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優れたディフェンダーはココが違う! 小学生から身につけたいディフェンス3つのコツ

公開:2016年6月 2日 更新:2020年3月24日

キーワード:サッカーサービスチャンピオンズリーグディフェンス個人戦術守備知のサッカー考える力

5月29日に行われた欧州チャンピオンズリーグ決勝、レアル・マドリー対アトレティコ・マドリー。試合はPK戦の末、レアルが11度目の欧州王者に輝きました。スペイン勢同士の対決となった決勝戦を、スペイン・バルセロナに拠点を構え、世界中で選手の指導、コンサルティングを行っているサッカーサービスのフリアンコーチはどう見たのでしょうか? この試合の中でみられた“小学生から習慣づけたい守備のコツ”に焦点を当てた解説をお届けします。(取材・文 鈴木智之)

 
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写真 GettyImages
 
<<前回記事『3年連続でCLを制したスペインサッカーの強さの秘密!小学生から"考える力とスピード"を育てる理由とは』
 

■1.ボールと相手選手を同一視できる身体の向きをつくる

前回に続いて、チャンピオンズリーグ決勝について話をしたいと思います。決勝戦に出場したレアル、アトレティコともに、ヨーロッパの大きなクラブです。選手のクオリティはとても高いものがあります。決勝戦のMVPにセルヒオ・ラモスが選ばれましたが、彼はセットプレーからゴールを決めただけでなく、守備面でも多くの局面で適切なプレーをしていました。多くの守備のコンセプトを理解している、非常に優れたDFです。
 
セルヒオ・ラモスが秀でているのは、守備時の認知です。前回のコラムでも紹介しましたが、守備をするときはボールだけでなく、相手チームの選手がどこにいるのか、またどこに行こうとしているのかを予測し、次に行われるプレーに対応することが重要になります。それは守備時の認知や判断といった部分なのですが、セルヒオ・ラモスはつねにボールと相手選手を同時に見ることのできる身体の向きをつくり、フィールドの状況を認知しながらプレーの決断をしていました。空中戦にも強く得点力もあるので、まさにトップレベルのDFと言えるでしょう。
 

■2.“なにを優先して守るか”を判断する

レアルの守備で光っていたのは、セルヒオ・ラモスだけではありません。中盤の底でプレーした、カゼミーロも守備面で非常に良いプレーをしました。なかでも、守備のバランスを整えるプレーでチームに貢献していました。アトレティコの攻撃はF・トーレスが前線にいて、その周りをグリーズマンが動きまわってチャンスを作り出します。グリーズマンは動きの質が高く、DFラインとMFラインの間でパスを受けたり、ゴール前に顔を出したりと神出鬼没です。また、サウールや途中出場のカラスコなど、ピッチの中に入ってきてプレーする選手に対しても、注意をしなくてはいけません。
 
カゼミーロは流動的に動く相手選手に対して、スペースを明け渡さずにバランスを取りながら守備をするという、難しいプレーを柔軟にこなしていました。また、右サイドバックで先発出場したカルバハルがアクシデントでピッチを去り、替わってダニーロが入りましたが、彼は守備が上手な選手ではありません。そのため、カゼミーロはダニーロのサポートもしながら、ピッチ中央部の守備もするという、非常に難しいタスクをこなさなければいけませんでした。ですが、ボールの動きだけに集中することなく、他の選手の動きも見ながら、状況に応じて“なにを優先して守るか”という判断がよくできていました。
 
これらの守備の認知や判断といった個人戦術は、大人になってから身につけるのは非常に難しく、時間がかかります。もちろん、時間をかけてトレーニングをすればできるようにはなりますが、選手が大人になってからでは、「なにを」「いつ」「どのように」見ればいいか、見た後にどう判断し、どのようなプレーを実行するのかを、すぐにできるようにするのは困難です。そのために、われわれとしては育成期である13歳までに身につけられるように指導をしています。
 

■3.ペナルティエリアの中で足を止めずにプレーを継続する

PK戦で敗れはしましたが、アトレティコの守備はレアルを苦しめました。CLでFCバルセロナ、バイエルン・ミュンヘンといった攻撃力に秀でたチームを抑えて決勝戦に進出したことからも、アトレティコの守備の強固さは理解できるでしょう。
 
また、この試合ではレアルの選手のシュートに対して、アトレティコの選手が体を張って足に当て、最後の最後のところでゴールを割らせない場面が何度も見られました。通常このようにシュートまで持ち込まれてしまった場面でよく見受けられるのが、ボールから遠い位置にいる選手が、相手選手がシュートをする姿を見てしまい、足を止めてしまっている場面です。しかしアトレティコの選手は、ボール保持者の近くにいる選手も、そしてボールから遠い位置にいる選手も、ペナルティエリアの中では足を止めずにプレーを継続する守備を行ううえでの大切なポイントのひとつを適切に実行することができていました。またボールだけを見てしまうのではなく、周囲の状況を認知、把握することができていたため、次に起こりうるプレーを予測し、シュートに対しても、そしてこぼれたボールに対しても反応をすることができていたのです。このような守備的戦術の積み重ねが強固な守備を作り出していたと言うことができるでしょう。
 
次ページ:技術よりも体力よりもサッカー選手として大切な"サッカーへの理解力"
 

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取材・文 鈴木智之

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