプレーするために、必要なこと」でもあります。サッカーは集団でおこなうものであり、相手があるスポーツです。いかに状況を把握して、効果的なプレーをするのか。その判断をうまく下すことができれば、プレーがしやすくなります。
トレーニングでは、「ボールを受ける前、味方はどこにいるのか」「パスを出したあとに、どこのスペースへ行けばパスコースができるのか」など、判断の部分について指導をしていました。さらに、「パスを受ける前に、受けたい方向とは反対に動いてフェイントを入れる」「バックステップを有効に使う」など、相手の先手をとり、いい状態でプレーするための方法を教えていました。
■テクニックや身体的特徴を活かすための『土台』をしっかりと作る
これらを何度も繰り返し、考えることなく、無意識のうちにできるようになるのが理想です。それがシャビやイニエスタなど、カンテラで育ち、トップでプレーする選手たちが身につけている、サッカーをプレーする上での「土台」でもあります。
サッカーをうまくプレーするための考え方、土台ができれば、身体が大きくなり、技術がともなうにつれて、サッカー選手として完成されていきます。テクニックや身体的特徴を活かすための土台をしっかりと作ること。それこそがU-12年代で必要なのだと、改めて知ることのできたバルサキャンプでした。
取材協力/株式会社Amazing Sports Lab Japan(PC)
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