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あなたが変われば子どもは伸びる![池上正コーチングゼミ]

守備時のフィジカルコンタクトを怖がったり、ポジショニングを理解してない小6年代に守備の目的と原則を教える方法は?

公開:2022年5月20日 更新:2022年5月31日

キーワード:パスフィジカルコンタクトボールを奪うポジショニング守備守備の原則守備の目的数的優位

足元の技術は上手いけど、頭でのサッカーの理解度がまだまだ......。ボールを奪いに行くときにフィジカルコンタクトを怖がったり、守備位置が悪かったり。

サッカーの本質をしっかり理解してほしい小6年代に守備の目的や原則を教えるとき、どんなことを理解させればいいのか教えて。 とのご相談。

今回もジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上の子どもたちを指導してきた池上正さんが、守備のトレーニングにおいて大事なことを教えます。
(取材・文 島沢優子)

池上正さんの指導を動画で見る>>

 

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(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません

 

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<お父さんコーチからのご質問>

はじめまして。

街クラブで指導をしている者です。指導しているのは6年生男子です。クラブの理念としてサッカーを本気で楽しむことを掲げている程度で特段強くはありません。勝ったり負けたりする普通のチームです。

質問は、6年生という年代への守備の指導です。

日本人は足元の技術があると言われますが、その通りで足元は上手いのですが、ボールを奪いに行くときにフィジカルコンタクトを怖がったり、守備位置が悪かったりします。

曖昧な質問で申し訳ないのですが、この年代に守備の目的や原則を教えるときにどんなことを理解させればいいのか言語化してアドバイスいただけませんでしょうか。

よろしくお願いいたします。

 

 

<池上さんのアドバイス>

ご相談ありがとうございます。

講習会などで私の練習を見学された方たちに「池上さん、守備のことは言わなくていいのですか?」とよく聞かれます。私のトレーニングは数的優位の2対1や3対2といったものが多いため、守備の練習になるようなことはやらないのか? というわけです。

 

■どう守るか、よりどれだけ真剣に守るかにこだわる

私のトレーニングではオフェンスが数的優位なので、守備側は失点する確率が高くなります。でも、そのような状況で必死に守ることを選手に求めます。「それじゃあ簡単にやられてしまうよね」と声を掛けます。「点を取られると負けちゃうよ。どうしたら点とられないかな?」と尋ねます。

どう守るかを教えるよりも、「どれだけ真剣に守るか」ということに私は一番こだわっています。

 

■代表やJリーグでもボールにアタックするプレーが足りない

小学生くらいだと、人とぶつかる、つまりコンタクトするのを怖がります。ところが、小学生の試合を見ていると、子どもたちが「体をおさえろ!」と仲間に声をかけています。守る際に、相手とボールの間に自分の身体を入れようとするのです。

私はどうするかといえば、子どもたちに「ボールを取りなさい」と言います。体を当てに行くのではなく、ボールに足を出すよう促します。日本代表やJリーグの試合を見ていると、ボールにアタックするプレーが日本に足らないと感じています。

海外の指導者たちも「日本人はどうしてあそこで止まるの?」と不思議そうです。あんなに距離を空けてしまったら、相手にパスを出されてしまうよというわけです。

 

■選手たちがボールを奪う二歩手前で止まってしまうワケ

とはいえ、強度(インテンシティ)の高い守備は、日本では各年代に求められていて、コーチたちは「アプローチ!」と声をかけています。しかし、二歩くらい手前で止まってしまうことが多いようです。

それはなぜか。指導者が「体を当てに行け」と伝えているからではないでしょうか。上述したように、そういったプレーが頻繁にみられます。相手と押し合っては「負けるな!」とコーチが声をかけています。体をぶつけにいくと、かわされて抜かれることも増えます。

一方で海外の選手は、ボールを取りに足を出したけれど、体がぶつかりファウルをとられることもあります。海外リーグの試合を観ていると、ディフェンスが激しくアプローチに行った結果、相手の足を踏んでファウルをとられることがよくあります。でも、日本の選手は相手の足を踏むことがありません。なぜなら、ボールを激しく奪いにいってないからです。

前述したように、小学生には「ボールを取りに足を出してごらん」とアドバイスします。体を当てに行くのではなく、ボールを目掛けて走ってもらいたいのです。

 

■試合のときは「ボールを取りに行こう」と声をかける

ご相談者様は6年生を指導されているので、子どもたちに試合の際「ボールを取りにいこう」と声掛けしてください。そのうえで、より強く「勝ち負け」を意識させましょう。

「絶対に点を取られない」
「絶対勝つんだ!」

そんなふうに訴えます。

私は高校の部活も指導していますが、ゲーム形式の練習では「最初の5分間で何点取るか、取られるか」を意識してもらいます。

自分たちで「失点ゼロにするぞ」と意気込んでやることが大事です。監督が怒鳴り散らしてやらせるのとは、選手たちが得られるものは全く違ってきます。

 

■「追い込み方」を各自が理解するような問いかけ方をする

例えば、守るときに「ワンサイドカット」というやり方があります。相手選手を左右どちらかに追い込むような守備の仕方です。それをやって逆サイドから他のディフェンスが追い込んでボールを奪います。

ところが、ワンサイドカットをして守ろうとするばかりに、場面によってはシュートコースががら空きになることがあります。教えられている子どもたちが、本当の意味をわかっていないようです。

そのような傾向があれば、まずはシュートを打たれないことを意識させてください。それで打たれなくなったら「どうして打たれたくなかったのかな?」と問いかけてください。

選手たちは「必死で頑張ってついて行った」などと答えるでしょう。そこで「シュートコースは防げていたね。いつもそういう守備ができるといいね」と認めてあげましょう。

そうやって経験を積んでいくと、その子なりの「追い込みかた」ができるようになります。

 

 

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