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- 「男は一回やると言ったら続けなさい」その一言が嬉しかった!元日本代表FW播戸竜二
サッカー界の第一線で活躍する選手や監督、コーチから少年時代に汗をかいて努力した思い出や当時の経験から得たものについて語ってもらう連載企画『汗の分だけ、成長できる』。大宮アルディージャの播戸竜二選手に登場してもらった前回は、サッカーにのめり込んでいったきっかけや、水分補給にまつわる思い出などを話してもらいました。後編となる今回は、毎日の練習で大事に思っていることを中心に語ってもらいました。(取材・文 杜乃伍真 写真 平間 喬)
■父親からもらったアドバイスがあるから、いまの自分がいる
――子どもの頃、ご両親はどんなスタンスで応援をしてくれていたのですか?
何も言わない両親でしたね。僕が中学を卒業するときに「サッカーでブラジルに行きたい」と言ったときは、むしろサポートしようとしてくれました。周りにいる友だちの親たちがすごく熱心にあれこれ言っているのを見て、そういうのもいいなあ、と思った時期もありましたけど、いま思えば何も言わないからこそ自分のペースでできて、自分で考えられるようになりました。ブラジルのことも、高校進学のことも、全部自分で決めさせてくれたので両親には感謝しています。
――ブラジルにサッカー留学する、というのは大きな決断だと思いますが、それも一人で決めたのですか?
そうですね。「俺は行きたいんだ」と伝えただけです。両親は最初こそ「え?」という反応でしたけど、でもすぐに「じゃあ銀行からお金を借りなあかんやん」という感じでした。ただ、高校に行っておいたほうがいいんじゃないの?という受け止め方でもあったので、最終的には自分で判断して、サッカーで高校サッカー選手権を目指すことに決めたんです。そういう両親のスタンスは僕にはよかったと思っています。サッカーをしながら友だち関係を作ったり、勝負事の大事なことを学んだり、子どもがやりたい方向に進んでいれば勝手に成長することもかなり多いと思うので、あまり親が入れ込み過ぎずに温かい目で見守ってあげるほうがいいのかなと思いますね。
――当時、ご両親にしてもらってうれしかったことはありますか?
小学校6年生の夏頃に「もうサッカーはいいかな」と思った時期があって、それを親に伝えたら、お母さんは「別にいいよ」と。でもお父さんはこのときばかりは「男は一回やると言ったら続けなさい」と言ったんです。「中学に入ったら何をしてもいいから、とにかく小学生のうちは最後までやり切りなさい」と言われて、それで思い直しました。その一言がなければサッカーを辞めていたし、もう一度サッカーに真剣に向き合おうと思えたんです。ちょうどそのあとのタイミングでJリーグ開幕の話が出てきたり、カズさんに魅了されたりする時期が来てサッカーにのめり込んでいったので、あのときの一言には本当に感謝していますね。
■試合に出られないということは、いつか出られるチャンスでもある
――では、これまでのサッカー人生で挫折はありましたか?
特にないですね。サッカーは楽しいからずっとやってきたし、それが今も継続しています。たとえば、試合に出られない時期などもたくさんあったけど、ぼくは元々エリート選手ではないし、プロ入りの経緯もエリートではなかったので、挫折でもなんでもなかったですね。ただサッカーが楽しいから続けてきた。その繰り返しですから。
――試合に出場できなくて苦しい思いをしている子どももいると思うのですが、播戸選手はそういう時期にどんな考え方をして乗り越えてきたのでしょう?
試合に出られないということは、逆に言えば、いつか出られるチャンスがあるわけじゃないですか。だから、試合に出られるまでの過程を楽しめばいいんです。試合に出場できないなら、なぜいま自分は試合に出られないのかを考える。同じポジションの出ている選手には何があるのか。そこで自分に足りないものがわかったら、もうちょっとできるようにする。そのできるようになるまでの過程が僕は結構好きなんですよね。
――そこを楽しめばいいんですね。
ライバルとの差を縮めることを楽しむ期間にすればいいんですよ。苦しいときに何ができるかがその人の価値だと思うんです。心が折れてしまうのは簡単だし、投げ出すのは簡単です。すべては自分次第。苦しいときにどれだけできるか。チームのためにどれだけできるか。そこで歯を食いしばれるのが本当の男だし、大事なことだと思うから、そういう強い男になりたいといつも思っています。
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取材・文 杜乃伍真 写真 平間 喬
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