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東北の元気を届ける『仙台だより』
石巻の子ども達にサッカーの喜びを~人工芝グラウンドでのスクールを開始したコバルトーレ女川
公開:2011年9月23日 更新:2011年10月26日
仙台だより第6回は東北社会人リーグのチームコバルトーレ女川が石巻市で行っているスクール活動を紹介します。震災後の津波で甚大な被害を受けたトップチームはリーグ戦の参加を休止しましたが、この9月からは夏に人工芝化された石巻のグラウンドを使ったスクール活動を開始させました。仮設住宅の建設などでなかなかボールを蹴る場所のない石巻の子ども達は、真新しい人工芝ピッチの上で元気にサッカーを楽しんでいました。
■仮設住宅に囲まれた人工芝グラウンド
コバルトーレ女川の練習場「コバルトーレトレーニングパーク」は女川町の隣の石巻市開成にあります。開成地区は住宅や会社向けの分譲地が多く広がる地域でしたが、震災から半年を経て風景が一変。津波被害が軽微で平らな分譲地が多かったことから、見渡す限り仮設住宅が立ち並ぶ街となりました。そんな仮設住宅の真ん中に「コバルトーレトレーニングパーク」があります。
このグラウンドは元々天然芝でしたが、震災前からグラウンドの人工芝化と、女川町で一昨年から行っていたスクール活動「レベルアップスクール」をここでも行うことが検討されていました。そんな中未曾有の大震災が起き、スクールの立ち上げや、グラウンドの人工芝化は一時立ち消えになっていました。
ところがグラウンドの周辺に仮設住宅がネットを隔ててすぐ側まで建つことになりました。砂ぼこりが立つ天然芝グラウンドでは、仮設住宅に住む人に迷惑がかかってしまいます。そのような経緯から、グラウンドを急ピッチで人工芝化することが決まり、8月に人工芝化が完了しました。そして9月から、この人工芝グラウンドで「レベルアップスクール」が始まりました。
グラウンドのすぐ隣が仮設住宅
■子ども達が安全にサッカーできる場を提供
新しく始まった石巻市でのレベルアップスクールには現在10名程度が集まっていて、この日集まった子は6名。パスやドリブルなど基礎練習の後、ハーフコートで3対3のミニゲーム。綺麗な人工芝グラウンドの上でみんな楽しそうにボールを蹴っていました。
指導に携わっているのは現在U-18チームの監督を務めている檜垣篤典さんと、トップチーム監督・スクールマスターの阿部裕二さん。檜垣さんによると石巻市の現状は「サッカーだけに限らず今、子ども達が安全に遊べる場所がありません。公園も街灯もありません。こういうグラウンドであれば安全に遊べます。良い環境で体を動かせるのはすごくありがたいというご家族の声もいただいています」とのこと。子ども達が元気よく遊べる場がない中、こうしたサッカースクールは非常に意義のある活動となっています。
写真左:阿部裕二さん、写真右:檜垣篤典さん
■女川町でのスクール復活には難題も
女川町でのレベルアップスクールについて檜垣さんは「女川の方はスクールという形ではできていません。今は月謝を取れる状況ではなく、ナイター設備も使えないので、週1回1時間程度ミニゲーム大会をやるくらいしかできません。土のグラウンドか女川運動公園の陸上競技場を使わせてもらっています。震災直後は陸上競技場がヘリポートで使えなくて、高台の公園でやらせてもらったり、斜面になってしまう所でやったりしました」と語ります。
その他女川町での普及活動として「女川は今全員バスで小学校に登校しています。高学年の授業が終わるまで低学年の子はちょっと時間が空くのですが、僕らが週1回行ってサッカー教室をやっています」といった形でバスの時間を待つ低学年向けにサッカー教室を行っているそうです。「女川自体、復興計画が出てきて運動公園がなくなるかもしれないという話があります。でも何かしらスクールは続けて行きたいです」と檜垣さん。女川町でのスクール復活にも意欲を見せています。
【お知らせ】
石巻でのコバルトーレ女川レベルアップスクールでは9月末まで入会キャンペーンを行っています。ボールを蹴る場所に困っている石巻市周辺の子ども達はぜひ参加してみてはいかがでしょうか。
【関連リンク】
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取材・文・写真/小林健志
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