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あなたが変われば子どもは伸びる![池上正コーチングゼミ]

1年から6年まで25人をひとりでどう教える? 全員上手くなるメニューを教えて

公開:2020年1月17日 更新:2020年1月18日

キーワード:GK練習M-T-Mコーチング一人で指導全員上手くなるメニュー年齢がバラバラ

1年生から6年生まで25人いるけど指導者は自分だけ。一人で学年別のチーム、GK練習を指導するのは困難。学年がバラバラで、限られた練習時間の中で全員上手くなるメニューを教えて、というご相談をいただきました。

小さい子たちと練習させても、6年生が伸びないのでは? と思っている指導者もいるかもしれませんが、上の学年の子たちもちゃんとサッカーが上手くなるのです。

これまでジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上の子どもたちを指導してきた池上正さんが、練習メニューのアドバイスを送りますので参考にしてください。(取材・文:島沢優子)

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(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)

 

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<お父さんコーチからの質問>

こんにちは。自分が監督しているジュニアチームなのですが、人数が1~6年生まで大体25人程います。

でも練習に指導者は自分1人しかいません。

1人でGK練習、初心者練習、低学年練習、高学年練習を見れないので満足な練習密度が取れません。

こういった年代がバラバラのチームで、限られた練習時間内(だいたい90分以内)で、それぞれが上手くなっていくためにおすすめのトレーニング方法があったら教えてください。

 

 

<池上さんのアドバイス>

ご相談ありがとうございます。

私自身、技術差があるから練習ができないとは思っていません。スキルの習熟度の違いや、はたまた年齢の違いは、指導の仕方によってはサッカーが上達するエッセンスになると思っています。

ジュニア世代の練習は全部で90分。最初に30分間ゲームをし、次にそこで見えた課題を切り出して解決するための練習が30分。そして、取り組んだその練習を試してみるために最後に30分間またゲームをします。

これは「М-T-М(マッチ・トレーニング・マッチ)」といって、日本サッカー協会も推奨している練習の組み立て方です。

試合をするときは、子どもたちの学年やスキルの差といったパワーバランスを考慮して、チーム編成をします。もっといえば、初心者の子や、1年生でもパスをもらえるような試合にしてあげます。1年生から6年生まで、みんなが楽しめるのが理想です。

 

■じつは年齢ミックスで練習することで6年生もサッカースキルが伸びる

縦割りでの練習を提案すると、多くのコーチが「それでは6年生が上手くならないのでは」といった声が出てきます。が、いいことのほうが多いです。

上級生は下級生に上手くコーチングし、とりやすいボールを供給したり、同級生よりも少し上手い下級生の子がいても上級生の守備を突破しなくてはいけないため、より頑張らなくてはいけません。結果的に、両方ともさまざまな成長があります。学年が異なるからこそ、サッカーが上手くなる側面もあるのです。

もちろんですが、すべてのゲームを1年から6年までのミックスにしなくても良いです。2学年一緒だったり、3・4年生チームと、5・6年チームが対戦してもいい。4対4や6対6など少人数制の試合をやります。人数が足らなかったら、コーチが入ったり、ほかの学年から借りて来ればいいでしょう。

コーチが入って行う試合では、流れをコントロールしながら指導できます。そばで見られるのでいろんなコーチングもしやすくなります。

「さっきボールを取られちゃったね。囲まれたら何を考えますか?」などと問いかけて、考えさせます。やれることはたくさんあります。

 

■キーパーを「別練習」にする必要はない

また、ご相談の中に「GK練習」とありました。みなさん、ゴールキーパーは他の子どたちとは別練習にしなくてはいけないと思い込んでいますが、すべて同じ練習で構いません。公式戦や練習試合のときに、キャッチングを少し教える程度でいいと思います。

欧州で何度か育成年代の練習や試合を視察しましたが、どのチームも試合になるとゴールキーパーをやる子はいましたが、練習では他のフィールドの子たちと一緒でした。育成年代で一緒に練習するから、足元を自由に使えて、キックも正確なキーパーが育つのだと感じました。

試合の後の練習は、2対1、3対2など数的優位の場面をつくりだせる練習をするといいでしょう。小学3年生でも2対1原理は理解できます。

こういった練習でも、6年生と組んだ1年生は上手くなります。一緒にやると、本当に上手くなるにはどうしたらいいかがわかるようになります。

対する6年生は、例えば2対1で相手が取りに来ると、それが「チャンス」だとわかっています。ボールを持っても相手が低学年だとやすやすと奪われないため、相手がギリギリまで飛び込んでくるのを見ていられます。タイミングを計り、体で覚えて理解する。そんなトレーニングになります。

3、4年生の中学年は、低学年よりも動けます。彼らが守備に回って、6年生がワンツーを使う練習をすると非常にいい相手になります。

 

■自分よりうまい、強い選手とやらないと上手くならない、という訳でもない

みなさん、自分よりうまい、強い相手とサッカーをしないと上手くならないと思い込んでいるようですが、決してそうではありません。レベルが下の子たちとやることで正確な技術が定着していく。そういうふうに考えられたら、どんなトレーニングでもみんなで一緒に楽しくできます。

とはいえ、周囲にそういった縦割りで活動するチームは稀ですから、ぴんと来ないかもしれません。

私がジェフ時代からお世話になっている元大学教授の先生は、30年以上も地域でスポーツ教室を開いています。そこでは、子どもから大人まで一緒にさまざまなスポーツをします。

そこに通っていた子どもの中から、アメリカンフットボールのプロ選手が輩出されたりするのです。小さいころにいろんな人と交流したおかげで運動能力やコミュニケーション能力など、さまざまな力が磨かれたと言えます。

彼らが戻ってきて教室に参加すると、小さい頃の思いがあるので相手が幼稚園児でも手を抜きません。ふっ飛ばしてプレーします。

サッカーを始めどんなスポーツでも、小さいころにどれだけいろいろな運動をしているかが非常に重要です。小さいときからサッカーをすれば上手くなって、いい選手になるわけではありません。

 

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文:島沢優子

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