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あなたが変われば子どもは伸びる![池上正コーチングゼミ]

総勢10人の少所帯で1日3試合は無理? スタミナ配分や戦い方を教えて

公開:2018年8月31日 更新:2019年3月15日

キーワード:スタミナフレッシュ体力小学生持久力指導者試合数集中力

10人しかいない少所帯で1日3、4試合するのはかなりハード。体力も集中力も切れ、試合の内容も良いとは言えない。少人数でも1日数試合の試合をこなす方法はある? そもそも小学生年代で1日数試合することは肉体的にも正しいことなの? ケガや疲労も心配。 というお悩みを寄せていただきました。

同じような疑問を持っている指導者もいらっしゃるのではないでしょうか。

これまでジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上の子どもたちを指導してきた池上正さんが授けるコーチングを参考にしてみてください。(取材・文:島沢優子)

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※写真は過去のサカイクキャンプの休憩中写真です。 質問者及び質問内容とは関係ありません

<<暑い日の試合だとやる気が出ない子どもたち。どうすればいい?

<お父さんコーチからの質問>

指導者ではないのですが、チームの子どもたちのことが心配なのでご相談させてください。

うちのチームは5年だけ、総勢10人という団体です。8人制ともなればほぼ全員がフル出場です。出場機会という点では良いのですが、1日に3、4試合あると、90~120分とかなりハードです。

人数の多いチームは交代選手もいますが、3試合目ぐらいにはスタミナ的にもすでにキツく、最後の試合では、集中力も切れ、フレッシュな選手が出てくるチームにはかないませんし、内容的にも良い試合にはなりません。

そこで、質問の1つ目は、少ない人数で数試合戦う良い方法があれば教えてほしいということです。また、普段どのように指導して体力をつけるか、少人数で数試合をこなすためのスタミナの配分、戦い方などもあればぜひ知りたいです。

質問の2つ目は、そもそもこの年代で、日に3、4試合するのは肉体にも正しい事なのか? ということです。

子どもたちのケガや疲労の観点でも心配に思います。
何かいい方法があれば教えてください。

<池上さんのアドバイス>

ご相談、ありがとうございます。
ほかの指導者からよく、「うちの選手は走れなくて」という話を聞きます。次にくる言葉は「根性がない」「体力がない」です。根性や体力をつけて走れる選手にしようとみなさんたくさん試合をします。

でも、私はそれが逆に走れない選手をつくっているような気がしてなりません。

■全力プレーの時間が少ないと、試合展開に対応する「持久力」が養われない

ご相談者様のチームのように、日本の少年サッカーは1日3試合くらい平気でやります。しかも、その都度勝つことを優先しているためずっと同じ選手が出場します。

そうすると、出ずっぱりの子どもは無意識のうちにペース配分をします。意識的にする子もいるでしょう。大人が勝つことを意識してしまうと、相手との力の差を測りながら戦況をみながらプレーするわけです。

よって、ひとつの試合で精いっぱい動いて力を全部出し切ることができません。全力でプレーする時間が非常に少ないのです。そのようなことが習慣として身についてしまうと、全力プレーを続けるサッカーに必要な持久力はもちろん、めまぐるしい展開に対応していく精神的な持久力も養われません。

サッカーの走りは、持久走やマラソンとは異質のものです。ただ長い距離を走れば、走力を得られるわけではありません。

残念ながら、日本はテクニックがあるのに走れない選手が少なくありません。厳しい言い方ですが、走れない人が多いのであまり目立たないだけです。

止まりたくなるため、ボールを保持しすぎる。
人と連動する流れを止めてしまう。

オシムさんも日本代表の監督になった当初、「日本の選手はもっと走らなくてはダメだ」とおっしゃっていました。

■ドイツの小学生は日本の1/5しか試合しないのに、中学以降グッと強くなる

だからこそ、私は全員が1日1試合できるというしくみにする必要があると思います。できれば、フランスドイツのような欧州のように、通年のリーグ戦で1日1試合。クラブに人数が多ければ、2チーム出場させればよいのです。

小学生が1日に3試合も4試合もやるのはとてもおかしなことなのに、日本の小学生クラブでは年間200試合やるところもあります。彼らが言うのは「そういったことに慣れていないと、全少の予選を勝ち抜けない」というものです。全国大会の地区予選は、地域によっては1日3試合くらいやることもあるようです。


「それができないとダメ」
「勝たないとダメ」
そう子どもたちをリードしていかなくてすむようにするには、大会の仕組みを変えなくてはいけません。

前述したドイツの小学生は、年間30試合しかやりません。ほぼリーグ戦です。つまり日本でたくさん試合している小学生の5分の1くらいしか試合しないのに、中学生から高校生、ユース年代になると、日本選手を打ち負かしてしまいます。


日本からすると、子どもも大人も毎週試合をして消耗しているわりに、成果が小さいわけです。

できれば1日2試合。全員出場させて一人ひとりが全力でプレーできるようにしてあげてください。

次ページ:体力をつける練習、スタミナ配分は...

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コーチからの【チーム指導の悩み】に池上正さんがお答えします(例:年代がバラバラなチームの練習メニューなど)※記事になります
※質問の文言を記事にさせていただくことがあります。その際はプライバシーには配慮します。
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文:島沢優子

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