考える力
最優秀育成クラブに学ぶ!些細な会話の積み重ねで子どもは振り向く
公開:2015年4月23日 更新:2021年1月27日
前回記事『子どもは急に考え出さない!一緒に楽しみ成功体験を褒める意味』で、子どもが自ら考えて行動するようになるための関わり方を教えてくれたのは、東京ヴェルディのスクールマスターを務める松本哲男コーチ。
今回は、「子どもの褒め方がわからない」と悩むお父さんお母さんのために、子どもの褒め方や褒めるための環境作りについて話をうかがってきました。(取材・文 杜乃伍真 写真 サカイク編集部)
■試行錯誤と成功体験を経験できる環境作り
東京ヴェルディの松本哲男スクールコーチは、子どもたちの指導のなかでミニゲームをうまく利用するといいます。
「ぼく自身が選手だったころ、ただ単に体力を上げるためのダッシュを繰り返すようなトレーニングが嫌でした。試合が一番楽しいので、スクールではミニゲームをよくやります。一生懸命プレーすればくたくたになるまで疲れるし、夢中になると知らない間にすごく走っていて、気づけば足を攣っているなんてこともある。今日は疲れた、だからしっかり眠る、そしてまたスクールに来て一生懸命にボールを追う、いつの間にかうまくなっている、そういうサイクルを作りたいなあと、常々思っています」
――松本コーチはスクールでミニゲームをして、そこで一人ひとりに声掛けをするそうですね。ボールを持っていない子どもや、レベルがまったく違う子どもにも分け隔てなく万遍なく声をかけ続けていますね。
「みんなが動いて汗をかいてほしいと思っています。だから、ボールを持っている子どもはいいけど、ボールを持っていない子どもが、ただ突っ立っている状況を作りたくない。2対2や3対3というように人数を減らしてゲームをするなかで、一人がボールに触れる、関われる回数を増やしたいと思っています。大人のコーチが入った7対7くらいの人数になると、どうしてもボールに触れない子どもが出てきてしまうのですが、その子どもに『コーチが抜かれたらカバーして』とか『そこにいていいの?』などと問いかけるんです。そうすると子どもはわからなくても何となくポジションを変える。そこで子どもがボールに寄り過ぎてしまったら『それだとボールが来てもすぐに敵が寄ってきちゃうよね?』と、決して強い調子ではなく声を掛けます。それを繰り返していくうちに、ボールが集まるリーダー格の子どもと、ボールに触れない子どもがワンツーをしてゴールを奪う、というようなシーンが出てくる。そこで『いいポジションをとったね』『ワンツーができてゴールが奪えた。そういうのを増やそうね』と声をかけてあげるわけです。そうやってミニゲームのなかで子どもたちに試行錯誤させながら、成功体験をたくさんつくって褒めてあげるんです。
取材・文 杜乃伍真 写真 サカイク編集部