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考える力

香川真司も実践している?世界で輝くためのコミュニケーション・スキル

公開:2013年5月14日 更新:2013年5月15日

キーワード:コミュニケーション考える力

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「自分で考えるサッカー」を実践するためにはどうしたらいいのか?
 
 2006年、日本サッカー協会が「世界基準」を目指して開校したJFAアカデミーでは「論理的に考える力を引き出す」ベースとして“コミュニケーション・スキル”の授業を取り入れています。今回はアカデミー立ち上げ当初からJFAの新しい取り組みに関わってこられた、つくば言語技術教育研究所の三森ゆりか先生にコミュニケーション・スキルについてお話をお聞きしました。
 
 

■サッカーは論理のスポーツ

言語技術をベースにしたサッカー強国 福島(現在は静岡・御殿場で活動)と熊本・宇城、大阪の堺で活動するJFAアカデミーでは「コミュニケーション・スキル講座/言語技術」を授業として取り入れています。これはサッカーの練習とはまったく別に座学で行われていて、論理的に考える力を引出すベースになる言語技術を学ぶためのアプローチとして行われています。
 
「サッカーは論理のスポーツです」
 
 自身も中学・高校をドイツで過ごした三森先生は言います。
 
「私がドイツにいた時期はまさに西ドイツの全盛期。私が見たサッカーは、選手がみな論理で動いていました。実況や解説でも「論理的」という言葉が頻繁に出てくる」
 
 サッカーに限らずドイツをはじめとするヨーロッパ各国では、言語技術に基づく論理的思考を子どもの頃から叩きこまれ、自分の意見を自分の言葉で論理的に説明できるように教育されているそうです。
 
「考えてみればサッカー強国と呼ばれるドイツ、フランス、スペイン、オランダはみんなこういう教育を行なっている。帰国して強く感じたのは日本ではこういう教育が行われていないということです」
 
 三森先生とサッカーとの関わりは日本サッカー協会副会長の田嶋幸三さんが、未来の日本サッカーの成長ために奔走していた時期にまで遡る。
 
「たまたま田嶋さんが子ども向けの私の本を読んで、これこそ『日本サッカーに必要な物だ』と声をかけてくれたのが始まりでした。」
 
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■考えるサッカーを引き出す論理的思考

「まずは指導者が理解しなければいけない」
 
 田嶋さんからの依頼を受け、コーチや監督たちの前で話をしたのがスタートだそうです。いまやS級やA、B級の指導者ライセンスでも必須事項になっているコミュニケーション・スキル。2000年頃から始まったこの交流が、現在のベースになっています。
 
「2003年に日本サッカー協会が取り組むエリートプログラムが始まり、選手たちにも教えるようになりました」
 
 そして、2006年にはJFAアカデミー福島が開校。コミュニケーション・スキルはアカデミーのコンセプト構成になくてはならないものになっています。
 
 選手たちの間では「コミスキ」の通称で呼ばれるこの授業では、サッカーとは少し離れて、論理的思考を追求するトレーニングが行われます。「『基本を教えて欲しい』、『サッカーに関連付ける必要はない』と言っていただいているので、無理にサッカーの話をしたりせずに、いつも通りの講義や実習を行なっています」
 
 サッカーに関連付けるのはコーチの仕事。選手たちが論理的思考を身に付けるのがコミスキの目的です。
 
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■世界で戦うための必須武器 なぜ?どうして?を追求する

「ドイツでは『なぜ?』という言葉が日常会話でもたくさん出てきます。聞かれた方もきちんと理由を説明する。『なぜ?』の応酬です」
 
 日本では「日本人は協調性があるから」「遠慮して口に出さない文化だから」で済まされていることも、海外に出れば「何も考えていない、能力のない人」で片付けられてしまいます。
 
 先日、プレミアシップを制したマンチェスター・ユナイテッドで活躍する香川選手を始め、多くの日本人選手が海外で活躍しています。プレーの質はもちろんですが「自分の意見や主張を論理的に相手に伝えられること」も欧州で輝くための大切な要素なのです。
 
「欧州の選手たちは子どもの頃から『なぜ?』を追求し、論理的に意見を戦わせることに慣れています。サッカーが上手いのは大前提でしょうが、それだけでは活躍は望めないでしょうね」
 
 三森先生も「自分の意図が説明できない選手は、いくらサッカーが上手くても海外では日本と同じようなプレーや役割は担えない」と言います。
 
「ドイツに行ったときに、ある学校で『あの生徒はレヴァークーゼンで注目されている14歳の選手です』と紹介されたことがあるのですが、彼は学校教育の中で言語技術を学び、ドイツ文学を嫌というほど読んでいる。ドイツではそれが普通の環境なんです」
 
 考えるサッカーと一口に言っても、プレーしている時だけ考えるようにしても、それは身につきません。普段の生活から意識して論理的思考、自発的な考えを持ってはじめてサッカーにも生きるのです。
 
 次回はJFAアカデミーでも行われているコミスキ、その教室でどんなことが行われているのかを具体的に見て行きましょう。
 
 
サッカーの判断力に効く「自分で考えるトレーニング」>>
 
 
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今回お話をお伺いした三森ゆりか先生(右)と田中澄枝先生(左)
 
つくば言語技術教育研究所//
 2002年より日本サッカー協会のコーチングスタッフ、選手などに言語技術の講習を行う。世界のトップ10を目指し、ロジングによるエリート教育を志すJFAアカデミー開校と同時にコミュニケーション・スキルの授業を担当。現在はJFAアカデミー福島、JFAアカデミー宇城、JFAアカデミー堺のコミュニケーション・スキル講座に専任講師を派遣している。
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取材・文/大塚一樹 写真/新井賢一(ダノンネーションズカップ2013より)

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