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U‐12ジュニアサッカーワールドチャレンジ2016
攻撃時にも自分のマークする選手を見ておかなければいけない!バルサと日本チームの差はディフェンスにあった
公開:2016年8月25日 更新:2020年3月24日
FCバルセロナ、マンチェスターシティを迎えて行われるU-12ジュニアサッカーワールドチャレンジがいよいよ開幕。初日の今日は、開幕マッチでいきなりバルセロナがサンフレッチェ広島ジュニアを圧倒。華麗なパス回しで主導権を握り、4-0で快勝しました。
もうひとつの海外招待クラブ、マンチェスターシティもガンバ大阪ジュニアを4-0で下し初戦に勝利しましたが、2試合目の相手、ヴァンフォーレ甲府U-12には1-1と引き分け、1勝1分けで大会初日を終えました。(取材・文 大塚一樹 写真 新井賢一)
■川崎フロンターレがバルサ相手に善戦
晴天に恵まれたこの日、もっともピッチの温度が高くなったのではないかと思われるのがバルセロナの2試合目、川崎フロンターレU-12戦でした。この大会でも幾度となくバルセロナに挑んできたフロンターレは、前半先制されたあとも果敢に攻め、山田新己選手のFKから同点として前半を折り返します。ハーフタイム明け、後半開始前のピッチには佐原秀樹監督の下、念入りに戦術を確認するフロンターレを今か今かと待ち構えるバルセロナの選手たちの姿がありました。昨年、PKとはいえ東京都U-12に敗れ、タイトルを逃しているバルセロナは後半開始から一段階ギアを上げて勝ちに来ます。
「バルセロナのやる気を引き出したというのはあると思う。でも、うちが得意なのはボールを握ってプレーするサッカー。どちらかというと守備は苦手なほうですが、選手たちは良く守ってくれたと思います」
試合後、佐原監督がコメントしたように、パススピードを上げ、素早くフィニッシュまで持っていくバルセロナの猛攻に対して、GK長田澪、キャプテンのDF高井幸大を中心に攻撃をはね返し続けます。守備一辺倒ではなく、時折見せる鋭いカウンターも、バルセロナを慌てさせましたが、攻め続けたバルセロナがPKを得て、2-1で勝利をものにしました。
■今年のバルセロナは、どこがすごい⁉
結果的には2連勝を飾ったFCバルセロナですが、下馬評では「例年以上」と言われる今年のチームの実力が気になるところです。
そこで、現場でバルセロナの2試合を観戦した世界的サッカー指導者集団、サッカーサービスのアルベルト・ペレスコーチに今日の試合を見たところでのバルサ評、サッカーをプレーする選手や日本のコーチに見てほしい、“参考にすべきバルサのプレー”についてお聞きしました。
レポートの後半は、アルベルトコーチから見たバルセロナにフォーカスして話を進めましょう。
「とても良いチームだなという印象を受けました」
初日のバルセロナのサッカーを見たアルベルトコーチは、今年の大会参加チームをこう評した上で、
①個人のプレーの技術レベルが優れている。
②そのプレー技術を使ってさまざまな状況に対応し、局面ごと
に問題を解決するプレーを選択できる。
という二つの特徴を持ち出して説明します。
「1試合目の広島戦では、バルサのディフェンスに、前線からプレスをかけて1対1の競り合いを多く作り出す意図が見られました。体力的に元気な前半は広島も負けていませんでしたが、時間が経つにつれて1対1の差がそのまま試合の展開、点数の差につながっていきました」
では、2戦目の川崎戦はどうだったのでしょう? アルベルトコーチは、川崎が「バルサにスペースを与えない守備をしたこと」を良かった点に挙げました。
守備についての高評価なのかを訪ねたところ、こんな答えが返ってきました。
「川崎が攻撃時に自分たちでボールを保持しているときも、しっかりボールをプロテクトできていてよかった。そのおかげでバルサはボールを奪うために人数と時間を費やさなければいけなかった」
つまり、川崎がしっかりとボールを保持して攻撃を進めたことで、バルサの攻守の切り替えが遅れ、それが川崎の守備に良いリズムを与えていたというのです。
アルベルトコーチに、日本のチームとバルセロナの違いについて聞いたときも、この「攻撃と守備のとらえ方」の問題が課題として挙げられました。
「今日いくつかの試合を観ていて気になったのは、自チームが攻めているところからボールを失った瞬間に、自分のマークすべき選手に近づく動きをしていた日本の選手が少ないこと。選手は攻撃のときでも、自分のマークする選手を意識して見ておかなければいけないし、ボールを失った瞬間にプレッシャーをかけなければいけない。これができていないから、攻守の切り替えのあとでチーム全体が後ろに下がって守らなければいけなくなってしまう」
バルサ相手に「良い守備の準備ができた」川崎は、攻撃時にしっかりとボールをキープしてバルサの守備から攻撃への切り替えを遅くすることに成功しました。同じように、攻撃時に、守備の準備、マークすべき相手を意識していれば、ボールロスト後の守備がもっとスムーズにできるようになるとアルベルトコーチはアドバイスしてくれたのです。
また、アルベルトコーチは、日本人選手のレベルの高さにも感心した様子で、とくに川崎の攻撃の要、10番のMF城田優選手、同点FKを決めたMF山田新己選手について「バルサのユニフォームを着てピッチに立っても普通にやれる」と手放しで褒めていました。
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取材・文 大塚一樹 写真 新井賢一
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