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- 大西貴の親子でサッカーを楽しもう!
- 子どもの「成功探し」から楽しみ、親もサッカーを好きになろう!
「ウチの息子が、娘が今度サッカーを始めました......。でも、サッカーってどんなところを見たらいいんでしょう? そして、どんなところが楽しいんでしょうか?」ホントは相談したいけど、いまさらいえない悩みをもっているお父さん、お母さんはきっと多いのではないでしょうか?
そこで「サカイク」では今回、全国高校サッカー選手権で南宇和高校(愛媛県)優勝時のキャプテン、現在ではスカパー!Jリーグ中継・愛媛FCホームゲームでの的確、かつ情熱的な解説でもおなじみの大西貴さんに、「サッカーの楽しみ方」についての連載をお願いすることにしました。過去にはサッカースクールコーチやサッカーキッズのお父さん経験も持つ大西さん。選手、コーチ時代のエピソードも交え、私たち大人が子どもたちと一緒にサッカーをどのように楽しむかについて、一緒に考えてきましょう!
■最初は「成功探し」から楽しんでいこう!
――唐突な質問になりますが大西さんが感じる「サッカーの楽しさ」は、どこにあるのでしょうか?
「いろいろとあげることができると思いますけど、1つあげれば自分が感じたことを自分の判断で、自分なりに表現できることですね。もちろん試合の中で勝ち負けもありますが、選手一人ひとりの中では、たとえ0-10で負けた試合の中でもうまくいったことは必ずあると思います」
――正解がその都度変わることもサッカーの特徴ですよね。
「そうです。雨が降ったり、風が吹いたりすることで、正解は変わってきますし、見る側にも答えは1つじゃない。その中でチームメイトと同じ絵が一緒に描けて成功することが一番楽しいんですよ」
――では、その中で保護者のみなさんはどのようにサッカーを学んでいけばいいのでしょう?
「まず気をつけてほしいのは、サッカーは『子どもたちのために』あるということ。最初はそのような気持ちを持っているんですが、時間が経つとどうしても原点を見失ってしまいますよね? 小学生は、まだ子どもですから練習でうまくいかなかったときや、試合に負けたときには"むすっ"として家に帰ってくることもあると思うんです。そのときにいい過ぎないこと。それが過ぎると子どもたちはサッカーが嫌いになってしまいます。熱くなることもあるとは思うんですけど、あくまでも主役は子どもたちです」
――なるほど。では、子どもたちのどのようなプレーを楽しんだらいいんでしょうか?
「攻撃であればドリブルで相手をかわず。守備であればボールを奪う。ボールを中心に子どもができたこと・・・。まずは見ていれば誰もがわかる『成功探し』から始めてみたらいいんじゃないでしょうか? たとえば試合を見て『今日、ドリブルで3回相手を抜いたじゃん!』とか、『今日はボールを5回取ったよね!』とか、成功した回数をほめてあげると、子どもたちもお父さんやお母さんが自分を見てくれていることがわかりますから、安心することにもつながります。 それを続けていくとお父さんやお母さんも『今日は3回できたから、次は4回相手を抜いてみよう』と声かけもできるようになりますし、子どもとのコミュニケーションもできるようになります」
――確かにそれはいい楽しみ方ですね。
「失敗探しは誰でもできるんですけど、成功探しって意外とできないんです。でも、成功探しをすると、子どもたちからも意見が出てきて、それがそのまま家族の会話にもなりますし、そうすると子どもも、『次は回数を増やそう』とか『もっとうまくなろう』と積極的になっていくし、サッカーが好きになっていくと思います。 会話ができると、(子どもの)周りでおきた話や、チームメイトの話にも広がっていきますから、子ともたちの様子も分かってきますし、教育にもつながっていきます。ですから、お父さん、お母さんには試合の勝ち負けより、成功した回数を「正」をつけながら数える方にまずは一生懸命になってほしいですね」
■サッカーを通じて一緒に成長していこう!
――サッカーの会話の中で『どの番組を見たらいいか』なんてこともあると思います。
「子どもたちはマネをすることが好きですから、海外サッカーの映像などを見せることはもちろん、いいと思います。でも、これは今教えている高校生にもいうことなのですが、『何でそこでシュートが成功したのか』ということは、一緒に考えた方がいいですね。『すごいセンタリングを上げる』、『すごくディフェンスを頑張る』、でもそこで『なんですごいの?』まで掘り下げて考えないと、いけないと思うんです。最初は『僕もわかんないよ』でもいいんですよ。それが会話になりますし、そこからサッカーを勉強すればいいんです」
――では1つ例をあげて・・・。長友佑都選手(インテルミラノ/イタリア)のどこがすごいんですか?
「長友選手のすごいところは、ハードワークをしていることはもちろんあるのですが、実はポジション(位置)取りがすごいんですよ。最初にいい位置を取っていないと、ボールを奪ったり、いいパスを出したり、シュートを撃つことができない。そこは経験や感性を研ぎ澄ますことで、できるようになるし、活躍できるようになるんです」
――だから、子どものうちに経験を積むことが必要になるんですね。
「そうです。試合をいっぱいするのも経験を積むためです。だから、さっきいった成功を数えていくと、いいポジションを覚えていくことにもなるんですよ。サラリーマンだっていい準備をしておけば、いい仕事をできるし、昇進にもつながるじゃないですか? それと同じですよ」
――となると、サッカーは日常生活にもつながっている。
「その通りです。仕事でも状況に応じて準備の内容も変わってくるし、やり方も変わってきます。それをサッカーを通じて、学んでくれればいいんです。全てのことは無駄じゃない。全部つながっていますし、お父さんとお母さんが子どもたちと一緒に成長していけばいいんです」
大西貴(おおにし・たかし)//
1971年愛媛県生まれ。南宇和高では主将として1989年度の第68回全国高校サッカー大会制覇。福岡大を経て1994年に広島へ加入(マンチェスター・ユナイテッドへの短期留学も経験)。主にDFとしてJ1・21試合に出場。98年、四国リーグ所属(当時)だった愛媛へ里帰りし、愛媛FCでサッカースクールコーチを務め、2001~03年には選手兼監督・04年には監督としてJFLでも采配を振るった。その後、愛媛FCユース監督を経て、現在は愛媛県立松山北高コーチと、スカパー!愛媛中継解説者として活躍中。日本サッカー協会公認A級ライセンス保持
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取材・文・写真/寺下友徳
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