考える力
子どもたちが「失敗したら恥ずかしい」を払拭し、挑戦するようになったきっかけ -しらゆり招待 オランダ遠征①-
公開:2018年8月27日 更新:2018年9月 7日
「子どもたちの、子どもたちによる、子どもたちのためのサッカー大会」。それが『しらゆり招待サッカー大会』です。
FCしらゆりシーガルス(神奈川県伊勢原市)が主催し、準備、片付け、開会式、閉会式、大会運営、審判など、すべてを子どもたちが実施する大会で、2018年3月、しらゆり招待が海を越え、遠くオランダで開催されました。
その様子を2回に渡ってお届けします。
(構成、文:鈴木智之)
しらゆり招待オランダ遠征 (写真提供:FCしらゆりシーガルス)
<<運営、審判、試合の作戦まで子どもたちだけで実行!しらゆり招待
■オランダ遠征をおこなった理由
大会の準備や当日の運営、出場する選手や作戦の決定、試合中の審判などすべてが子どもたち主体となって行われる「しらゆり招待サッカー大会」。神奈川県の伊勢原市で開催されるこの大会では、試合中コーチはベンチに入らず相手チームのコーチとコミュニケーションをとりながら試合を見守るのがルール。
また選手たちは自分たちも相手チームもみんなで上達する目的で、ハーフタイムに合同ミーティングを行い、お互いの良かった点や改善点を伝えあい、その後の試合に活かします。さらに、伊勢原市だけでなく、地元の学校や団体、観光協会、青年会議所などとも連携をとり町興しの一端を担っています。
そんな「しらゆり招待サッカー大会」ですが、今年はオランダでも開催することになった理由を、FCしらゆりシーガルスの一場哲宏監督は次のように説明します。
「しらゆり招待の『大会を通して、子どもたちが様々な立場を経験すること。自分で考え、主体的に行動する』というコンセプトが、サッカーが文化として根付いているオランダでも受け入れられるのか。どんな反応があるのかを知りたいと思っていたところ、縁があってオランダで開催できることになりました」
■大人が心に余裕を持つことが大事だと実感
大会の開会式は、FCしらゆりシーガルスの選手が英語で行い、審判、合同ミーティング、閉会式も日本で実施したときと同じ形で行いました。また、大会を行うだけでなく、現地の学校を訪問して授業に参加したり、スタジアムツアーや観光を通して文化の違いを肌で感じたりと、1週間の滞在で様々な国際交流をすることができたようです。
「学校に到着すると、すぐにしらゆりの選手とオランダの選手のストリートサッカーが始まりました。この時点で、外国人との間の壁は低くなっていると感じました。その後、学校の敷地や施設を英語で案内してもらい、体育の授業にも参加させてもらいました。教室では、しらゆりの選手が自分の名前をホワイトボードに漢字、カタカナ、ひらがなで書いて、自己紹介をしたのですが、1つの言葉を3つのパターンで表現できることにオランダの生徒は驚いていました」
外国の人々と交流することは、子どもたちだけでなく、コーチもたくさんの刺激を得たようです。
「英語での説明が聞き取れないことが多く、『もっと英語を理解できるようになりたい!』という気持ちになった子もいたようです。私が学校訪問で一番驚いたのは、朝の職員会議の風景です。先生がコーヒーを片手に、笑顔で談笑していたんです。これから1日の授業が始まるとは思えないぐらい楽しそうでした。私自身、サッカーを教える『教育者』としての役割もありますが、自分の心に余裕がないと、子どもを導いたり、サポートをすることもできないんだなと実感しましたね」