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「発芽は見守ることしかできない。子育ても一緒」ブラジルNo'1育成クラブコーチの育て方

公開:2015年5月12日 更新:2021年1月27日

キーワード:クルゼイロブラジル個性子育て

ブラジルといえば、"サッカーの神様"と称されるペレにはじまり、"白いペレ"とも呼ばれるジーコはフリーキックの名手。またロナウド、ロナウジーニョ、ネイマールに至るまで、サッカー界を牽引するスター選手を多く輩出している。つまり、ブラジルとは"個"のパフォーマンスが際立つサッカー王国というイメージが強い。さぞや個性を伸ばすことに徹した育成をしているのだろうと思いきや、じつは日本と変わらない"精神"を教えているのだという。スター選手を多く輩出するブラジルのサッカー教育について、前回に引き続き『クルゼイロ・ジャポン』のアドリアーノ氏とカレカ氏にお話を伺った。(取材・文 隈崎大樹 写真提供:クルゼイロ・ジャパン)
 
 
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<<前回記事:サッカーを"職業"と捉える国に"習い事感覚"の日本が近づく方法

■世界トップレベルのリーグに選手を多く"輸出"しているブラジル

世界のトップレベルのリーグには、多くのブラジル出身選手がいる。“サッカー選手輸出国”といっても過言ではないほど、ブラジルは優秀な選手が育ち、世界各地で活躍している。その、気になる教育事情をアドリアーノ氏はこう語る。
 
「(前回もお話した通り)まず、ブラジルという国の背景・文化が、サッカーというスポーツを『職業』として捉えているという点が、日本とは大きく異なるところです。また引くに引けない生活事情も真剣さを後押ししています。それだけに『プロ選手になる』ということの厳しさ、難しさを嫌というほど理解しています。そんな過酷なプレッシャーの中で修練していく彼らには、強い精神力を持つことの大切さをしっかりと伝えなければ、いくら将来を期待される選手であっても潰れてしまう。私たちコーチは、選手に対して常々『目の前の問題に立ち向かうことの大切さと強さ』を伝えています。調子が良い時も悪い時も、日々腐らずに継続する忍耐力。辛いことも現実だと受け止める強さ。そうした強靱な精神力の上にこそ、世界を魅了する技術が宿るものだと私たちは考えています」(アドリアーノ氏)
 
 

■「種を植える」子育てとは

子どもたちがプレーをする前に「ここはこうだ、あれはこうやるんだ」と“正解”を教えてしまうことはないだろうか。当然、問題を的確に伝えなければならないシーンはあるし、指摘内容が正しければ技術は向上する。しかし、サッカーは同じシチュエーションに出くわすことはないスポーツ。またコーチから指示を仰ぎながらプレーをするものでもない。スピードを止めることなく一瞬で状況を把握し、最善と思われる判断を自ら下して行動しなければならない。まさに“主体性”がものを言う競技だ。
 
「主体性を育てるには、温かく見守ることが大事なのです。私たちクルゼイロ・ジャポンでは、選手を育成することを『種を植える』と表現します。種とは選手のこと。発芽をもたらすのは土・水・太陽であり、われわれ大人を指します。私たちは選手が伸び伸びと元気よく芽を出せるよう、環境を整えることに徹するべきです。発芽は見守ることしかできません。同様に、子どもたちの成長に関しては、一切手を出さないようにし、プレーの選択は子どもたち自身に託しています。そうして成長した選手たちは、プレーでも私生活でも自分たちで考え行動し、責任感を持つようになります。最終的には本物の技術を身につけ、自信を持ってプレーをできるようになるのです」(カレカ氏)。
 
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