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みんなで守ろう子どもの笑顔!サッカーで子どもが熱中症にならないために大人がすべきこと
【熱中症対策】気温が高くなくても熱中症になる⁉ 注意すべきは気温ではなく"暑さ指数"だった
公開:2016年7月 1日 更新:2021年1月27日
年々暑くなっている気がしてならない日本の夏。特に今年の夏は過去最大級の猛暑を予想する声もあり、熱中症対策には十分な注意が必要です。夏休み、子どもたちのサッカーがもっとも活発に活動する時期を迎えますが、これには十分な注意が必要です。
酷暑と言っていい暑さが続く日本の夏、日本サッカー協会(JFA)も、『熱中症対策ガイドライン』を策定して、夏の大会、試合に対策と制限を求めています。
コーチはガイドラインの内容や基準を守り、安全に気を配る必要がありますが、お父さんお母さんもこの暑さが子どもたちにどんな危険を与えるのか知っておく必要があります。
株式会社国際スポーツ医科学研究所代表で、JASA公認アスレティックトレーナーの金成仙太郎さんに、お父さんやお母さんが知っておくべき熱中症に関する基礎知識をお聞きしました。(取材・文 大塚一樹)
<そもそも熱中症とは>
「熱中症」とは環境省熱中症予防情報サイトによると、高温環境下で、体内の水分や塩分(ナトリウムなど)のバランスが崩れたり、体内の調整機能が破綻するなどして、発症する障害の総称です。
夏だけでなく冬にも、室内でも起こります。
気温が高い場所や湿度が高い場所に長くいると、体温調節機能が上手くはたらかず、体の中の熱を外に逃がすことができなくなってしまい体温が著しく上昇したり、大量の汗をかくことで身体の水分や塩分(ナトリウムなど)が失われ頭痛やめまい、筋肉のこむら返りなどを起こしてしまいます。
死に至る可能性のある病態ですので甘く見てはいけませんが、正しい予防法を知っていれば防ぐことができます。ぜひみなさんも正しい知識を持ってお子さんのサッカーを応援しましょう。
■親も知っておきたい熱中症危険度を測る暑さ指数(WBGT)/熱中症対策の基本
JFAがガイドラインを発表したこともあり「暑さの中でサッカーをプレーする危険性」についての注意喚起が進んでいます。このガイドラインがきっかけとなって、暑さの中での試合や練習にいい影響があることを願うばかりですが、お父さんお母さんにも知っておくべきことがあります。
太陽が照りつける"わかりやすく暑い日"は、誰もが体調不良や熱中症を警戒します。
「救急搬送や病院に行くような重症化は、気温の上がりはじめや、梅雨の時期の雨が降った後などにもよく見られます」
多くの現場を見てきた金成さんによると、天気予報で紹介される〝真夏日″など気温の高い日の他に、熱中症の発生危険度が表示される番組が多くなっていると言います。
「でも、体調によっては気温がそれほど高くなくても熱中症になる子はいます。睡眠不足・欠食・疲労・病明け・テスト明けなど体調が万全でない時、体温調節機能も低下しています。また初夏は暑さに慣れていないので、複数の体温調節機能が十分に働かず注意が必要になります。また、気をつけて欲しいのが湿度です。」
JFAのガイドラインでは、気温ではなく「暑さ指数(WBGT)」を基準に対策方法が示されています。この耳慣れない暑さ指数が金成さんの指摘する湿度と大きな関係があるのです。
暑さ指数とはなんでしょう? まずは環境省の説明を見てみましょう。
暑さ指数(WBGT)って?
暑さ指数(WBGT:湿球黒球温度)とは、人間の熱バランスに影響の大きい"気温""湿度""輻射熱"の3つを取り入れた温度の指標です。(環境省熱中症予防サイトより)
暑さ指数は、気温と同じ「℃」で表されますが、温度の影響に加えて湿度がもたらす影響、
地面や建物、体から出る熱である輻射熱の影響を考慮したものになります。なかでも湿度は暑さ指数の7割を占める重要な数字です(気温が1割、輻射熱が2割)。暑さ指数は、熱中症を予防することを目的とした指標です。最近よく目にするようになった熱中症アラーム(黒球式熱中症指数計)は、暑さ指数を測るものなのです。
「気温に目が行きがちですが、湿度が高いと、体の熱が下がりにくくなります。
何故なら人間は発汗し、その汗が気化するときに熱を一緒にうばってくれます。でも湿度が高いと汗が気化しにくく、体温が下がりにくくなってしまうのです。」
金成さんによれば、気温とあわせて注意しなければいけないのは湿度。日本より暑い国から来た外国人が面食らうというのが、日本の夏の湿度の高さだと言います。気温が25度でも湿度が高ければ、暑さ指数は28度ということもあります。たとえば曇りの日、いつもより気温が低くても湿度の高い日は熱中症に要注意というわけです。
■高さで体感温度は変わる 子どもの身長で感じる暑さに要注意
「もうひとつ見落としがちなのは、大人より子どもの方が体感温度が高いということです」
金成さんが指摘するのは、私たち大人が感じる暑さと、子どもが感じる暑さは違うということです。
「暑さ指数にも輻射熱が考慮されていますが、身長の低い子どもは、大人よりも地表からの影響を受けやすいのです」
子どもの目線に下りてみると、地表から50cmの高さでは暑さ指数が高くなります。子どもと大人の体感温度は、条件によっては2度も違うこともあるそうです。特に人工芝は地面からの熱気が強烈です。ピッチの外の高いところで感じる暑さと、ピッチ内での体感温度が違うことには注意が必要です。さらに子どもは体温調節機能が大人ほど発達していないので、熱が体にこもりやすいという特徴もあります。大人の感覚で判断せず、自分の体感温度に何度かプラスして考える習慣をつけましょう。
次に紹介するのは、日本体育協会が示しているスポーツ活動中の熱中症についての指針です。JFAガイドラインは基本はこれに沿っているのですが、暑さ指数と気温の関係、対策などはこれを参考にしておくといいでしょう。
[運動に関する指針]
これを厳格に守ろうとすると、今年の夏は基本的に昼間の練習禁止となりそうな気もしますが、実際に「真夏は練習なし」「早朝や日が暮れてから練習」という取り組みをするクラブもあるようです。
最近では、天気予報でも暑さ指数の予報や現況を教えてくれるようになりましたが、今年の夏は気温だけでなく、暑さ指数を意識するようにしてみるのもいいでしょう。
環境省の熱中症予防サイトでは、地域ごとの暑さ指数の予報値と推計値、実測値を見ることができます。
計測器などがない場合は天気予報とあわせてこのサイトをチェックしておくといいでしょう。
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取材・文 大塚一樹
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