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楽しまなければ勝てない~世界と闘う“こころ”のつくりかた

一度習得した技術は消えない。大会中止に落胆するのではなく、前向きに新たな挑戦を

公開:2020年5月 3日

キーワード:インターハイオンライン大会中止少年サッカー新しいチャレンジ

サッカークラブや各種スポーツ団体を対象に「スポーツマンのこころ」と銘打つ講義で、一流アスリートになるための心得を伝え続ける岐阜協立大学経営学部教授の高橋正紀先生。ドイツ・ケルン体育大学留学時代から十数年かけ、独自のメソッドを構築してきました。

聴講者はすでに6万人超。その多くが、成長するために必要なメンタルの本質を理解したと実感しています。

高橋先生はまた、「スポーツマンのこころ」の効果を数値化し証明したスポーツ精神医学の論文で医学博士号を取得しています。いわば、医学の世界で証明された、世界と戦える「こころの育成法」なのです。

日本では今、「サッカーを楽しませてと言われるが、それだけで強くなるのか」と不安を覚えたり、「サッカーは教えられるが、精神的な部分を育てるのが難しい」と悩む指導者は少なくありません。

根性論が通用しなくなった時代、子どもたちの「こころの成長ベクトル」をどこへ、どのように伸ばすか。「こころを育てる」たくさんのヒントがここにあります。
(監修/高橋正紀 構成・文/「スポーツマンのこころ推進委員会」)

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(写真は少年サッカーのイメージです)

 

親の気持ちもわかるが、一番つらいのはプレーできない子どもたち

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、史上初めて夏のインターハイ(全国高校総体)の中止が決まりました。同じ時期に開催予定の高校野球は無観客試合を検討しているそうです。春のセンバツ高校野球の開催中止の際も同様でしたが、子どもたちのビッグイベントが中止になると、スポーツ関係者から落胆の声が聞かれました。

「理不尽な理由で中止になり、子どもたちがかわいそう」

「スポーツ推薦など、子どもたちの進路への影響があるのに残念だ」

気持ちはわかりますが、このような大人のコメントもまた違った意味で残念です。感染予防のために中止されたことは理不尽などではありません。十分理に適(かな)ったことです。それを大人が「理不尽だ」と言ってしまうのは、子どもたちに「どんなことよりスポーツは優先されるべきじゃないか」との価値観を植え付けないとも限りません。

これは、保護者の方も気を付けてほしいところです。インターハイが中止になって「これまでこんなにサポートしてきたのに」とお母さんが泣いた、という記事を読みました。一番つらいのはプレーできない子どもなのですから、親が落胆する姿を見せたら子ども達はさらにつらくなってしまうでしょう

こういうケースは少年サッカーにも今後たくさん出てきます。自然災害や、台風、大雨などで大会が中止になることだってあります。そんなとき、大人は毅然としていてほしい。

ほんとうに残念だね。でも、仕方がないこともあるよ。君たちの安全を優先して中止になったことだから、感謝しよう。これからのことを考えよう」

そんな話をしてあげてください。

そんなものはきれいごとだ、理想だろうが、難しいとおっしゃるかもしれません。でも、理想を追求することこそ教育です。大人は、例えば「このくらいの雨ならできただろうに」などと思っても、本音は隠し、きれいごとを語ってほしいと思います。

インターハイの中止にしても、いくつか情報を集めると、選手はそこまで考えていません。大人よりも切り替えが早い子もいるものです。

この状況だとスポーツ推薦が難しいかもしれないので、今の休部中の間に勉強して一般入試で希望大学に入りたい」というコメントをネットで見かけました。これこそ、子どもが自らの意思でピンチをチャンスにするという、スポーツを通じて養える力なのです

 

一度習得した技術は消えることはない

状況が違えば行動も変わる。子どもが学ぶ内容も変わる。

そのような変化を、まず大人がしっかり受け止めることが重要です。SNSを眺めていると、アスリートたちの投稿は概ね筋トレかリフティングです。そのこと自体悪いことではありませんが、そんなに焦る必要はありません。一度得した技術は消えることはないのです。筋肉は落ちますが、子どもはそこまで気にすることはありません。ほどほどで大丈夫です。

それよりも、勉強に切り替えた高校生のように日頃できないこと、やってみたかったけれどできなかったこと(自宅で、に限られますが)にチャレンジしてみるよう、促してあげてください。

それと、コーチの皆さんは、これを機会に他の指導者の方々とオンラインミーティングをしてみてはどうでしょうか。オンライン飲み会も盛んです。レコーディングもできます。過去に居酒屋などで「有意義な話ができたから、録音しておけばよかった!」なんて言いあうことがありますね。それが可能です。

私たち教員は現在、オンライン授業質をどうやったらより実りあるものにできるかの模索を日々重ねています。ただ、オンライン会議ソフトの機能を理解していくにつれて「なるほど、これは便利だね」と感じることが多々あります私たちはこの機会に新しいコミュニケーションの方法を確実に得ることになる、と実感しています

子どもたちとコーチがオンラインミーティングをしているという話も聞きます。それぞれが何を大事にしながら日々暮らしているのか。どんな目標設定をしているのか。それに向かって、いまできることをどう選定してやっているのか。そんなことを発表しあいます。共有すれば、あの子がやっていたことを僕もやってみよう、私もチャレンジしてみようとなります。

つまり「活気」が生まれます。

現在のような、自粛期間の中ではこの活気がとても大切です。みんなでひとつのダンスを覚えてみてもいい。アスリートがよくやる「ズンバ」も楽しいです。コーチはそのような提案をオンラインを通じて行うことができます。

 

次ページ:少年サッカーで学んだことが後々どう役立っているか学ぶチャンス

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監修:高橋正紀 構成・文:「スポーツマンのこころ推進委員会」

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