「アマチュアサッカー最高峰」とも言われる関東大学サッカーリーグに所属し、川崎フロンターレ所属の小宮山尊信選手やジュビロ磐田所属の藤田義明選手、ポルトガルの名門スポルティング・リスボンでプレーする田中順也選手などを輩出する順天堂大学蹴球部。全日本大学サッカー選手権大会でも1987,1988,1989年と3連覇を成し遂げており、昨年度は関東大学サッカー1部リーグを3位の高順位で終えた。このように競技面で多くの実績を残す一方で、選手1人1人の人間性の高さも光るのがこのチームの特徴です。選手たちの取材対応時の振る舞いは”模範的”の一言。
今回は、現・順天堂大学蹴球部を築いた吉村雅文前監督が取り組んできた指導や、その際に強く意識するポイントをうかがいました。(取材・文 竹中玲央奈 写真 サカイク編集部)
■"自分がメンバーに選ばれるか"より"仲間をサポートしよう"とする意識
「うちの多くの子はサッカーの特性を理解していないです。"自分が(メンバーに)選ばれるか選ばれないか"とか、"自分がいい選手なのか悪い選手なのか"という意識が先に来ている。そういう選手は育てにくいです。サッカーの特性は"走るスポーツ"だとか"仲間を補完(サポート)しないといけない"とか、"ゴール前の頻度を増やさないと点は取れない"とか、"コンパクトにしないとボールを奪えない"とか、"格上に勝つためにはチーム力を磨かないといけなくて、個の能力では無理がある"とか。そういったサッカーの特性をどのくらい理解しているかが、大学で花開くか開かないかの指標になると考えています」
吉村さん曰く、選手として成長が見込めるかどうかを見極める1つのポイントが、この"サッカーの特性"を理解しているかどうか。順天堂大学蹴球部に入学する多くの学生は、それまでのサッカー人生でサッカーの特性を考えることなく育ってきたと言います。
「Jリーグの下部組織や強豪校で育ってきている子は、基本的に"自分のプレーが通用するか、しないか"という感覚をもってくる子が多いんですよ。そういった子は伸びない。幼いころから"サッカーとは何なのか"を考える機会を与えないと。"サッカーとは、どういったスポーツか"をわかっていると“そのためにどんなことが必要か”を考えることができます」
当たり前のことですが、サッカーというスポーツには"点を取らないと勝てない""失点を防がないと勝てない""失点を浴びなければ負けることがない"というような側面があります。それ以外に吉村さんが口にしたようなさまざまな面・特性があり、個人がそれを理解することが重要になります。そして、その“特性”を理解することで、サッカーをする上で"自身に何が必要か?"また、"何が足りていないか"と意識をすることに繋がり、"自身に何ができるか"という、より実践的な思考に発展していきます。
吉村雅文さんの考えに共感する高峯弘樹ヘッドコーチが指揮を執るサカイク親子キャンプ開催決定!
取材・文 竹中玲央奈 写真 サカイク編集部