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中村憲剛の「KENGOアカデミー」
カラダが小さくてもボールを奪えるコツは「相手に寄せるタイミング」にあり!
公開:2020年12月 9日 更新:2022年11月24日
中村憲剛選手が、これまでのサッカー人生で培ってきたサッカーがうまくなるヒントをお届けする「KENGOアカデミー」。第12回目となる今回は、憲剛選手が考える「ディフェンスのコツ」について話してもらいました。
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■ボールを奪えないと攻めれない!
ボールに触るのは大好きだけど、ボールを奪うのは苦手・・・。
そんな選手は、きっと多いんじゃないでしょうか。子供たちのサッカーでも、相手がボールを持っているときはつまらなそうにしている選手を見かけます。
その気持ちはわかります。僕も子供の頃から守るよりも攻めるほうが大好きだったので(笑)。
だけど、よく考えてみましょう。サッカーは野球のように攻撃と守備が分かれているスポーツではありません。自分たちが攻撃するには、相手からボールを奪うことが必要です。相手にボールをずっと持たれて、ボールを奪うことができなければ、攻めることはできません。
カラダが小さいし、足も遅いし、当たりが強いわけじゃないし・・・。ディフェンスに対して苦手意識を持っている人もいるかもしれません。確かに、カラダが大きくて、足が速くて、当たりに強ければ、ボールを奪うには有利になります。でも、そうじゃなくても、ボールを奪うことはできます。
今回のコラムでは僕が考える、ディフェンスのコツをお伝えしていきます。
■ボールが動いている間に寄せる
まず伝えたいのは、ボールを奪うためには「準備」が大切だということ。
例を出します。相手チームのA選手からB選手にパスが出るとします。自分がマークしているのはB選手です。自分とB選手の間には5メートルの距離がある。
ここで大事なのは寄せ始めるタイミングです。
この3つのうち、どれが正しいタイミングだと思いますか?
【1】Aがパスを出す前に寄せる【2】Bにボールが渡ってから寄せる【3】ボールの移動中に寄せる
【1】では速過ぎます。パスが出てくるだろうと思って、先に動き過ぎてしまうと、ボールを持った選手はその動きを見て、B選手の足下に出さずに、裏のスペースに出してくるもしれません。
【2】では遅過ぎます。相手にボールが渡ってからだと、寄せるまでに時間がかかるので、相手は余裕を持ってコントロールできます。飛び込んでかわされてしまう選手の多くがこのパターンです。
正解は【3】です。
ボールが動いている間に2、3メートル距離を詰めることができれば、ボールを受ける選手はプレッシャーを感じます。周りを見る余裕を与えなければ、ミスが出る可能性も高くなります。
ボールを奪える選手というのは、相手がどこにパスを出すのかを予測して、パスが出た瞬間に素早く距離を詰めています。寄せるタイミングが良ければ、カラダが小さくてもボールは奪えます。
■1人で奪おうとしない
それから忘れてはいけないのは、サッカーはチームスポーツだということです。自分が奪えなくても、味方の選手に奪わせるということもできます。もちろん、みんながバラバラにボールを奪おうとしてもダメです。
チームでボールを奪うときに大事になるのは、
・どこに追い込むのか・いつプレスを強めるのか・誰がボールを奪うのか
というイメージを共有しておくことです。
例えば、相手が最終ラインでボールを回しているとします。そこへFWがプレッシャーをかけている。ここでFWが相手のセンターバックを追いかけ回しても、スペースがあるので、ボールを奪うのは難しいでしょう。
そこで、FWの選手はパスコースを限定しながら、サイドバックにパスを出させるように誘導します。そして、相手のサイドバックの選手が持ったら、そこに味方の選手がプレッシャーをかけていく。
相手のサイドバックからパスコースを探す余裕をなくせば、大きく蹴り出すか、近くの味方にパスを出すしかありません。そこで近くの味方にパスを出したところを、中盤の選手が狙ってカットします。
ボールを奪っても、そこがゴールではありません。ボールを奪った瞬間というのは、相手のバランスが崩れています。つまり、最も攻撃のチャンスになりやすい状態なのです。
素早く守備モードから攻撃モードに切り替えて、今度はゴールを奪いに行きましょう!
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中村憲剛(なかむら・けんご)
1980年10月31日生まれ。東京都小平市出身。小学生時代に府ロクサッカークラブでサッカーを始め、都立久留米高校(現・東京都立東久留米総合高校)、中央大学を経て03年に川崎フロンターレ加入。06年10月、日本代表デビュー。国際Aマッチ68試合出場6得点(2020年7月現在)。05年から19年までJリーグ優秀選手賞を15回連続受賞。Jリーグベストイレブン8回選出。16年に史上最年長で受賞したJリーグMVPはギネス世界記録に認定されている。
構成:北健一郎 協力:ケンプランニング
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