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チームの子どもが5人しかいない。楽しめて、かつ実践で使えるトレーニング方法を教えて

公開:2019年7月 5日 更新:2019年7月 6日

キーワード:8人制トレーニングドイツローカルルール少人数育成認知・判断

チームの子どもが5人しかいない。練習していてもすぐ順番が回ってくるので飽きてしまうし、試合も経験させたいんだけど、人数的にムリ......。少人数でも楽しめて、かつ長く続けられ、試合につながる技術も身につけさせられる練習はある? とご相談をいただきました。

チームの人数が少ないクラブの指導者のみなさん、同じような悩みを抱えているのでは?

これまでジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上の子どもたちを指導してきた池上正さんが、少人数を逆手にとって子どもたちを上達させるメニューなどをアドバイスしますので参考にしてください。(取材・文:島沢優子)

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少人数制の方がトレーニングとして有効な面とは(写真はイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)

<<小さいグランドでもスキルや判断力を身につけられる?

<お父さんコーチからの質問>

はじめまして。私はU‐8年代を指導している者です。

いきなりですが、5人でできる楽しくて、長くできる練習ありませんか?

チームの子ども達が5人しかいません。試合も経験させたいのですが、この人数では...。

この年代では楽しむことが大事だと思うのですが、この少人数で楽しめて、かつ長い時間続けられる練習メニューがあったら教えてください。

また、試合につながる技術も少しずつ身につけてほしいのですが、この少所帯でどんな練習をすればいいのか、アドバイスをいただけたらと思います。

 

<池上さんのアドバイス>    

ご相談ありがとうございます。
少子化の影響もあるのか、子どもの人数が少ないという声はよく聞くようになりました。

サッカー人口を増やしたいとは思いますが、小学生の時点では実はたくさんの人数でサッカーをする必要はありません。数年前に4種は8人制に移行しましたが、私からすると8人でも多いと思っているくらいです。

ジュニアの育成を10年ほど前に考え直してから進化を遂げたドイツサッカー協会は、10歳以下の子どもたちの試合を「3対3の4ゴールコート」にしようと動いています。小さいゴールを2個置くわけです。

左右に二つゴールがあると非常に頭を使いますね。ドイツでは、協会がこのやり方を推奨しているのです。

少人数制にするメリットはあとでお伝えするとして、まずは人数が少ないときの工夫についてお話ししましょう。

 

■5人制は8人制以上にメリットがある

指導されているのは8歳以下なので、小学2年生のチームでしょうか。

例えば、8人制の大会に出るときは、ローカルルールにしてご自分のチームと対戦する相手にお願いして5人制にしてもらえばいいと思います。

相手のチームにも5人でやってもらうわけです。無理に8人にする必要はありません。万が一、8人しかダメだと言われるのなら、代わりに対外試合、つまり練習試合をほかのチームに依頼して組んであげてください。

公式戦でなくてもいいのです。ほかのチームと試合をすることが重要なのです。5人制で練習試合をしてくれるところ。もし、相手チームの子どもの人数が多ければ、相手チームも5人ずつのチームにしてもらい、3チームとかのリーグ戦にすればみんなが試合に出られて楽しい交流戦になると思います。

特にこのくらいの年齢で5人制でサッカーをすることは、8人制以上にメリットがあります。ご相談者様は、まずそこを理解してほしいと思います。

メリットのひとつは、コートに立つ味方が少なければ少ないほど、一人ひとりがボールをさわる回数は必然的に増えます。サッカーの入り口にいる低学年の子どもたちは回数多くボールにさわることで上達するのに、11人制とか8人制では子どもによっては1試合であまりさわれずに終わる子も出てきます。

なおかつ、サッカーはチームスポーツであり、全員で協力してボールをゴールに運ぶスポーツであることをこの時期にやらなくてはいけません。

そのためには、誰かうまい子がひとりでドリブルしておしまいではなく、みんなでボールをつなぐというサッカーの本質を理解してもらうためには、少人数でやるほうがわかりやすいのです。

また、視野の広さもつけなくてはいけません。

そこを考えたとき、自分以外に3人、もしくは4人しか見なくていい4人制や5人制という少人数方式のほうがトレーニングとして有効です。

なぜならば、「視野の確保」というスキルを少しずつ積み重ねていけるからです。高学年になったときに、自分以外のフィールドプレーヤー6人を見たり感じたり、あるいは(ここに走りこんでくるだろう)と予測しながらプレーすることが当たり前にできるようになるのです。

ところが、日本の少年サッカーは、どちらかといえば、この能力を育てることに今まで注視してきませんでした。

それに対して、ほかのサッカー先進国は、どこも少人数制でジュニアを育成しています。

冒頭で挙げたドイツは、3人制サッカーを始める以前から5対5、もしくは7対7でジュニアの育成をしてきました。クワトロサッカーがずっと以前から盛んなオランダは、文字通り4対4で小学生の試合を行います。

■一つのメニューを長く続ければいいわけではない

また、質問の中に「この少人数で楽しめて、かつ長い時間続けられる練習メニューがあったら教えてください」とありました。

長時間続けられるメニューを探されていますが、おそらく5人しかいないため、何をしてもすぐに順番が回ってくるのでひとつのメニューがなかなか続かないのだろうと察します。

ただし、ひとつのトレーニングを長く続ければいいわけではありません。例えば、指導者が入ったら3対3の試合ができますね。そうすれば、ドイツが移行し始めた3人制サッカーができます。コーンでつくったものでよいので、ゴールも2つ置いてみてはいかがでしょうか。

きっと子どもたちはみるみる賢くなると思います。

トレーニングの組み立ては、日本サッカー協会も推奨しているように「М(マッチ)・T(トレーニング=練習)・М(マッチ)」でやってください。

子どもたちが集まったら、すぐに試合をする。そうすると、あっという間に30分経ってしまいます。

次ページ:選手が少いことを逆手にとって、上達させる方法

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