考える力
「大人が先回りして教えない」自分で考える子どもを育むためにサカイクキャンプのコーチが心がけていること
公開:2017年2月 8日 更新:2021年1月27日
シンキングサッカースクール、サカイクキャンプのヘッドコーチとして、のべ5000人の子どもたちを指導し、自身も2人のお子さんを育てている高峯弘樹コーチ。サカイクの読者を対象にした「保護者向けセミナー」において「子どもが自立するために、親はどのような接し方をすればよいか」をテーマに、2時間に渡ってこれまでの経験を元にした子どもたちへの接し方を話してくれました。(文:鈴木智之)
■自分で考えて決断させる
セミナーでは、サカイクキャンプやシンキングサッカースクールでの事例をもとに、親の関わり方、子どもの特性にポイントを置いて解説しました。高峯さんはコーチとして親として、どのような考え方で子どもたちに接しているかを、次のように語ります。
「サカイクキャンプやスクールで我々コーチが何を考えているかというと、先回りして教えない。手をかけすぎないことです。これはグラウンドでも宿舎でも同じです。たとえば、『スリッパをきちんと並べましょう』という言い方はしません。『この宿舎をきれいに使うためにはどうすればいい?』というような言い方をします。子どもたちに、ああしなさい、こうしなさいと言ってやらせることもできますが、あえてそうはしません。ピッチ内外で、自分で選択して、決める回数を増やしてあげたいと思っています」
高峯コーチは「自分で選択して決めた結果、失敗することは悪いことではありません」と言います。なぜなら、失敗したことで何が悪かったのかを考えるようになり、次からは失敗しないようにするからです。キャンプでよくある失敗が、食事の選び方。高峯コーチは「普段、子どもたちが家で何を食べているのか。その姿が如実に現れます」と話します。
「夜の食事はバイキング形式なので、普段の食生活が出るんですね。だいたいの子どもが、からあげとポテトフライ山盛り、白米ちょっと。でも、それでいいのかな? 栄養のバランスは? サッカーをする力が出るのかな? と話をします。そうすることで、これでいいのかと、考えてくれるようになると思うんです。なるべく、自分の意思で行動をしてほしいので、準備や後片付けも手伝ってもらいます。ビブスをきれいに整理してねと言うと、子どもたちなりに考えてやるんですよね」
自立に必要な『自分で考えて決断させる』ことの一環として、サカイクキャンプでは練習や食事の開始時間をだけを教え、「間に合うように移動してね」と伝えるそうです。そうすると「部屋を回って、練習の時間だよと言わなくても、自分で準備して間に合うように集合するんですよね」と高峯コーチは振り返ります。
「なるべく、任せるところは子どもに任せる。もちろん放っておくのではなく、何かあったら手を出せる距離にいて、見守っています。そして小学校低学年であっても、自分で決めさせて責任をとらせる。そのスタンスがいいのではないかと、子どもたちと接していて思います」
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文:鈴木智之