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あなたが変われば子どもは伸びる![池上正コーチングゼミ]
【ドイツ視察③】守備をつけないパターン練習を生かす ~真似したいドイツ育成年代の指導とは~
公開:2017年11月 6日 更新:2021年1月27日
「あなたが変われば子どもは伸びる!池上正コーチングゼミ」を好評連載中の池上正さん(前京都サンガ育成部長)のドイツ視察レポートを全3回にわたってお送りします。
この夏、ドイツの少年サッカー環境の視察に出かけた池上正さん。
フランクフルトから車で約1時間半ほどの「Hennef(ヘネフ)」スポーツシューレ(ドイツの地域型スポーツクラブ)を中心に見学しました。ヘネフは2005年にドイツで開催された「コンフェデレーションズカップ」で、アルゼンチン代表が利用したことで知られています。
施設は、宿泊棟のほか、芝生グランドが2面、小グランドが1面、人工芝のグランドが2面。屋内施設としては、ハーフサッカーコートや総合体育館、サウナやプールにフィットネスルームなども完備された素晴らしい環境です。
ドイツを訪ねるのは実に6回目という池上さんですが「今回はさらに新たな発見があった」と言います。
日本の少年サッカー関係者に「目からうろこが落ちる」と感嘆される池上さんにドイツが与えたインパクトの中身とは? 最終回となる今回は、練習メニューなどをご紹介します。(取材・文:島沢優子)
<<ドイツ視察2:日本と逆。ドイツの競技者の年齢層が逆三角形になる理由
■ディフェンスをつけない練習の意図
私のドイツ視察レポートとして、ここまでコーチングや育成システムの話をしました。
最後に、恐らくみなさんが一番知りたいであろう練習メニューや、指導の内容をお伝えします。
ドイツの育成年代は、守備をつけない攻撃パターンの練習をたくさんやります。これを自分の目で見られたのは、大きな収穫でした。
このことは、サカイクでの私の連載「池上正のコーチングゼミ」の第14回『ボールを持たないときの動きの質を高めたい』で少しお伝えしたので、読まれた方もいらっしゃるかもしれません。
ドイツの15歳以下女子代表の選手たちが、ディフェンスをつけずにパスをつなぎゴールまで運ぶ練習をしていました。
例えば、敵陣でサイドからスローインの場面では、ひとりがボールをもらったら、コントロールしてピッチに入ってきたスローワーだった選手にリターン。その選手がドリブルで中に切れ込んだり、ワンツーパスをするなどいくつかのパターンを練習していました。
試合中似たような場面は度々出てくるので、非常に実戦的な練習だと感じました。守備をつけずにやることで、サッカーの成り立ちを理解させるわけです。
ジュニアでも、このような練習を取り入れていました。これは日本の少年サッカーのトレーニングにもぜひ取り入れてほしいと思いました。
なぜなら、まだ技術が未熟な小学生は、相手のディフェンスが出てくると慌ててしまいます。そうなると、ゴールに向かうプレーではなく、ボールを取られないようにするプレーに終始してしまいます。なかでも、コーチに「取られるな」と言われると、さらにその傾向は高まります。
特に、シュート練習はディフェンスをつけると練習にならないというのが、ドイツのコーチたちの共通理解のようでした。
では、シュート練習をどうするのかといえば、ペナルティーエリア付近に、よくフリーキック練習で使用する人形やコーン、マーカーを置いてポイントをつくります。
子どもたちはその付近でボールを受けると、自分のやりたいフェイントをやってシュートを打ちます。
そんな練習は、以前FCケルンでの練習で大迫選手もやっていました。シュートまでスムーズにもっていけるよう反復練習をします。
サッカーの世界で、動きがスムーズにならないことを「ノッキング」と言いますが、そのノッキングは人形を置いた状態でも起こります。ですから、そのような「引っかかる感じ」が消えるまで黙々と練習するわけです。
さらにいえば、守備をつけなくても、パッサーとのタイミングが合わなかったりします。何度かやるなかで、そういった飛び出すタイミングなども磨かれてだんだん上手くなる。
守備をつけない練習は、サッカーを理解させることに加え、技術を確かなものにするメリットがあるのです。
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