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あなたが変われば子どもは伸びる![池上正コーチングゼミ]

勝たないと納得しない親たち。全員出して色々経験させたいのに... 結果重視の保護者対応、どうしたらいい?

公開:2018年12月21日 更新:2019年3月18日

キーワード:コーチングサッカースクール主体性小学生池上正考えて動く補欠ゼロ試合

県外の大会で子どもたちに色々体験させたく、自分たちでメンバーを決めさせたりやりたいポジションをさせたりして、全員同じ時間試合に参加できるようにした。試合で子どもたちが自分で考えて動くようにしたのに、大半の保護者が勝てなかったことに不満の声。

自分のやり方は間違っているのか? とお悩みをいただきました。実はとっても多い、保護者対応の悩み。みなさんならどうしますか。

これまでジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上の子どもたちを指導してきた池上正さんが、コーチの悩みに寄り添います。(取材・文:島沢優子)

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※写真はサカイクキャンプでのトレーニングです。 質問者及び質問内容とは関係ありません

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<お父さんコーチからの質問>

こんにちは。
私は現在、少年団のU-9を指導させて頂いています。みんな1年生からの持ち上がりです。

県外のチームと交流がある為、先日そのチーム主催の大会に参加させて頂きました。大会に参加しているチームの多くはクラブチームで、私達の県からは私達だけでした。その大会では、勝敗に関係なくどのチームも5試合あります。はじめに4チームのリーグ戦をやって順位が確定し、その後トーナメントで戦うフォーマットでした。

私達のチームは残念ながら4位チーム同士の試合に参加する事になりました。

はじめての遠征であり、朝早く2時間以上会場まで掛かるということもあり、せっかく遠い所まで試合にきたので子ども達に良い経験をさせたいと思い、やりたいポジションをさせてみたり、子ども達だけでメンバーを決めさせたり、みんながたくさん、同じ位の時間試合に参加出来るようにしました。

試合後、親御さんにはこの大会に望んだ気持ちを伝えたのですがしかし大半の親御さんが納得していないようで......。

「遠くまで来たのにあの結果はない」とか、「県の代表で参加しているようなものなのに恥ずかしい」「この前の地元の大会ではそこそこ良い結果だったのに、あんなにポジションやメンバーを変えてやるから悪いんじゃないの」とか散々意見があったみたいです。

試合で子どもたちが自分で考えて動くように指導したつもりなのですが、私の考え、やり方が間違っているのでしょうか?

<池上さんのアドバイス>

ご相談ありがとうございます。

保護者のみなさんは、せっかく遠くまで来たのに勝てなかった。しかも、コーチが子どもを全員出したりして、試合に勝つために動いていないじゃないか――そんないらだちをぶつけられたわけですね。

ここでお伝えしたいことは三つあります。

■コーチがやったことは、少年サッカーの指導において非常にいいやり方

ひとつめは、ご相談の方がやろうとしてらっしゃることは非常に良いやり方だということです。

「せっかく遠い所まで試合にきたので子ども達に良い経験をさせたいと思い、やりたいポジションをさせた」

9歳以下ということは小学3年生くらいですね。なかには2年生もいるかもしれません。それぞれ自由にポジションを選ばせ、いろんなところを経験させるのはとてもいいことです。

「子ども達だけでメンバーを決めさせた」
自分たちでやる。考える。話し合って決める。そういう学びを経験させています。これも非常に好ましいです。

「みんながたくさん、同じ位の時間試合に参加出来る」
私がどこにいってもコーチにお伝えしていることです。上手い子だけでなく全員がサッカーをする。それによって底上げができる。すそ野が広がる。その視点が少年サッカーには必要です。

■クラブの押しつけに感じない説明、伝わり方が大事

ふたつめ。ここが一番重要なところです。


上記のような方針をもってチームを運営することを、前もって保護者にきちんと伝えておきましょう。しかも、前述したそれぞれの理由を相当丁寧に解説する必要があります。チームが始動する新年度の4月くらいに、どこのクラブも総会や懇親会みたいなことを行いますね。年度終わりの3月に次年度の方針を発表することもあります。そのように一斉に説明する機会をつくってください。

私たちはこんなことをやりますよ。
チームの方針はこうです。

そんなことを保護者に話しておく必要があります。
例えば、1クラブとして、こんな選手を目指しているという育成のビジョンを伝えます。「自分で考えられる子ども」「クリエイティブなプレーができる個性のある選手」なんでもいい。目指す選手像を掲げてください。

「最終的に6年生になったらこんなふうになってほしい」と話してください。そこで勝ち負けの話をするとすれば「小学生最後の大会で勝てればいいと考えています」と伝えてもいいでしょう。6年生になったら、それまでよりもう少し勝つことを意識する。

「6年生最後の大会で勝ちたい」という声はよく聞きます。であれば、最後に勝とうという目標の定め方でもいいでしょう。6年生が総仕上げだというかたち。そこを見据えてやっていく。そのような説明のほうが、今の世の中の現状には合っているかもしれません。

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※写真はサカイクキャンプでのトレーニングです。 質問者及び質問内容とは関係ありません

ポジションにしても、6年生になったときに、その子に合う場所が見つかればいい。
「それまではいろんなところの経験をしてもらって、自分で一番合っているところを探せるような子どもに育てたい」
そう説明してはいかがでしょうか。

その際に、気をつけることは、意見交換会というかたちをとることです。
「自分たちはこうします。ついては指導に文句は言わないでください」というような押し付けになってはいけません。

「子どもたちのことを考えて、こんな方法でやりたいと思います。いかがでしょうか?」
そんなふうに提案型で話し合いを進めたほうがよいでしょう。

いつものやり方をみていれば保護者もわかっているだろう。
小学生の間は全員が試合に出てサッカーを楽しむ。それが正しいやり方だ。

コーチのみなさんがそうとらえたとしても、実は今の世の中にはまだ浸透しきれていません。

親に口を出させないと言うことではなく、クラブではこう考えてますよということをきちんと説明しておけば今回お聞きしたようなすれ違いは起きないでしょう。

次ページ:説明しても聞く耳を持たない、反対する保護者には...

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文:島沢優子

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