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子どもの「コーチはこう言ってたよ」にどう答える!? 世界のビッグクラブは子どもの意見を尊重する

公開:2016年1月19日 更新:2021年1月27日

キーワード:コーチングサポートシャルケドイツ子育て環境

シャルケ04アカデミー練習場。ここでは、日本代表DF・内田篤人選手も所属するトップチームから下はU-9(9歳以下)まで、幅広いカテゴリーが同じ敷地内で練習をしています。シャルケはここ日本でも知られる通り、育成大国ドイツにおける強豪チームであり、育成においては1、2を争います。今回は、シャルケアカデミーU-12の責任者であるサムファローキー氏に、子どもの育て方についていろいろと話をうかがってきました。
 
日本とドイツではトップチームのレベルが違うから、育て方も違うのでしょうか。世界のビッグクラブは子どもの子育てにおいて、なにか特別に優れた方法をとっているのでしょうか。
 
世界のビッグクラブがおこなう子どもの育て方とは? サッカー少年を育てるお父さんお母さんはぜひご一読ください。(取材・文・写真 野村晋[スクーデリア])
 
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シャルケアカデミーU12責任者のサム・ファローキー氏
 

■日本人の長所である"勤勉さ"に見え隠れする積極性の欠如

シャルケアカデミーU-12アカデミー責任者のサムは言います。
 
「ドイツではゴールキーパーは花形ポジションなので一番人気がある。サッカーを始めるときに一番やりたいポジションがキーパー。だからドイツには優れたゴールキーパーが多くいるのかもしれない」
 
日本ではゴールキーパーよりも、足でボールをあつかうフィールドプレーヤーをやりたいという子どものほうが多いでしょう。日本代表GKの川島永嗣選手のようにサッカーを始めた当初からゴールキーパー志望の子どももいますが、どちらかと言えば「フィールドで上手にプレーできない」「背が高いから」といった理由からゴールキーパーを任される子どもが多いのではないでしょうか。ドイツではその逆で、みんながやりたくてまず埋まっていくポジションがゴールキーパーなのだそうです。
 
同じ練習内でグラウンドの一部を使いキーパー練習しているのは普通だが、シャルケのアカデミーではGKのみのトレーニングスケジュールが別日で組まれていることもある。日本ではあまり見られない環境だ。
 
サムは日本にも何度か来日しており、日本のジュニアサッカーにも精通している。そんな彼に日本の子どもたちについて聞いてみた。
 
「日本ではいろいろなところに行った。どこの地域に行っても感じたのは、子どもたちは非常にテクニックがありクイックリー( 素早い)だということだ。そして以前、あるチームの練習に参加させてもらったが、子どもたちが非常に勤勉でした。とても集中していた」
 
日本人がブンデスリーガで活躍している理由の一つとして、“勤勉さ”をよく耳にします。日本人として誇らしいことですが、サムは警笛を鳴らします。
 
「言われたことをそつなくこなす。それはストロングポイントでもあるけれど、ウイークポイントでもある。すべての子がそうではないにしろ、全体的に積極性がもう少しあってもいいんじゃないかと思うよ。特にゴール前。なぜか遠慮してしまうのは国民性なのかな(笑)」
 
これは、ジュニア年代にかぎらず代表の試合などでも指摘されることが多々あります。勤勉さはもちろん長所ですが、見方を変えれば“周りの意見を尊重しすぎる”面もあるのかもしれません。
 

■「コーチがこう言っていたから」その言葉を尊重してあげよう

「コーチが、ああいっていた」
「また違うコーチは、こう言っていた」
「また違う日にはお父さんにこう言われた」
 
このようにお子さんが戸惑うシチュエーションに遭遇したことはありませんか? 
 
「周囲の大人に言われたことへの対処の仕方が、日本とドイツの子の違いなのかもしれない」とサムは言います。
 
「試合中や練習場では、いろいろなコーチにいろいろと言われる。家に帰ればパパやママからアドバイスを言われる。その中のどの意見が正しいのか、答えは分からない。どのアドバイスが正しいか答えを求めることより、疑問に思ったなら"あのコーチにはこうやって言われたよ"と、その場で議論し合うことが重要なんだ」
 
この日も、早朝のトレーニングにも関わらず、多くのお父さんお母さんがピッチの横で見学していました。そして帰り際、練習を終えた子どもたちが親と、いろいろと意見交換し合っていた光景がしばしば見られました。
 
あなたがアドバイスをしたことについて、「あのコーチにはこうやって言われたよ」と子どもが返してきたときに、「言いわけするな」「反論するな」と子どもに言い返してしまったことはありませんか? 
 
あなたのそのひと言が、子どもの「あのコーチにはこうやって言われたよ」という言葉を奪ってしまっていませんか? 
 
この場面で子どもを成長させるために必要なのは、その子の意見を認めてあげることです。仮にあなたが「あのコーチがそんなことを言うはずがない」「この子は自分のミスをごまかすためにウソを言っている」と思っても、その気持ちを飲み込んで、一度子どもの意見を尊重してみましょう。
 
次ページ:私生活で自分をコントロールすることがサッカーのプレーにも活きる
 

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取材・文・写真 野村晋[スクーデリア]

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