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寒い時期はベッドから出にくいし、季候が良くなれば夜更かしに。何か早寝、早起きのコツはあるでしょうか?実は人間の睡眠を調節する体内物質は、光に反応することが分かってきました。暮らしの時間帯に合った光を使用することで、眠りやすく、起きてすぐ活動しやすい体が作れるそうです。そのポイントとは?
■暮らしの光を上手に選んで「早寝」「早起き」に
原田哲夫教授(高知大学教育学部・日本睡眠学会評議員)監修の『早ね、早起き、朝ごはん 3つのお得』によると、意外に楽にできる方法はあるそうです。その一つが暮らしの光のコントロール。
「早朝、起き抜けに、太陽光または蛍光灯(昼光色)を浴びると、体内時計がリセットされます。日の出が早い夏ならカーテンを薄手にして自然光を取り入れ、日の出が遅い冬は家中の蛍光灯(昼光色)をつけてください」(原田教授)とのこと。また朝食後にも太陽光を浴びると、元気物質のもとになるセロトニンがたくさん作られて、体内時計の調整に役立ってくれるそうです。
日が暮れてからは蛍光灯ではなく白熱灯色の照明にすると、入眠物質のメラトニンが血中に出てきて寝付きも良くなるそう。逆に蛍光灯の光はメラトニンが出るのを妨げるので、寝る直前まで明るい蛍光灯の部屋にいると、寝付きが悪くなる原因の一つと考えられています。
このように、まず「早起き」を意識して暮らしのリズムを変えることが、「早寝」「早起き」「朝ごはん」生活の第一歩です。こうした生活がジュニアスポーツ選手に与える好影響として、原田教授は「プレイが上達し、パフォーマンスがアップ」(理由:REM睡眠の増加による、新しい技術の定着)、「持久力がアップし、フィットネスが高まる」(理由:筋肉量が増えたり、ミトコンドリアが増える)、「けがをしにくく、けがをしても治りやすい体に」(理由:早寝によって成長ホルモンの分泌が増える)などを挙げています。
■家族全員で、「早起き」できる生活習慣を意識しよう
一方で「早寝」「早起き」を妨げるものに、子どもたちが夜遅くまでゲームやテレビに時間を費やすことがあります。この習慣が続くと夜型生活にシフトし、早起きしにくい暮らしのパターンにはまり込んでいきます。しかもゲームやテレビのディスプレーから出る光などの電磁波が体に影響し、入眠物質のメラトニンを出にくくすることなども分かっています。ゲームやテレビのディスプレーを長時間見ていることで、子どもの睡眠に影響が出てくるのです。
しかも両親が長時間テレビを見る家庭ほど、子どもがテレビを見る時間も長く、結果として寝る時間が遅くなる傾向にあるそうです。「早寝、早起きしなさい」と言うだけではなく、家族全員で取り組む問題。「例えば今日はゲームをしない日、遅くまでテレビを見ない日を作って、「早寝」「早起き」の生活に戻す工夫をすることも大事です」と原田教授からのアドバイスです。
■子どもとスポーツについて話すことも、大事なサポート
こうした生活習慣の改善のほかに、家庭でどんなサポートができるでしょうか?「子どもと一緒に運動するのは、時間的にも体力的にも厳しい……」という人もご安心を。子どもとスポーツを「見る」、スポーツについて「話す」ことも、子どもの総運動時間が長くなる傾向が調査で分かっています。
小学生では家の人とスポーツや運動について話をする頻度が高いほど、1週間の総運動時間は長くなります。「週に1回以上話す」と答えた小学生男子の場合、1週間の総運動時間は954分。「まったくしない」と答えた子が297分ですから、3倍以上も運動しています。女子の場合は更に顕著で、「週に1回以上話す」の場合は584分、「まったくしない」の場合は150分と、4倍近くの差が出ているのです。
実際に「運動やスポーツについて話す」ことと、「運動やスポーツをもっとしたいと思うか」という意欲の関連を見た調査もあります。「週に1回以上話す」という小学生は、男子「したいと思う79.1%」「ややしたいと思う15.5%」、女子「したいと思う68.8%」「ややしたいと思う23.0%」と9割以上が肯定的な答えでした。
このように一緒に「見る」「話す」ことも子どもの興味・関心を高め、スポーツを楽しむことに役立ちます。早寝、早起きのリズムを崩さない範囲で、子どもと話す機会をもっと作ってもいいでしょう。もちろん一緒に運動したり、遊んだりすればさらに家族全員の健康にも役立ちます。文部科学省の委託事業として日本体育協会が制作した『アクティブ・チャイルド・プログラム』では、「走る」「跳ぶ」「投げる」など、子どものための運動プログラムが紹介されていますから参考にしてはどうでしょうか。
文部科学省『子どもの体力向上のための取組ハンドブック』「家の人と一緒に運動やスポーツの話をする」頻度と総運動時間との関連(平成22年度)、「家の人と一緒に運動やスポーツについて話をする」の回答と「運動やスポーツをもっとしたいと思うか」との関連(平成22年度)
参考資料:「早寝早起き朝ごはん」全国協議会『早寝早起き朝ごはんガイド』
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文/山辺孝能 写真/サカイク編集部(ダノンネーションズカップ2012より)
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